遠隔会議で時間やコストの無駄を削減

メールや電話ではなく、直接顔を合わせて密にコミュニケーションを取りたい。そうした場合、かつては遠隔地へ出張したり、1カ所に集合したりして会議を行っていたが、そのために多くの時間とコストがかかっていた。

例えば、広域に多店舗を展開している小売店において、各店の店長を1カ所に集めようしても簡単にはいかない。移動にはコストがかかるだけでなく時間も取られてしまうため、リモートから参加することが可能になれば、大きな効率アップが見込めることになる。

  

こうした場合に用いられるのが、電話会議やテレビ会議、Web会議(ビデオ会議)といった遠隔会議ソリューションだ。

 

電話会議は、その名の通り、電話を利用して音声による遠隔会議を実現するもの。電話さえあれば利用できるので、特別な設備を必要とせず、手軽にはじめられるメリットはあるが、音声のみのため相手の表情が見えず、フェーストゥフェースの会議に比べてコミュニケーションに食い違いが生じやすい、資料の共有ができないといったデメリットがある。こうした点は電話以外の手段を利用する音声のみの会議でも同様で、手軽さとのトレードオフ、ということになるだろう。

 

一方でテレビ会議やWeb会議といった、映像と音声を利用した遠隔会議は、電話会議と比べて利用までのハードルは高くなるものの、お互いを見ながらコミュニケーションを行え、相手の表情などを確認しやすくなる点は映像ならではの大きなメリットといえる。

高品質だが高価なテレビ会議

テレビ会議とWeb会議、両者の違いについて明確な定義はないが、一般的には、専用の端末やシステムを用意する必要があるものをテレビ会議、PCやタブレット、スマートフォンなどを端末として利用するものをWeb会議(ビデオ会議)と呼ぶことが多い。

テレビ会議は高価な端末を利用したり、帯域を確保した専用回線を使ったりするものが多く、高品質な映像や音声を用いて安定した通信を行える点がメリットとされている。このため、個人用の端末も存在はするが、どちらかといえば多人数が集まった会議室と会議室を接続し、定例会議を遠隔で行う、といった用途で用いられることが多く、かつては、タンバーグ(2009年にシスコが買収)やポリコム、国内企業ではソニーやパナソニックといったメーカーから多くの製品が提供されていた。

Web会議の普及とともに利用されるケースは減ったものの、画質や音声の良さなどを重視する場合は、今なおこちらを選択することになるだろう。

なお遠隔会議では、当然のことながら、その場に居ない人同士をITの力でむすびつけて会議を行うため、1カ所に集まって開催する会議(以下、実際の会議)よりも没入感や臨場感が落ちてしまう。

そこで、等身大の映像を映せる高解像度、相手の息づかいまで届けられるような高品質な音声を備え、直接対面しているかのような環境を提供する「TelePresence(テレプレゼンス)」というソリューションが、テレビ会議の1ジャンルとして存在する。

ただし、高性能な映像・音声機器を用いたり、照明やインテリアなども含め、部屋ごと遠隔会議に最適化させたりする性質上、価格が一般的なテレビ会議よりもさらに高価になってしまう。また、テレビ会議やWeb会議の製品・サービスがどんどんと進化して没入感を高めていることもあって、最近では導入される機会も減ってきたようだ。

進化するテクノロジーの恩恵を受けるWeb会議

一方、参加者が所有するPCなどのデバイスと安価なカメラを用いるWeb会議は、費用を抑えて導入できる点が特長。利用できるデバイスもあまり選ばないため、勤務先だけでなく、出張先や外出先、自宅など場所を選ばずに利用できる点を特徴としている。

また、複数拠点の接続には多地点接続装置(MCU)が必要となるテレビ会議とは異なり、大抵のWeb会議はサーバー機能がクラウドサービスとして提供されるので、導入が容易である点もメリットだろう。

ただし、汎用デバイスとソフトウェアの組み合わせで遠隔会議を実現するため、映像の品質は専用端末に比べると落ちる場合が多いほか、一般的なインターネット回線を利用する都合上、回線が不安定になる場合もテレビ会議と比べると多くなっている。

それでもWeb会議は近年どんどんと進化を遂げており、その品質も向上している。シスコの「Cisco Webex Meetings」やマイクロソフトの「Skype for Business」「Microsoft Teams」、国内ベンダーではNTTテクノクロスの「MeetingPlaza」、ブイキューブの「V-CUBE ミーティング」といったあたりが著名なサービスだ。

最近では、使い勝手の良いUI、低帯域でも途切れにくい圧縮技術などの特徴を持つ、Zoom Video Communicationsの「Zoom」が注目を集めるようになるなど、新しいサービスも次々に登場。機能面でも、複数言語間での翻訳、女性が在宅勤務している際などにメークを仮想的に施してくれるバーチャルメークなど、新しい機能が登場してきた。技術の進歩とユーザーのニーズを反映し、今後もさまざまな機能強化が行われていくだろう。

また、外部の機器でWeb会議の機能や使い勝手を補完する動きもある。例えば、1カ所に複数人が集まってWeb会議を行うには、PCに内蔵されているマイクやスピーカーでは機能が十分でないため、マイクとスピーカーを備えた周辺機器「スピーカーフォン」を利用するケースが増えており、製品の選択肢も充実してきた。

例えば、ヤマハの「YVCシリーズ」やJabraの「Jabra SPEAKシリーズ」をはじめ、サンワサプライ、ゼンバイザー、ロジクールなど、さまざまなメーカーから製品が提供されるようになっている。その中でも特に、楽器などを長年手掛け、音響技術に強いメーカーとして知られるヤマハでは、近年このジャンルに注力し、さまざまな音質改善機能を搭載した製品を利用規模別にラインアップしている。

また、カメラについても同じことが言える。テクノロジーの進化によって高機能なWebカメラが安価に購入できるようになっているのだ。ノートPC内蔵のカメラでは対応しにくい多人数で利用できる広角カメラ、あるいは画質を向上させたカメラなどが、1万円以下で購入できるようになっている。

テレビ会議に比べて安価かつ簡単に利用できるWeb会議は、これからも利用拡大が見込まれており、こうした周辺ソリューションも拡大していくだろう。

会議そのものの効率アップを支援するソリューションも

ここまで紹介してきた遠隔会議は会議形態の変化に対応するものといえるが、他方では、ITによって会議そのものの効率向上を支援するソリューションもさまざまなものが存在している。

ただやみくもに会議を行うのではなく、会議時間の短縮、あるいは活発で効率的な会議を実現するために、会議資料の準備から参加者による事前資料の閲覧、議題や話者ごとの時間配分とコントロール、発言の記録と議事録の作成・共有、といった会議の流れに沿って、それぞれの作業を効率よく進めるための機能を備えているものが多い。 

事前・事後の資料共有などについては、ペーパーレス会議ソリューションと呼ばれるものが古くから存在しているが、最近ではAI技術の進展により、音声から議事録を自動で起こすような議事録作成支援ソリューションの進化が著しい。もちろん、まだまだ100%正確に書き起こしてくれるわけではないが、その精度は年々向上しており、録音から人間が書き起こす場合と比べると、大幅に手間と時間を短縮できる。

このジャンルの製品でユニークなのは、アドバンスド・メディアの「AmiVoice スーパーミーティングメモ」だ。もともとは、会議や打ち合わせの発言を音声認識でテキスト化する製品だったが、会議効率化ソリューションとして着実に機能を強化。2019年10月に発表された最新版では、会議前の資料共有に加えて、会議終了後に、参加した会議の分析結果を提示する機能も追加された。

会議時間や進行、決定事項の有無などから達成率を数値で評価するほか、参加者の発言時間や回数、ポジティブ/ネガティブ発言の分析を行い参加者に提示することで、各人に積極的な会議参加を促すという。

ITによって会議の効率を高めるのはもちろんだが、質の高い会議を実現するためには、参加者一人一人の意識を変えていく必要もある。そのためには有効な機能といえるだろう。