2018年12月

総務部エリコのひとり言

ダイバーシティ・マネジメントで、組織の多様性を高めよ! の巻

エリコの勤務先は、将来的な海外進出や上場を視野に入れ、マンパワーをより充実させるために採用強化に取り組んでいる。このたび、外国人従業員など、より多様な人材を受け入れるために「ダイバーシティ・マネジメント」の方針を定めることになった。採用チームのリーダーとして、そのかじ取りを任されたエリコ。果たしてこのミッションを成功させることができるのか?

ダイバーシティ・マネジメントの指針を定めるために

私が勤める山シロ株式会社では、海外進出や上場を視野に入れ、ここ最近さまざまな新しい取り組みをスタートさせている。採用強化の取り組みもその一環だ。採用強化チームのリーダーに任命された私は、慣れないながらも、メンバーのサポートを受けて頑張る毎日が続いている。

採用力を強化して、企業の成長を加速せよ! の巻(総務部エリコのひとり言)

そんなある日、採用強化チームの定例ミーティングに珍しく社長が参加。社長は熱っぽく「グローバルに通用する人材を充実させるためにも、今後は外国人従業員や留学生インターンを始め、より多様な人材を積極的に採用しよう!」との思いを語ってくれた。そこでまずは、社内体制を整えるために「ダイバーシティ・マネジメント」の根本的な指針を、会社としてしっかり定めようという話になった。

そこで、チームリーダーである私が中心となり、ダイバーシティ・マネジメントの方針策定/社内体制の構築に取り組むことに。さて、何から手を付けるべきか……。あれこれ考えていると、社労士の小岩さんから電話がかかってきた。何やら出張から帰ってきたばかりで、お土産を買ってきてくれた、とのこと。受け取りがてら、ちょっとアドバイスを聞いてみようかな……?

ダイバーシティにまつわる二つの考え方

エリコ
小岩さん、こんにちは。
小岩さん
こんにちは、エリコさん。とある企業から働き方改革に関する講演依頼があって、昨日出張から帰ってきたばかりなんです。お土産に、現地で人気の大福を買ってきたので、よければどうぞ。
エリコ
いつもお世話になってばかりなのに、お土産まで頂いちゃってすみません。なんて言っておきながら、今日もちょっとご相談がありまして……
小岩さん
電話でおっしゃっていた「ダイバーシティ・マネジメント」の件ですね。以前から、エリコさんの会社では、女性や障がい者の皆さんが働きやすい環境づくりなど、ダイバーシティにまつわる施策に取り組んでいましたよね。

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エリコ
そうなんです。今回はもっと大枠の指針づくりに取り組もうという話になりまして。
小岩さん
なるほど。ではエリコさん、ダイバーシティには大きく二つの考え方があるのをご存じですか?
エリコ
二つの考え方……どういうことでしょう?
小岩さん
ダイバーシティと聞いて多くの人がパッと思い浮かべるのは、女性や高齢者、障がい者、外国人労働者といった多様な人材が働きやすい環境をつくる、といったことでしょう。
エリコ
そうですね。
小岩さん
それが一つ目のダイバーシティ。性別や年齢、国籍などの外面的な属性に関わるものですね。
エリコ
それとは別のダイバーシティがあるのですか?
小岩さん
二つ目が表面からは見えづらい、より深い部分のダイバーシティ。例えば、社員個々人の仕事への向き合い方や自身のキャリア、ひいては人生に対する考え方など、内面的な価値観や考え方のことです。エリコさんの会社は、こっちのダイバーシティについても考えるべき良いタイミングに来ているのだと思います。
エリコ
この先、うちの会社が多様な能力/パーソナリティーを備えた魅力的な人材を獲得するためには、価値観や考え方といった多様性も尊重できるような土壌を育まなければいけない。そういうことでしょうか?
小岩さん
そのとおりです。そうした土壌を育むために、まずは社内全体にダイバーシティの共通認識を浸透させることに取り組んでみてはいかがでしょう?
エリコ
具体的に、どうすればいいのでしょうか?
小岩さん
まず重要なのは、ダイバーシティ・マネジメントと人事評価制度はワンセットで考えるということ。これは大前提ですね。多様な価値観/考え方を持った社員をマネジメントするためには、社員一人一人の特性や能力、パーソナリティーを上司がしっかり把握したうえで、適材適所に配置しなければいけません。
例えば、社員全員が「バリバリ働いて出世したい!」という人ばかりではありませんよね。「仕事よりも家庭や子育てを優先したい」という人も中にはいます。そのような人たちの価値観や考え方にもマッチする、キャリアプランの選択肢を用意しておくことが大切なのです。
エリコ
そのためには、上司と部下の密な意思疎通/コミュニケーションが重要になりますね。
小岩さん
そうですね。管理職のミッションは、部下に点数を付けることではなく、一人一人の成長を後押しすることです。ゆくゆくは、それが会社の成長にもつながるわけですから。管理職には、一人一人の人間とじっくり向き合う姿勢が求められると思います。
エリコさんの会社にも、部下を伸ばすのが得意な管理職がいるでしょう。そうした人たちにロールモデルになってもらって、管理職の意識改革に取り組むのも、一つの手ですよ。

ダイバーシティについて、より深く考える会社をつくるために

小岩さんから大事な考え方を教わった。山シロを社員の多様性を生かせる会社にするためには、「社員の声」を業務やキャリアプランに反映できる体制を整えなければならない。採用強化チームをはじめ、社長や総務部長にもそうしたことを説明し、まずは会社の土壌づくりから始めることになった。

まずは、社長から全社員に向けて、山シロのダイバーシティへの姿勢を周知してもらう。女性や高齢者、障がい者、外国人などの外面的な属性だけではなく、社員一人一人の価値観や考え方を重視する会社を目指していく方針であることを、あらためてアナウンス。全ての社員に、ダイバーシティ・マネジメントを「自分ごと」として捉えてもらう。

加えて人事評価制度の改革にも着手する。上司と部下のコミュニケーションをより密なものにするために、上司との定期面談を3カ月ごとに実施。目標設定やその到達度の確認、今後やりたい業務やキャリアプランなど、項目を細かく設定しながら、認識の擦り合わせを行う。個々人の仕事やキャリアに対する考え方を明確にしつつ、それに見合う働き方やキャリアパスを選択できる体制、それがひとまずのゴールだ。

より細やかなマネジメントを実施するために、管理職向けの勉強会も開催。部下への指導やコミュニケーションに定評がある複数の社員に講師となってもらい、各自のノウハウを共有することで、管理職全員のマネジメント能力の底上げを図った。

これらの施策に取り組み始めてから、社内の雰囲気がガラリと変わった。管理職は一人一人の部下の意見を尊重するようになり、頭ごなしの指導や大ざっぱなマネジメントが少なくなった。「今までは漠然としていたキャリア像が、明確に描けるようになった」と社員のモチベーションアップにつながったり、伸び悩んでいた社員がこれまでとは違う方向性でポテンシャルを発揮したりするようなケースも出てきた。

ダイバーシティについて、一層深く考えることのできる社員が増えたことで、会社として多様な人材を受け入れる土壌が整ってきたようだ。今回の取り組みをはじめとして、多様な人材がのびのびと働ける職場づくりに、継続して励んでいきたい。

エリコのひとり言

ダイバーシティと一口に言っても、個人の属性に関わる外面的なものと、価値観に関わる内面的なものがある。そのどちらも視野に入れて、マネジメントを行うことが大切!