2017年11月

総務部エリコのひとり言

年度末までに社内コストを5%削減せよ! の巻

東京の下町に本社を構える社員300名ほどの電機メーカー「山シロ株式会社」。ここの総務部に在籍するエリコは総務歴3年目。右も左も分からなかった新人時代を経て、最近やっと総務の仕事に面白さを感じるようになってきた。
そんなある日のこと、エリコに「年度末までに前年度比で社内コストを5%削減せよ!」と部長から指令が下される。プロジェクトの担当者に任命されたエリコだが、果たしてこのミッションを成功させることができるのか?

年度末までにコストを5%削減! どこから手をつければいい?

「社長から年度末までに社内コストを5%削減してって言われたんだけど、エリコさん、担当者になってくれる?」

総務部長から指示を受けたコスト削減計画。数年おきに実施しているみたいだけど、毎回あまり良い結果が得られていないみたい。社長直々のお達しということもあり、「今回こそはなんとしても成果を上げたい!」と部長の鼻息も荒い。うわ……ちょっとプレッシャーを感じちゃうなあ。

コスト削減についてネットや書籍で自分なりに調べてみたら、「どんな項目にどれくらいの費用がかかっているか、総務部で管理している経費の洗い出しからスタートすべし」との情報を発見。ひとまず、一番手をつけやすい事務用品の洗い出しからスタートすることに。

ところが、アイテム名・購入金額・購入先・各部署の購入担当者など、思っていたよりチェック項目が多くて作業がなかなか進まない。総務部内で協力してくれそうな人を探そうにも、みんな忙しそうだし……。

途方に暮れていたところ、去年、大学スキー部のOB会で知り合った小岩さんの顔が思い浮かぶ。確か小岩さんも総務経験者ということで、話が盛り上がったんだった。今は社労士として、うちの会社の近くに事務所を構えているらしいけど……。よし、ここはひとつ小岩さんに相談してみよう!

双方向のコミュニケーションで全社員を巻き込め!

エリコ
小岩さん、ご無沙汰(ぶさた)しています。これ、お土産です。駅前にある「野原ドーナツ」、私の好物なんですよ。
小岩さん
おいしそうですね。ありがとう。今、お茶を淹(い)れますね。エリコさん、総務の仕事のことで相談があるんだって?
エリコ
そうなんです。実は今、コスト削減プロジェクトに取り組んでいて。事務用品の洗い出しから始めたんですけど、作業量が多くて思うように進まなくって……。
小岩さん
ドーナツでも食べながら話しましょうか。事務用品の洗い出しから始めるのは間違っていませんよ。でもエリコさん、それを総務部だけでやろうとしていませんか?
エリコ
えっ、だって、それが私たち総務部の仕事ですよね?
小岩さん
コスト削減は、総務部だけで孤軍奮闘しても難しいんですよ。経験上、総務部だけで一方的に進めてしまうと、高確率で失敗してしまいます。他部署の社員にとっては「ひとごと」みたいになって、当事者意識が生まれませんから。
エリコ
確かに、営業部の同期に「コスト削減計画に取り組むから、協力してね」と伝えても、なんだかひとごとみたいでした。「俺たちは仕事を取ってきて会社に貢献するから、コスト削減はそっちで勝手にやってよ」なんて言われちゃって。
小岩さん
野球をイメージしてください。仕事をたくさん取ってくるスーパー営業マンは華やかなホームランバッター。対して総務は、堅実な守備でチームを支える玄人好みのプレーヤー。後者は一見地味かもしれませんが、そういう人もいないと試合には勝てませんよね?
エリコ
あー、なるほど。分かりやすいです。でも具体的にどうすればいいんでしょう?
小岩さん
総務部だけでなく、各部署に総務担当者的なポジションの人を配置するといいですよ。その人たちと連携を取って、部署ごとに洗い出しを行うとスムーズです。たぶん、重複している無駄な事務用品がたくさん出てくるはず。1人の社員が使いかけのボールペンを何本も持っていたり、使い切っていないノートが何冊も出てきたり、とかね。
エリコ
うっ、自分にも心当たりが。
小岩さん
各部署の担当者を集めて、プロジェクトチームを結成するのも手ですね。定期的にミーティングを行って、いつまでに何をやるべきか、進捗状況をこまめに確認しながら進めていく。そしてミーティングで話し合った内容は、必ず社内全体に周知してみてください。
エリコ
でも、みんな協力してくれるかなあ……。ちょっと不安です。
小岩さん
「ほかの社員をどれだけ上手に巻き込めるか?」が総務の腕の見せどころですよ。キーワードは、双方向のコミュニケーション。頑張って、エリコさん!

コスト削減を全社的なイベントにするため、エリコ動く!

小岩さんからのアドバイスで、進むべき道が見えてきた。まずは今回のプロジェクトの存在自体を、社員みんなにちゃんと知ってもらわないと。そこで社長に頼んで、プロジェクトにかける熱い思いを、一斉送信メールで社員全員に送ってもらった。社長の言葉には、人をやる気にさせる力が込もっている。達成すべき目標に向けて、きっとみんなの意識も高まるはず。

もう一つ、プロジェクトチームの編成も重要課題。部長の人脈を頼って、各部署にかけ合ってもらい、担当者を1人ずつ出してもらえることになった。「コスト削減なんて勝手にやってよ」と言っていた営業部の真田くんも、メンバーに入っている。
明らかに不満顔だった真田くんだけど、野球の例えで総務部の役割を力説したら納得してくれた。真田くんは学生時代に野球をやっていたらしく、「エリコも野球に詳しいんだなあ」と感心したみたい。小岩さんからの請け売りだってことは、ヒミツにしておこう。

プロジェクトチームのミーティング内容や進捗報告は、社内で利用しているグループウェアで毎週共有することにした。「コストカット強化月間」などのキャンペーン期間を設け、その間はグループウェアのトップページに目標数値を表示。また、目標数値である5%のコストカットを実現したら、浮いたお金を何らかの形で社員に還元することに。空気清浄機などの備品購入や、忘年会や納涼会の開催費用として、各部署に5万円ずつ還元することを提案したら社内の評判も上々。心なしか、社内の雰囲気も前より良くなった気がする!

「こんな一体感のあるコスト削減プロジェクトは初めてだ。今回は期待できそうだな!」と、部長からはうれしい言葉をかけてもらった。最終的な結果が分かるのは半年以上先だけど、この勢いでいけば、きっと達成できるはず。最後まで気を抜かずに頑張ろうっと!

エリコのひとり言

今までは「自分1人で何とかしなきゃ!」と抱え込みがちだったけど、総務の仕事は「巻き込み力」が大切。会社の課題をいかに「自分ごと化」してもらえるか? それを考えるのが私たち総務の仕事なんだ!

監修/小岩 和男

特定社会保険労務士・人事労務コンサルタント。

大学卒業後、私鉄系不動産企業に入社。20年近く総務人事業務に携わった後、社会保険労務士として独立。都内、日本橋に事務所を構え、上場企業から新設企業まで幅広いサポートを行う。メディアへの寄稿実績も多数。

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