2018年 6月

総務部エリコのひとり言

会社の引っ越しを成功させよ! の巻

築数十年の自社ビル老朽化に伴い、会社の引っ越しを行うことになったエリコが勤める山シロ株式会社。現在の下町から、アクセスの良い都心にオフィスを移転するらしい。社長直々に、オフィス移転のプロジェクトリーダーに抜てきされたエリコ。責任重大な大役にひるむエリコだが、果たしてこのミッションを成功させることができるのか?

ある日突然、引っ越しプロジェクトの責任者に任命!?

月曜の朝、出勤すると「今日の午後、社長室まで来てくれる?」と社長からいきなり声をかけられた。急な呼び出しにドキドキしていると、上司である総務部長も一緒に付いてきてくれるとのこと。一体何の話だろうと、落ち着かない気持ちで社長室のドアをノックした。

社長
急な呼び出しで申し訳ないね、エリコさん。突然だけどうちの会社、引っ越そうと思ってるんだよね。
エリコ
はあ、引っ越し、ですか。
社長
うん。ここも築ウン十年でだいぶ古びてきたし、この辺りはほら、アクセスもそんなに良くないし。もっと都心の便利な場所に移動しようかと思ってね。
エリコ
ここのビル、相当年季が入ってますもんねえ。でも都心のオフィスっていうのは素敵です! ちなみに引っ越しの時期はいつごろですか?
社長
具体的な時期は未定だけど、遅くとも1年以内には完了できればと思ってる。それでなぜエリコさんを呼び出したのかっていうと、オフィス移転プロジェクトのリーダーをやってもらいたいんだよ。
エリコ
ええ、私がですか!?
社長
うん。新しいオフィスは、若手の意見を取り入れた働きやすいオフィスにしたいと思ってる。エリコさんはこれまで幾つものプロジェクトを成功させてきた実績もあるし、今回も力を貸してくれないかな?

予想外のサプライズに何と答えていいか困ってしまい、助けを求めてそばにいた部長を見ると、私の顔を見てニヤニヤしている。どうやら部長、私がプロジェクトの責任者に任命されることを前々から知っていたようだ。もう、そんなことなら事前に教えてくれたらよかったのに! 正直、責任やプレッシャーも大きな大役だけど、やり遂げたらきっといい経験になるはず。腹をくくって「ぜひ、やらせていただきます!」と返事をした。

しかし、うちの会社はこれまでに引っ越しの経験は一度もない。社内にノウハウを持った人もいなさそうだ。何から手を付けていくべきか悩んでいると、ふと社労士の小岩さんの顔が浮かんだ。確か小岩さん、社労士として独立する前の会社員時代は、総務担当者として長年企業に勤めていたはず。もしかしたら、引っ越しの経験だってあるかもしれない。ここは一つ、話を聞きにいってみようかな。

引っ越しを新たな取り組みにチャレンジするチャンスに!

エリコ
小岩さん、お久しぶりです。これ、お土産です。会社の近くで買ってきた羽根付きたい焼き。
小岩さん
いつも行列ができている、あの人気店ですね。ありがとうございます。まあ、お茶でも飲みながら話しましょう。何でも会社がよそに移ることになったとか?
エリコ
そうなんです。アクセスの良い都心に移転することになり、私がそのプロジェクトリーダーに抜てきされてしまって。だけど社内にノウハウを持っている人がいなくて、困っていたんです。もしかしたら小岩先生ならご経験があるんじゃないかと思い……。
小岩さん
それで話を聞きにきたわけですね。どれくらい参考になるかは分かりませんが、アドバイスくらいならできると思います。会社員時代は本社をはじめ、グループ企業のオフィス移転など、引っ越しは幾つも経験してきましたから。
エリコ
とても心強いです!
小岩さん
まずエリコさん、企業の引っ越しと、個人で行う引っ越しの大きな違いって分かりますか?
エリコ
何だろう……やっぱり規模感でしょうか?
小岩さん
規模感はもちろん違いますよね。そして何より、関わる人の数が段違いに多い。自宅の引っ越しであれば、家族だけの問題で事足りますが、企業の引っ越しとなると、従業員はもちろん、取引先や関係会社などのステークホルダーとの調整・連絡も必要になってきます。
エリコ
関わる人が多い分、それだけ手間も時間も要するわけですね。
小岩さん
そのとおり。そして手間と時間がかかるからこそ、引っ越しを会社にとっての「プラスアルファの価値」にしたいですよね。
エリコ
「プラスアルファの価値」とはどういうことでしょうか?
小岩さん
例えば、引っ越しを新たな取り組みを始めるチャンスにする。新しい建物やアクセスの良い場所に移ることはもちろんですが、生産性を向上するためにオフィスをフリーアドレスにしてみたり、あるいは子育て支援の一環として、社内に託児所を設けてみたり。
これまでは実現できなかった制度を取り入れたり、引っ越しが、社内改革にチャレンジしたりする良い機会になるかもしれません。
エリコ
なるほど。そんなふうに考えると、一見面倒くさそうな引っ越しも、前向きに取り組んでいけそうです。
小岩さん
そうですね。特に一般社員の中には、引っ越しを面倒くさいイベントだと考えてしまう人も多いと思います。引っ越しを行うメリットを社内全体に周知させて、一丸となって取り組むことが大切です。
エリコ
引っ越しを一人一人の社員に「自分ごと化」してもらうわけですね。
小岩さん
そのとおり。またオフィス移転後に、従業員が速やかに従来の業務を開始できるように環境を整えることも大事です。例えばネットワーク環境の構築などは、前もってやっておき、引っ越し当日にはネットなどをすぐに使えるようにしておく。引っ越し後は、行政関係や取引先などへの連絡も忘れずに。
大切なのは、社員全員が「やってよかった」と思えるような、そんな引っ越しを実現すること。社内に一体感が生まれるような引っ越しにぜひチャレンジしてみてください。

「プラスアルファの価値」を生み出す引っ越しを

小岩先生のアドバイスを参考に、会社全体を巻き込みながら一体感のある引っ越しを目指していこう!まずは、オフィス移転のプロジェクトチームを結成。各部署から若手を中心にメンバーを募った。プロジェクトチームは毎週引っ越しに向けた定例ミーティングを行い、その内容を議事録にまとめ、社内全体に進捗(しんちょく)状況をフィードバックしていく。

また生産性向上を目的として、新しいオフィスでは「フリーアドレス」の導入や開放的な「コミュニケーションスペース」の設置を検討することに。一部のスタッフから「他社事例などを参考にしてみたい」という声が上がったので、オフィス移転や職場改善の成功事例を持つ取引先企業を営業部から紹介してもらい、スタッフ数名で視察。社内の様子や体験談を担当者の方にヒアリングさせてもらった。

次に、移転までの具体的なタイムスケジュールを詰めていく。半年前、3カ月前、1カ月前までに達成すべきマイルストーンを設定。いつまでに何を終わらせておくべきか目標を明確化して、適切な進行管理を行っていく。

また視察に伺った会社の紹介で、引っ越し作業を依頼する運輸会社も決まり、当日までの段取りについて何度も打ち合わせを重ねていく。
移転は業務に支障の出ない休日に実施することになり、当日は、プロジェクトチームのメンバーが出勤して立ち会いを行うことに。荷物のチェックや移転先での設置作業、引っ越し業者への指示などを行いつつ、円滑な移転業務をサポート。無事に引っ越しが完了し、週明けからすぐに業務が再開できる環境を整えた。

引っ越し後は労働基準監督署や税務署、法務局への移転手続きを速やかに行い、取引先への住所変更の周知や名刺などの印刷物の変更なども順次実施していった。

移転完了後も、しばらくはプロジェクトチームの定例ミーティングを継続し、トラブルの有無や、社員の反応などを収集する。
フリーアドレスは営業部など一部の部署に限定して導入し、製品開発部など机にじっくりと向かうことが多い部署では、社員それぞれに広々とした個人デスクを配置。パーテーションで一人一人の空間を区切り、開発研究に集中できる環境を整えた。生産性が以前よりアップしたとの声が各部署から届いている。
またランチなどはもちろん、ちょっとしたミーティングなどにも使えるコミュニケーションスペースを設置したことで部署をまたいだ交流も増え、新たな製品・サービスのアイデアが活発に生まれるようになった。

「プラスアルファの価値を生み出す」という点では、今回の引っ越しは成功といっていいはず。プロジェクトチームで打ち上げを行った際には、社長も参加してくれて「エリコさんのおかげで、いい引っ越しができた。ありがとう」とねぎらいの言葉をかけてくれた。肩の荷が下りてホッと一安心。私も新しいオフィスで心機一転、頑張ろう!

エリコのひとり言

オフィスの引っ越しは、会社に新しい価値を提供するチャンスでもある。せっかく大変な引っ越しを行うからには、新たな取り組みにチャレンジしてみよう!

監修/小岩 和男

特定社会保険労務士・人事労務コンサルタント。

大学卒業後、私鉄系不動産企業に入社。20年近く総務人事業務に携わった後、社会保険労務士として独立。都内、日本橋に事務所を構え、上場企業から新設企業まで幅広いサポートを行う。メディアへの寄稿実績も多数。

引っ越しを機に、オフィスをまるごとLED化

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