2019年 2月

総務部エリコのひとり言

テレワークを導入し、生産性をアップせよ! の巻(後編)

より柔軟な働き方を実現するために、「テレワークの導入」を検討することになったエリコの会社。3カ月間のプレ導入を実施したところ、幾つかの課題が浮き彫りになってきた。運用方法の最適化を図るため、エリコが中心となって改善策を考えることになったが、果たしてエリコはこのミッションを成功させることができるのか?

テレワーク。3カ月間のプレ導入を経て……

テレワークの本格導入に向けた、3カ月間のプレ導入期間が終わった。実際に取り組んでみて、各自の業務にどのような効果や影響があったのか? 現場の声が知りたいところだ。テレワークを実際に体験した従業員へのアンケート調査と、関係部署の管理職を対象とした対面調査を行うことになった。

「場所に縛られない働き方ができるのはうれしい」「働く意欲だけでなく、生産性も上がった気がする」など、反応はおおむね良好だ。しかし、以下のような課題も浮き彫りになった。

  • 業務プロセスが見えづらいため、管理職側からするとマネジメントしにくい
  • 勤務時間や勤務状況が見えないことで、従業員同士、または、管理側にも不安感がある
  • 判断に困る状況に陥ったとき、上司が目の前にいないため、判断を仰ぎづらい
  • 公共の場で作業を行う際に、セキュリティ面が気になる

とりわけ管理職側から、マネジメントを行ううえでの懸念の声が多く寄せられた印象だ。また一部の社員は、そもそもテレワーク導入に対してのモチベーションが低く、「会社から言われたからとりあえずやる」「本当にテレワークをやる意味があるのか、イマイチ分からない」という声もあった。そのような社員のマネジメントに困っている管理職もいるようだ。

すぐに調査結果を総務部長に報告。マネジメント面での懸念を解消することを中心に、改善策を講じることになった。うわべだけでなく、管理職と従業員双方の根本的な意識改革も必要な気がする。一人で頭を抱えていても、なかなか良いアイデアが浮かばない……。ここはひとつ、経過報告も兼ねて、社労士の小岩さんに話を聞きに行ってみよう。

マネジメントや労務管理をいかに行うかがカギ

エリコ
小岩さん、また急なご連絡でスミマセン。これ、お土産のチョコレートです。バレンタインも近いですし、いつもお世話になっているお礼も込めて。
小岩さん
駅ビルに新しく入ったベルギーチョコレートですね。気になっていたので、うれしいです。今日はまたテレワークについてのご相談ということですが、プレ導入後の経過はいかがですか?
エリコ
従業員の反応も良く、おおむねうまくいっているようですが、幾つか課題も出てきました。多くはマネジメント面での課題なんですけど。
小岩さん
なるほど。マネジメントはもちろん、労務管理をいかにうまく行えるかがテレワーク成功のカギでもありますね。上司と部下に物理的な距離ができてしまうため、業務プロセスや勤務時間の把握が難しかったりしますから。
エリコ
どうすればいいんでしょう?
小岩さん
まず基本的なことですが、報告・連絡・相談を徹底すること。フレキシブルな「報・連・相」のためにも、グループウェアの活用がオススメです。エリコさんの会社は確か、グループウェアを導入していましたよね?
エリコ
はい。ただテレワークの報連相ツールとしては、そこまで活用できていなかったです。
小岩さん
テレワークを行う際の報告の仕方や、どのような内容を報告すべきか、報告タイミングや、個人の判断に迷うようなケースの対応方法などは文書化して、従業員に配布しておいた方がいいですね。
エリコ
後は一部の社員に、テレワークに対する積極性がそこまで見受けられないということもあります。
小岩さん
なるほど。管理職側から業務に対する的確なフィードバックがないと、テレワークを行う社員も「働きぶりを本当に見てくれているのか?」と不安になったり、やる気がなかなか上がらなかったり、ということが考えられます。
エリコ
なるほど。
小岩さん
管理職側が的確な業績評価を行うためにも、密な報連相が重要だということを従業員と管理職、双方にしっかりと理解してもらうべきですね。
エリコ
その辺りは、総務部からも全社に周知させようと思います。
小岩さん
それもいいですが、そうした改善を経営層や総務部主導で行うのではなく、実際に使う側である従業員の意見を反映しながら運用方法をブラッシュアップしていく意識を根付かせることも大切ですよ。
エリコ
トップダウンではなく、ボトムアップで。ということですね?
小岩さん
そうです。そうすることで、テレワークにも愛着が湧くし、自分たちの手でより働きやすい環境にしていこうという士気も上がっていくはずですから。

定期的な振り返りで、適切な運用方法を探っていく

小岩さんからのアドバイスを受けて、まずはテレワークを実際に体験した従業員を集めて、改善案や要望を出し合ってもらった。そうすると、アンケートでは良い評価を付けていた社員も、いろいろ感じていたことはあったようで、ざっくばらんにさまざまな意見が出てきた。その内容を元に、あらためて改善策を考えていく。

まずはテレワークによるマネジメント面の課題を解決するために、既に社内で導入しているグループウェアを大いに活用するよう推進する。これまでグループウェアはメールなどのサブ的ツールとしての位置付けだったが、社内コミュニケーションはできるだけグループウェアを通じて行うよう推奨した。

またテレワークを行う日は、事前に作業を行う場所やエリアを、上長に報告するよう社員に通達した。業務終了時には、業務報告と作業の進捗状況を日報も兼ねてグループウェアで報告することを義務付けた。

管理職側も、グループウェアを通じたマネジメントを行う必要があるため、慣れない管理職にとっては当面の間、負担が増えることになる。しかし研修などを通じて、「生産性向上」という当初の目的をあらためて理解してもらい、普段からツールの使い方に慣れてもらうことで、以前よりきめ細やかなマネジメントを実現できるようになった。

あわせて、テレワークの際にPCやモバイル機器類の持ち出しがある場合は、備品持ち出し用のチェックリストを付けるようにしたり、これまで紙で持ち出していた書類をデータ化したりすることで、セキュリティに対する意識を高め、対策することができた。

これらの方針をテレワーク運用のガイドラインとして文書化し、全従業員に配布。従業員からの改善要望があれば、その都度改定していく旨も明記しておく。当面は今後も3カ月ごとに振り返りを行い、ブラッシュアップを繰り返しながら、テレワークの適用範囲を拡大していく予定だ。

エリコのひとり言

テレワークの運用が成功するカギは、いかにマネジメントや労務管理をうまく行えるか。グループウェアなどのツールを活用し、上司と部下の物理的な距離を縮めよう!