コミュニケーションを加速させるビジネスチャット

メールソリューションを事業の中核としているサイバーソリューションズが2018年12月に行った「コミュニケーションに関する調査」(従業員数200人以上の企業に勤務する、主任クラス以上の会社員・経営者500人が対象)によると、全社でコミュニケーション手段として利用しているツールの割合は、メールが96%、電話が95%と圧倒的だ。

しかし、メールには欠点も多い。サイバーソリューションズの代表取締役社長 秋田健太郎氏は、「昨今、企業のビジネス展開が高速化しワークスタイルが変革する中で、コミュニケーション手段をメールだけに頼るのはもう限界を迎えている」と指摘する。

同社の調査の中で、社内連絡にメールを使用することにおいて、どのような点に不満を感じるか、という質問に対して(複数回答)「自分が送信したメールに対して、相手の未/既読が分からない」(35%)、「メールの作成に時間がかかる(メールの件名、本文、あいさつ定型文が煩わしい)」(32%)などが多く挙がっており、働き方改革の影響もあってか、迅速なやり取りを求める人が多くなっていることが伺える。

そこで昨今では、ビジネスチャットが注目されている。1対1、あるいはグループでのチャットも行えるなど、基本的な使い方はLINEのようなコンシューマ向けのチャットサービスを意識しているものが多いが、安全な環境でメッセージをやり取りでき、ビジネスでの利用に向いた機能、管理機能などを備えている点が大きな違いとなる。

Chatworkの「Chatwork」や、グローバルで人気があり、国内でも普及しつつある「Slack」、LINEの兄弟会社であるワークスモバイルジャパンが開発したビジネス版LINE「LINE WORKS」など、さまざまなサービスが提供されているので、目にしたことがある人も多いはずだ。

またマイクロソフトも、Office 365において、チャットを主体としたコミュニケーションツール「Microsoft Teams」を提供。コミュニケーション/コラボレーションのハブとして推進するようになった。

業務をより便利にするビジネスチャット

そうした、コミュニケーションの利便性を高める点が注目されているビジネスチャットだが、単なるコミュニケーションツールを超えた、業務に欠かせないツールとして利用されるケースが増えている。

例えば、日報や業務報告書としてビジネスチャットを利用するケースだ。チャット機能そのものを日報代わりに利用しているケースも多いというが、例えばワウテックの「WowTalk」では、日々の業務の報告に利用できる「日報機能」を備えている。日報や週報、月報のような、あらかじめフォーマットが決まった定期的な報告業務に利用でき、提出された報告を一元管理することが可能だ。

日報はテンプレートに沿ってテキストを入力するだけで作成が完了。提出状況の「確認済み」「未確認」のログを残せるため、確認担当者も確認の抜け漏れを防ぐことができる。

L is B(エルイズビー)が提供している「direct」でも、こうした機能が提供されている。directはさまざまなチャットボットの提供に力を入れているが、その中でボットの質問に答えていくと日報が作成される「一行日報ボット(Excel)」や、店舗の建設予定地などの調査情報を写真付きの報告書にできる「現場報告ボット(Excel)」などが用意された。

またユニークなところでは、ACCESSが「Linkit」をベースにした法人向け動態管理サービス「Linkit Maps」を提供開始している。アプリをスマートフォンにインストールするだけで利用開始でき、外回り要員の訪問ルートや位置情報を地図上にリアルタイムで表示して共有し、チャットで連絡を取り合える。

さらに、あらかじめ複数の訪問先の住所を登録することにより、従業員間で訪問ルートの共有や訪問先のバッティング回避にも活用可能。過去の時刻を指定して移動履歴を表示できるので、訪問履歴をエビデンスとして利用したり、PC上で活動履歴を自動保存し、効率的なルート分析を行ったりすることも可能とした。

一方で、従来のコミュニケーション手段との連携を重視し、メールシステムを軸にビジネスチャット機能を提供するというアプローチを採用しているのが、サイバーソリューションズの「CYBERCHAT」だ。

社内でのカジュアルなコミュニケーションはチャットで行えても、社外とのやり取りはメールで、というすみ分けになることも多く、企業によってはそれぞれに情報が分断されてしまうケースもあるという。そこを一気通貫で管理できる点が強みだ。

また自社のメールシステムのオプションとして提供するので、同社のユーザーであればシステムを構築・管理する必要もなく、「旧来のメールシステムを“これからのメールシステム”に変えることができる」とアピールしている。

社外との接続を効果的に行える製品も

また、ビジネスチャットの利用範囲を拡大するような製品も出ている。本来、ビジネスチャットは社内で利用するケースが多いが、L is Bが提供する前述のdirectは「direct GuestMode」という機能を提供している。これは顧客など、社外のメンバーをdirectのチャットに招待できるオプションサービスで、directを使って企業担当者と顧客がホットラインのような1対1の関係でつながれるようになる。

ゲストとして招待された顧客からは企業担当者と1対1でつながっているように見え、一方、企業担当者からは、担当する全ての顧客(ゲスト)と1対多で会話を行っていけるのだ。

LINE WORKSは、開発・提供しているワークスモバイルジャパンがLINEの兄弟会社という立場を生かして、コンシューマ向けのLINEユーザーと個別、あるいは複数人でのチャットを行えるようにした。

例えば、LINE WORKSを導入している問屋が、顧客となる販売店の従業員と連絡を取りたいと思った場合、その従業員が利用しているLINEと接続してチャットを行う、といったことが可能なわけだ。

また、他社のLINE WORKSユーザーともチャットを行えるほか、外部グループ作成機能も備えているので、パートナー企業や協力会社と、チャット以外の機能を利用した情報共有、日程管理なども行うことができる。こうして、顧客や取引先とのコミュニケーションをLINE WORKSひとつで完結できる点は大きなメリットだろう。

このように、使い方が広がっているビジネスチャットだが、本来のメリットは気楽にコミュニケーションを図れるという点だ。せっかく導入しても使われなくては意味がない。多機能なものが良いのか、それともシンプルだけど使いやすいものが一番なのか。機能、特徴をよく比較し、自社、あるいは部署に親和性が高いものを選択するようにしよう。