2018年11月

総務部エリコのひとり言

採用力を強化して、企業の成長を加速せよ! の巻

エリコが勤める山シロ株式会社では、企業としてさらなる成長を遂げるために、「採用力を強化する」方針を採ることになった。今まで社内にはいなかったような、新しいタイプの人材獲得も期待されている。そうした中で、採用強化チームのリーダーに抜てきされてしまったエリコ。果たしてこのミッションを成功させることができるのか?

採用力の強化、何から手を付けるべき?

先週の経営会議を受けて、山シロ株式会社の来期方針が発表された。その中で今後、特に力を入れて取り組むべきものとして、「採用力の強化」が大きく掲げられている。

背景としてはまず、順調に売り上げを伸ばしているECサイト運営・スマホアプリの開発事業にさらに注力すべく、エンジニアをはじめとした技術系の人材を獲得したいということがある。また将来的に山シロは、本格的な海外進出も視野に入れているため、「グローバルに通用する人材が今のうちから必要である」という社長の意向もあるようだ。

そのためにも新卒・中途問わず、これまでの山シロにいなかったような新しいタイプの人材、ひいては次世代の山シロを担っていく人材を積極的に採用していきたいとのことだった。うちの会社も、今まさに変革のタイミングに来ているのかも……と考えると、何だか感慨深いものがある。

来期方針が発表されてから数日後、総務部長から直々に呼び出しを受けた。「一体、何の話だろう?」と恐る恐る行ってみると、どうやら今後の採用戦略についての話らしい。

うちの会社では、採用・人事関連業務も総務部にて行っている。ということは、今後の採用戦略の立案などについても、うちの部が中心となって推進していくということでもある。その採用強化チームのリーダーに、私を任命したいとの話だった。

正直、責任重大な役どころだから、プレッシャーも大きい仕事だ……。

私自身、これまで採用・人事関連業務に深く関わってきたわけではないので、「あまり自信がありません」ということを正直に部長に伝えると、「会社に新しい力を入れていくためには、エリコさんのような若手が中心に立たなければいけない!」「新しいチャレンジをするからには、経験がないくらいの人がリーダーにふさわしい!」などと熱く力説されてしまった。

何だかうまく丸め込まれたような気もするけど、そこまで言われたならやるしかない!

ちなみに我が社の採用面における現状を話しておくと、毎年、新卒社員を募集しているものの、採用人数は数名程度にとどまっており少々物足りない。中途採用においては、エンジニアなどの腕のある技術職の採用で苦戦しているのが実情だ。求人の窓口としては、自社ホームページと大手求人サイトへの出稿がメインとなっている。

どうもこれまでどおりのやり方を続けていては、大きな改善は見込めなさそう……。来週には早速採用強化チームの初回ミーティングが開催されることになり、そこで今後の方針などを話し合う必要がありそうだ。

さて、どうしたものか……。頭を抱えていたとき、大学スキー部の大先輩、社労士の小岩さんの顔がふとよぎった。小岩さんは会社員時代、人事担当者として、採用説明会などで全国を忙しく飛び回っていたと話していた気がする。もしかしたら、何かアドバイスがもらえるかも……?

採用担当者は会社の「顔」になる

エリコ
小岩さん、こんにちは。これ、駅前で買ってきたお土産です。
小岩さん
おお、豚まんですか。好物です。会社員時代は、採用関連の業務で全国あちこち回っていましたが、大阪に行ったときなんかよく食べていましたよ。ありがとうございます。そういえば、今回話が聞きたいというのも、ちょうど採用のお話でしたね。
エリコ
そうなんです。実はうちの会社、「今後は採用にもっと力を入れていこう」ということになりまして。今まで社内にいなかったような、新しいタイプの人材を獲得していきたいみたいなんです。それで採用強化チームのリーダーに私が任命されたのですが、今まで採用・人事関連業務はあまりやったことがなくて、勝手が分からず……。
小岩さん
なるほど。しかしいつもながら、エリコさん、なかなか重要な業務を任されていますね。ではエリコさん、採用戦略を考えるうえで、まず大事なことって何だと思いますか?
エリコ
そうですね……。「どういう人材を採用したいか」、求める人材のビジョンを明確にしておくことは大切な気がします。
小岩さん
いいですね! すごく大切なことですよ。それに関連して大事なのが、会社の経営方針とリンクした採用方針を考えること。これから会社がどんな方向に進んでいきたいのかを考えたうえで、そのためにどんな人材が必要なのかビジョンを明確にする。
「人が辞めたから、その分を補充しよう」というような、計画性のない場当たり的な採用ではうまくいきません。経営戦略と採用戦略は密接に結び付いていることを押さえておくべきです。
エリコ
なるほど! うちの会社は社長との距離も近いし、社長にもガンガン採用に関与してもらった方がよさそうですね。
小岩さん
そうですね。社長や管理職もどんどん巻き込んでいけたらベターです。
エリコ
ほかに採用担当者が心掛けておくべきことなどはありますか?
小岩さん
採用・人事担当者は会社の「顔」であるのを肝に銘じておくことです。採用の窓口となる人は、学生や求職者が最初に会う人ですから、その人次第で会社のイメージが左右されると言っても過言ではありません。
エリコ
会社の顔……責任と自覚が必要ですね。
小岩さん
後は新卒採用の担当者がベテラン社員ばかりなら、思い切って若手社員を主軸に据えた採用チームを作るのもいいでしょう。年齢が近い方が、学生もざっくばらんに話せたり、お互いによりリアルな声が聞けたりしますからね。
またマッチングを高めるために、新卒や中途をはじめ、欲しい人材にあわせて、採用アプローチを変えるのも有効な手だと思います。
エリコ
どういうことでしょうか?
小岩さん
例えば最近の若い人は会社選びのときに、仕事内容だけでなく、社内の風通しの良さや福利厚生、職場環境などを重視する人も多いです。そこで自社サイトの採用ページなどでも、単純な業務紹介だけでなく、そういった社内の雰囲気を伝えるコンテンツを用意してみる。
ほかにも、中途採用で即戦力が欲しい場合は、積極的なヘッドハンティングや信頼できる転職エージェントと提携して、スキルのある人を狙い撃ちしてみたり。
エリコ
なるほど。採用ターゲットに合わせて、窓口となるメディアや、そこでの表現を変えてみるわけですね。
小岩さん
特にエリコさんの会社では、これまでさまざまな働き方改革に取り組んできた経緯もあります。そうした事例などを発信すれば、採用面においても必ず大きな強みになると思いますよ。
エリコ
確かに、今まで取り組んできたことを無駄にする手はないですね!
小岩さん
また採用活動における情報発信では、自社の良いところだけでなく、現状の課題などマイナス面も含めた、ありのままの情報を伝えることを意識してみてください。これは「リアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)」と呼ばれる手法です。
自社のあり方を誠実に伝えることで、入社してから「想像していた会社と違う」というような求職者側とのミスマッチを防ぎ、離職率軽減も期待できますよ。

自社の課題点やマイナス面も含めた誠実な情報発信を

小岩さんからのアドバイスのおかげで、やるべきことが明確になってきた。大きなポイントとしては、これまでのように明確なビジョンのない「場当たり的採用施策」を避けること。そのために、社長にも採用戦略を練るうえで深く関わってもらえないか打診したら、二つ返事でOKをもらえた。

採用強化チームの初回ミーティングは社長にも同席してもらい、あらためて今後の経営方針や会社が進む方向性をチームメンバーに共有してもらうと同時に、全員でディスカッションを行いながら、山シロが今後求める人物像を明確化していく。

その結果、ざっくりと以下のような人物が今後必要だということにまとまった。

  • 課題や問題に直面したとき、柔軟な発想で解決策を提示できる人
  • 他者を引っ張っていける強いリーダーシップとコミュニケーション力を備えた人

前者は、主にエンジニアなどの技術職に求める人材。後者は今後のグローバル展開を見据えたときに、戦力になってくれるだろう人材だ。ここで明確になった人物像をベースにしつつ、年間の採用スケジュールや採用目標人数、採用媒体などの具体的な計画を詰めていく。

それに伴い、外部のWeb制作会社と協力して、山シロの自社サイトに、新たに採用コンテンツを立ち上げることになった。業務紹介はもちろん、社長メッセージや社員インタビュー・座談会といったコンテンツを通じて、外からは見えづらい内部の情報を発信していく。会社のクリアすべき課題などについても、トピックとして盛り込むことで、透明性の高い情報発信を心掛ける。女性の就業支援や副業推進など、これまで取り組んできた働き方改革の事例なども、プロジェクトストーリー的に紹介することにした。

新卒採用においては、地方の就活イベントなどにも積極的に参加。遠方の学生にも考慮し、Web面接といった新しい面接方法なども取り入れながら、より多くの学生と接触する機会を増やした。また中途採用においては、転職エージェントやヘッドハンティング会社なども活用しながら、優秀なエンジニアとの接点を作っていく。

こうした取り組みを通じて、結果的に過去最高の新卒応募者数を獲得することができた。中途採用においても、大手IT企業や有名ベンチャー企業からの応募が集まった。これから、本格的な面接などが始まっていくが、ひとまずの結果に社長も大いに満足してくれたようだ。

現在は入社後の社員の定着率向上や離職率防止なども視野に入れて、「人事評価制度の見直し」などにも着手しようとしている。優秀な人材に長く働いてもらうためには、入社後の環境もワンセットで整えておくことが大切だ。今後も採用力強化の取り組みは続いていくが、ひとまずの区切りとしては手応えを感じているので、これからも気を緩めずに取り組んでいきたい。

エリコのひとり言

採用担当者は会社の「顔」となる責任が伴うのを自覚すべし。また情報発信においては、自社の課題についても誠実に伝えること。採用力強化の大きなポイント!

監修/小岩 和男

特定社会保険労務士・人事労務コンサルタント。

大学卒業後、私鉄系不動産企業に入社。20年近く総務人事業務に携わった後、社会保険労務士として独立。都内、日本橋に事務所を構え、上場企業から新設企業まで幅広いサポートを行う。メディアへの寄稿実績も多数。

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