2019年 1月

総務部エリコのひとり言

テレワークを導入し、生産性をアップせよ! の巻(前編)

より柔軟な働き方を実現するために、「テレワークの導入」を検討することになったエリコの会社。「在宅勤務」などは一部の社員を対象に既に導入しているが、全社的な導入となると、多角的な視点で検討すべき事柄も多い。導入に向けて、まずは運用方針を考えることになったエリコだが、果たしてこのミッションを成功させることができるのか?

より柔軟な働き方を実現するために

私が勤める山シロ株式会社では、以前、小学六年生以下の子どもを持つ社員を対象に「在宅勤務制度」(2018年1月公開「仕事と子育ての両立支援で、女性が働きやすい職場をつくろう! の巻」参照)を導入した。導入後の経過を調査したところ、子どもを持つ女性社員を中心に反響が大きく、「『働き方』を柔軟に考えられるようになった」という肯定的な意見も多く寄せられた。

仕事と子育ての両立支援で、女性が働きやすい職場をつくろう! の巻(総務部エリコのひとり言)

こうしたフィードバックを受けて、「全社的にテレワークの導入を検討してみよう」と、経営会議の場で社長から提案があったらしい。働き方改革への機運が高まっていることも受けて、社長はかなり乗り気のようだ。

というわけで、いつものように総務部長から呼び出されたと思ったら、「テレワーク導入に向けて何をすべきか、アイデアを考えてほしい」とのお達しを受けた。社員のみんなが少しでも働きやすい環境を実現するために、やってみる価値はありそう。

とはいえ、全社的な導入となると規模もこれまでより大きくなるし、一口にテレワークと言ってもいろいろな種類があるようだ。山シロにとって、どのような体制でテレワークを導入するべきか、事前にしっかりと考える必要がある。

そういえば先月、大学スキー部の大先輩でもある社労士の小岩さんが、企業に招かれてテレワークの導入に関する講演をしたと言っていたな。何かヒントになるアドバイスがもらえるかもしれない。新年のあいさつもまだしていないし、あいさつがてら話を聞きに行ってみようかな……?

「ワーク」と「ライフ」の双方に目を向ける

エリコ
小岩さん、明けましておめでとうございます。これ、正月に実家に帰ったときのお土産なんですけど、よかったらどうぞ。
小岩さん
ほう、柿のスイーツですか。おいしそうですね、いつもありがとう。エリコさんには、去年もいろいろとおいしいものを頂きましたね。で、今日はテレワークについて話を聞きたいそうですね?
エリコ
そうなんです。うちの会社では以前、一部の社員を対象に「在宅勤務制度」を導入したんですけど、これを全社的なテレワーク導入へと拡大していこうという話になって。
小岩さん
なるほど。ではエリコさんに一つ質問。エリコさんの会社で、テレワークを導入する目的は何ですか?
エリコ
それは……社員がより働きやすい環境を提供するため、ではないですか?
小岩さん
そうですね。もっと突き詰めると、社員に働きやすい環境を提供するのは何のためでしょう?
エリコ
生産性を向上させるため……でしょうか?
小岩さん
そのとおり。テレワークを導入する目的は、あくまで業務における生産性と効率のアップを図るため。「働き方改革がはやっているからテレワークを導入する」というような考え方では本末転倒です。自社の業務にとって、本当にテレワークの導入が必要か、ということをまず考えるべきですね。
エリコ
例えば、テレワークはどのような業務に向いているのでしょうか?
小岩さん
まず営業や顧客サポートなど外勤が多い仕事。後は企画とかデザイン系とかのクリエイティブ職、研究職や記者・編集などの仕事は適合性が特に高いでしょうね。事務系の仕事もテレワークとの相性は良さそうです。
エリコ
なるほど。テレワークと一口に言っても、幾つか種類があるみたいですが……。
小岩さん
そうですね。テレワークは大きく以下の三つに分けることができます。
  • 在宅勤務

    パソコンやスマホ、タブレットを駆使して自宅で作業する働き方。

  • モバイルワーク

    ノートパソコンやタブレット端末などを活用して、オフィスや自宅に限らず、車内やカフェなど、「いつでもどこでも」仕事ができる働き方。営業や顧客サポートなど外勤が多いワークスタイルに向いている。

  • サテライトオフィス勤務

    普段勤務している職場以外に別のワークスペースを設けるような働き方。他社とオフィスをシェアして、共同開発や共創などに取り組むようなケースも多く、研究開発職などとも相性が良い。

部署や職種ごとに異なるような、各所に適したテレワーク体制を導入してみるのも一つの手かもしれません。
もう一点、テレワーク導入を考えるときに重要なのが、会社の状況だけでなく、社員の一人一人が置かれている状況にも目を向けることです。

エリコ
どういうことでしょうか?
小岩さん
例えば、小さな子どもがいる社員や、親の介護をしなければならない社員など、それぞれが置かれている個別の状況がありますよね。そういった人たちが、家庭の事情などで仕事を辞めてしまうのは、本人だけでなく会社にとっても大きな損失でしょう。
社員それぞれの生活が変化していく中で、常に働きやすい環境を作るためにも、テレワークは有効なのです。「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がありますが、社員それぞれの「ライフ」の部分にも目を向けて、柔軟な体制を構築してみてくださいね。

まずは3カ月間のプレ導入からスタート!

小岩さんからの助言を受けて、まずは自社の職種と社員一人一人の状況ごとに、適切なテレワークの種類を洗い出すことに。

営業職はモバイルワーク、研究開発職はサテライトオフィス勤務、介護・育児などに注力しなければならない人には在宅勤務など、効果的なテレワークの振り分け方を考えてみた。

続いて部署ごとの代表者に集まってもらい、テレワークについての意見を聞いてみる。「設計開発職は、遠方から出勤しているエンジニアも多いため、導入はありがたい」「持病を抱えて出勤が難しい人のためにも、テレワークはきっと有効なはず」「全社で一気に導入すると、業務に支障が出る心配はないか?」など、活発な議論が交わされた。

そこでの意見を参考に、テレワークの社内ルール草案を作成。本格導入の前に、一部の部署などを対象にプレ導入を行うことになった。

モバイルワークについては、外回りの多い営業部を中心に実験的に導入。また会社近くのシェアオフィスやコワーキングスペースを借り、研究開発部などの社員はそこを利用できるようにした。さまざまな企業が借りているオープンなスペースらしいので、新しい交流やビジネスが生まれることも期待している。
在宅勤務はこれまでと同様、子どもがいる社員を対象にするが、介護に取り組んでいる社員や、病気などで通院が必要な社員なども適応範囲に含めることにした。

社長からもテレワーク導入のアナウンスを全社員に向けて発信してもらい、社員一人一人に適した働き方の実現を、会社を挙げてサポートしていくことを伝えてもらった。

まずは三カ月を目安に運用を行い、その結果を見て、その後の運用体制について検討する。働き方の自由度がアップするということで、社員の士気は高い。プレ運用スタート後も気を抜かず、改善点などを見つけながら、柔軟にブラッシュアップしていきたい。

エリコのひとり言

柔軟なテレワークの運用体制を考えるには、自社の業務や職種など「ワーク」の部分はもちろん、社員一人一人の「ライフ」の部分に目を向けることも大切!