2013年 9月 1日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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薄くて軽くて電池長持ち。最新のUltrabook(ウルトラブック)の選び方

テキスト: 太田百合子

省電力性能が大幅に向上した、インテルの新しいCPUを搭載するUltrabookが、この夏、国内外のPCメーカーから続々登場し、家電量販店の店頭を賑わせた。そこであらためて、Ultrabookの魅力や、選ぶ際のチェックポイントを解説。買って後悔しないUltrabookの選び方を紹介する。

Ultrabookってそもそも何?

ここ2~3年で一気に定着したUltrabookという言葉。家電量販店の店頭でも、一部のノートPCに対して当たり前のようにUltrabookという呼び方が使われているが、そもそもUltrabookって何?ほかのノートPCと何が違うの?と疑問に思っている人も多いのではないだろうか。

Ultrabookはインテルが2011年から提唱している、ノートPCの新しい製品カテゴリだ。発表時のインテルのリリースによれば、「ノートブックPCとタブレット機器の性能や機能を兼ね備え、薄型軽量で洗練されたデザインでありながら、極めて高い応答性とセキュリティ機能を実現する」製品群とのこと。なんだか難しそうに聞こえるが、ノートPCの製品事情に詳しくない人も、くねくねと踊るトラのキャラクターが印象的なCMを例に出せば、「ああ、あれか!」とピンとくるのではないだろうか。

インテルの言う「ノートブックPCとタブレット機器の性能や機能を兼ね備え」とは、ノートPCでありながら、長時間バッテリーや起動の速さなど、タブレットと同様の特徴を持っているということ。さらに、「薄型軽量で洗練されたデザインでありながら、極めて高い応答性とセキュリティ機能」とは、そのままスリムでスタイリッシュでサクサク動いて、かつセキュリティ面でも安心して使えることを指す。より具体的には、省電力でコンパクト、高速かつセキュアな、インテル製のUltrabook用CPUを搭載した製品が、Ultrabookということになる。

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最新のUltrabookはここに注目!

インテルは今年6月、「Haswell」というコードネームで呼ばれていた新しいCPU「第4世代Core iシリーズ」を発表した。同時に各PCメーカーも、このCPUを搭載した最新のUltrabookを一斉に発表。今、店頭に並んでいるノートPCの主流は、この最新のUltrabookとなっている。

これらの最新のUltrabookに共通するのは、従来のノートPCよりもバッテリー駆動時間がぐっと長くなっている点。メーカーによっては従来機の30~40%も駆動時間が長くなっているものもあり、「電池長持ち」は最新のUltrabookの大きな特徴の一つになっている。

一般に液晶ディスプレイは、解像度が高くなるほどより多くの電力を消費するが、最新のUltrabookは省電力で「電池長持ち」になった分だけ、解像度もアップ。フルハイビジョンテレビと同じ1,920×1,080ドット、またはそれ以上の解像度を持つ、超高精細ディスプレイを搭載する機種も登場している。これらの機種では、写真や動画をきれいに表示できるだけでなく、広い作業領域が確保できるのも魅力。従来のUltrabookには11.6インチ、または13.3インチクラスのディスプレイを搭載する機種が多いが、ディスプレイサイズが小さくても快適に操作できる「高解像度ディスプレイ搭載」も、最新のUltrabookの特徴と言える。

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タブレットにもなる機種の魅力とは?

もう一つ、最新のUltrabookに共通しているのが、ほとんどの機種がOSに「Windows 8」を搭載しているということ。ご存知のように「Windows 8」では、タッチ操作に最適化された新しいユーザインタフェースが採用されているが、これに合わせて最新のUltrabookにも、タッチパネルを搭載するものが多くなっている。単にノートPCのディスプレイがタッチパネルになっているものだけでなく、液晶部分が取り外しできるセパレートタイプや、液晶を表にしてタブレットのように変化する、コンバーチブルモデルも発売中。これらの機種ではUltrabookを、まるでタブレットのようにも使うことができる。

このようにタブレットにもなるUltrabookの魅力は、シーンに合わせて、ノートPCとタブレットを一台で使い分けられること。例えば電車内などPCを開きにくい場所ではタブレットスタイルでタッチ操作、テーブルがあり、落ち着いて作業できる場所ではノートPCスタイルで長文入力と、TPOに合わせた使い方ができる。さらにタッチパネルを活かして書類に手書きできるアプリなどを使う場合、タブレットスタイルになれば書きやすいというメリットもある。

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これで失敗なし!Ultrabookの選び方

Ultrabookに限らず、製品選びは何でもそうだが、まず大切なのはどのようなシーンで利用したいのか、自分がその製品を使っているイメージを思い浮かべてみること。そうすればおのずと、ディスプレイサイズやタッチ操作の有無、必要なCPUやメモリー、バッテリー駆動時間など、自分が求めるUltrabookが見えてくるはずだ。

電車の車内などでも使いたいなら、タブレットにもなるUltrabookがおすすめ。タブレットスタイルでの使用時に、より軽い状態で使いたいなら、レノボ「ThinkPad Helix」や東芝「dynabook V713」のようなセパレートタイプ、ノートPCとして使用する際も軽いモデルが良いなら、パナソニック「Let's note AXシリーズ」やソニー「VAIO Duoシリーズ」ような、軽量コンバーチブルモデルを選ぶといいだろう。

dynabook V713

セパレートタイプの東芝「dynabook V713」。キーボードとディスプレイを取り外しでき、ディスプレイだけでタブレットのように使用できる。

Let's note AXシリーズ

パナソニックの「Let's note AXシリーズ」は、ディスプレイが360度回転。ディスプレイ面を表にしてタブレットのような使い方ができる。

Let's note AXシリーズ

VAIO Duoシリーズ

ソニー「VAIO Duoシリーズ」は、スライド式のディスプレイを採用。キーボードにふたをするようなイメージでタブレットスタイルになる。

ノートPCとしての軽さを追求するなら、NEC「LaVie Zシリーズ」やソニー「VAIO Proシリーズ」のような、薄型軽量を極めたモデルをチェック。また、ディスプレイの美しさにこだわるなら、フルハイビジョンを超える高解像度ディスプレイを搭載する、富士通「FMV LIFEBOOK UH90/L」や東芝「dynabook KIRA V832」が検討対象になるだろう。

LaVie Zシリーズ

13.3インチのディスプレイを搭載するノートPCでは、世界最軽量の875gを実現するNEC「LaVie Zシリーズ」。ただし、CPUは第3世代Core iシリーズ、タッチパネル非搭載だ。

FMV LIFEBOOK UH90/L

富士通「FMV LIFEBOOK UH90/L」は、14インチで3,200×1,800ドットと超高精細かつ、省電力なIGZOディスプレイを採用。高解像度と「電池長持ち」を両立する。

機種によっては、CPUやメモリー、ハードディスクなどの仕様に複数の選択肢が用意されているものもあるが、HDDとSSDが選べる場合は、より高速にデータにアクセスできる、SSDを選んだ方が機動力が高くなる。また薄型のUltrabookの中には、VGA端子やLANポートを搭載しない機種も多いので、プレゼンなどで外部ディスプレイにつなぐ機会の多い人は、USBやHDMIから変換できるアダプターが用意されているかどうかも、チェックポイントの一つになる。USBポートは、より高速なUSB3.0搭載モデルがおすすめだが、さらに機動力を重視するなら、WiMAXなどのデータ通信機能の有無も要チェックだ。

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