この連載について

基本要素を用いながら、より具体的な設計使用方法を解説する。また、主要な3D CADでの手法も併せて解説する。

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1.先端に球形がある形状

軸の先端部に球形がある形状(図-1)を作成する場合は、前回(第2回)解説した「回転」という作成方法を使用する。

図-1 軸の先端部の球形の例

この図-1の先端形状を「回転」で作成するためのスケッチを図-2に示す。なお、これはあくまで基本的なスケッチの一例である。

図-2 先端が球形の軸のためのスケッチ(Autodesk Inventorで作成した例)

このスケッチのポイントは2ヶ所あり、それを(1)と(2)で示している。

まず(1)は、軸の直線部と球形は滑らかにつながっていなければならないため、直線部と球形の輪郭となる円弧を確実に正接でつなげることが必須である。図内の(1)の矢印で示している箇所に付いているマークは、ここが確実に正接となっていることを示している。

(2)の方は、円弧の中心と端が黄色い点で表示されていることが、確実に回転中心となる水平線上に乗っていることを示している。

スケッチの際にはこれらの状態を確実に確認することが重要である。なお、図-2はAutodesk Inventorだが、SOLIDWORKSでも同様の表示が出るようになっている。

2.段差部に設ける隅の逃がし形状や隅の丸み

軸や穴にかかわらず厳しいサイズ公差を要求する場合、その段差部や止まり穴の底部に逃がし溝を付けるのが一般的である。溝の形状自体の作成方法は、ストレート部のみであれば「押し出し」または「回転」のどちらでも使用可能、テーパー部がある場合は「回転」を使用するのがよいであろう。図-3の例では回転を使用して作成している。

図-3 逃がし溝形状

この逃がし溝のサイズだが、特にJISなどで決まっているわけではない。JIS B 2804で規定されているC形止め輪やE形止め輪の溝のサイズを参考にすることができるが、溝幅は直径の5~20%前後でばらついており、加工的に溝幅の数値には制約がないと判断できる。そこで、ある程度自分の設計スタイルを作っておくのもよい。例えば、図-3内に示している溝の幅寸法であるWxと溝の直径寸法であるDyの値は、以下のように定義しておくのである。

Wx ≒ 軸の直径 / 10(ただし、X ≧ 0.5)

Dy ≒ 軸の直径 - (0.5~1)

そこで、仮にWxの式の分母を単位無しの「10」、Dyの式の括弧内の数値を「1mm」と固定することにして、この規則を常に守れるようにパラメータ関係式を使用することで間違いのない設計を行い、後で見直した際にも設計の思想を確認できる方法を使用するとよい。パラメータ関係式とは本連載の、「パラメトリック」を理解する【モデリング手法/第4回】で解説している手法である。

今回の場合は、溝の幅と直径の値を上記関係式に基づいて定義するというケースなので、SOLIDWORKSでは「グローバル変数」、オートデスク製品(Autodesk Inventor、Fusion 360)では「ユーザ パラメータ」と呼ぶパラメータを設定し、利用することで可能となる。

図-4は、Autodesk Inventorで設定した例である。このような関係式で指定しておくことで、この後に軸の直径値を修正したとしても逃がし溝の値は自動で更新されるので、修正漏れを防ぐことができる。

図-4 逃がし溝のサイズをあらかじめ指定しておいた「ユーザ パラメータ」との関係式で表現(Xの単位の「ul」は単位のない係数という意味の表記)

隅の丸みに関しては、形状作成の手法として「フィレット」を使用すればよい。「フィレット」については本連載の「フィーチャーベース」と「ダイレクト」を理解する【モデリング手法/第1回】にて簡単に解説している。3Dモデルのエッジを利用して丸み形状を作成するものである。

この丸み形状のサイズに関して特に注意が必要なのは、市販品である転がりベアリングなどを使用する場合である。図-5に示すように段差部の隅に生じる角の丸みr2がベアリングの角の丸みr1よりも小さくないと、ベアリングが角の丸みに乗り上げて段差部に密着できず、位置がずれる可能性がある。

ベアリングのカタログから角の丸みを確認した後に、図-6のようにフィレットを追加すればよい。

図-5 軸の段差部とベアリングの関係

図-6 段差部の隅の丸み

3.面取り形状

軸部品には必ずといっていいほど面取りが必要となる。標準的な3D CADでは、面取りに関しても丸み付けのための「フィレット」と同様、「面取り」というコマンドが用意されており、面取りを追加したいエッジを選択しサイズを指定するだけで作成できるようになっている。

図-7はC面取り作成の例である。面取りを作成するエッジを選択し、面取りのサイズのみを指定することで、45゜の面取りが作成される。

図-7 C面取りの例

図-8は、テーパー面取りの例である。C面取り同様にエッジを選択するが、サイズの指定方法はエッジに対して片側の距離と角度を指定する。

図-8 テーパー面取りの例

以上のように、隅の詳細形状は溝であれば押し出しまたは回転のカットで作成し、面取りや丸みは専用のコマンドで作成することが基本である。また、それらのサイズについてはパラメータ関係式をうまく利用することで正確な設計を維持することが可能となるので、状況に応じて活用して欲しい。

次回は引き続き、そのほかの詳細形状の作成手法やそのコツなどを解説する。

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