【第1段階】
最初に輪郭線として基本となる直線から描き始めてみよう。このとき、等角投影図になるよう約30°傾けた線が描けるようになるとよい。
Vブロック下側の直線形状から描き始め、高さ方向の基準となる垂直線も合わせて描いておく。
設計者は、実務において頭の中にイメージした部品や複数の部品が集合した組図を第三者にわかりやすく伝えるためにポンチ絵を描くことが要求される。
ポンチ絵はフリーハンドで描くことが一般的である。フリーハンドの場合、個人によって上手下手の差が激しく、下手な人ほどポンチ絵を描くことを敬遠しがちになるが、決して上手に描く必要はない。線の傾きやうねりなど気にせず、形が理解できれば十分であると考えよう。
「ポンチ絵=適当なイラスト」というイメージがあるが、大きさの概念を忘れて描くと、後で失敗することがある。
左図のようにポンチ絵に寸法を記入した例を見ると、特に問題があるようには見えない。
しかし、直径3mmの軸の両端に「C1」面取りがあるので、実際の形状は右図のように先端がとがった状態の軸ができあがり、「イメージしていたものと違う形状でビックリ!」ということが発生する。
このようにポンチ絵を描くにも、大きさの概念を失念してはいけない。
今回は、空間認識力のまとめとして形状や奥行きを意識し、フリーハンドでポンチ絵を描く練習をしよう。
まずは直線形状の多いVブロックを描く手順の一例を確認してみよう。
【第1段階】
最初に輪郭線として基本となる直線から描き始めてみよう。このとき、等角投影図になるよう約30°傾けた線が描けるようになるとよい。
Vブロック下側の直線形状から描き始め、高さ方向の基準となる垂直線も合わせて描いておく。
【第2段階】
Vブロックの上面を描くために、下面から線の傾きをイメージし、高さと奥行きを意識して輪郭線をスケッチする。
【第3段階】
次にV面になっている部分を描くが、V面を均等に割り振るために、まず上面の平面部を均等になるように描く。その後、中心線を引いてV面の底面の位置を決め、V面の斜めの線を描く。
【第4段階】
V面の底の部分から奥行き方向に線を描き、奥にあるV面を描く。
【第5段階】
V面の底の部分から奥行き方向に線を描き、奥にあるV面を描いて完成させる。
このように細かい線は忘れやすいので注意しよう。
下記に示す例題を参考にして、演習問題を解いてみよう。
下記の三つの投影図が表す立体図を、ポンチ絵として等角投影図で描くこと。定規を使わず、フリーハンドで描くこと。
描く手順に決まりはない。自分なりに描きやすい順を探って何度も描く練習をしよう。
下記の三つの投影図が表す立体図を、ポンチ絵として等角投影図で描くこと。
定規を使わず、フリーハンドで描くこと。
レベル5 演習解答例
頭の中の形状イメージをポンチ絵として表現できれば、一人前のエンジニアに一歩近づくことができる。
設計センスアップのポイント(5)
次の三つのポイントを抑えることで、ポンチ絵を描くことができる。
筆者は、設計者として勤務していたころ、設計構想をする際に限ってシャープペンシルは使わず、昔ながらの木の鉛筆を使うように心がけていた。木のぬくもりが、何か新しいアイデアを与えてくれそうという単なる個人的な期待だけであったが、逆に言えばそのような期待をしてしまうくらい設計構想をすることに重点を置いていたのである。
今回の0(ゼロ)ステップから、設計の基礎である空間認識能力が少しでも向上して実務に役立てていただけることを願っている。
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