RPAとは?

日常的に多くのオフィスでは、さまざまなデスクワークが行われている。例えば、営業からExcelファイルで送られてきた商品情報を基幹システムの商品マスターへ登録する、といったように、単純だが日々継続して行われる、かつ業務量の多い定型業務は企業の中にそれこそ山のように存在するだろう。

こうした業務を効率よく自動化することで、労働生産性を向上させようという取り組みの一つとして、今、RPAが注目されている。

RPAの強みとされる点にはいくつかあるが、まず、導入するに当たってユーザー企業側のシステム改修が不要なことだ。人間が行う業務の処理手順を操作画面上にて設定することにより、日常で利用しているソフトウェア、社内システムに手を加えることなく業務生産性を向上させられるため、企業にとってのメリットは大きい。

そして、ソフトウェアロボットに作業を一度覚えさせてしまえば、繰り返し行われる日々の定型業務を人間に代わってこなしてくれるため、人間の作業量削減に貢献すると言われている。既に多くの企業や団体において効果測定が行われており、例えば大分県別府市が行った実証実験では、対象の15業務に関して、職員が行う作業時間の85.2%、年間1078時間の削減効果が試算されたという。

また自動化によるメリットは作業時間の削減だけではない。人間が反復的に行う作業にはどうしてもミスの入り込む余地があるが、ソフトウェアロボットは人間と異なり、一度覚えた作業を繰り返し同じ品質で実施してくれるため、作業品質が向上すると言われている。

サーバー型とデスクトップ型

では、実際のRPA製品としてはどういったものがあるのだろうか。

まず、大きく分けて「サーバー型」と「デスクトップ型」という2種類のタイプが存在する。これは、ソフトウェアロボットがどこで動作するのかによって区別され、サーバー型はサーバー上で、デスクトップ型はユーザーが実際に利用するデスクトップ(PC)上でロボットが動作するため、そう呼ばれている。また、サーバー型の一形態として、オンプレミスのサーバーではなくクラウド上でロボットが動作する「クラウド型」も登場してきた。

このうち、日本で人気が出たのはデスクトップ型の製品。製品としてはNTT-ATが開発しNTTデータが販売している「WinActor」、UiPathの「UiPath」などが代表的だが、PCに導入するという仕組みであり手軽に利用開始できる点がメリットで、それゆえに導入例も多い。

一方のサーバー型は、ロボットがサーバー上で動くため、統制・管理という面ではデスクトップ型よりも優れていて、また全社、あるいは多くの部署へ展開しやすい点もメリットとされる。加えてサーバー上で複数のロボットが動作するので、1台のPCに対して複数のロボットによる支援を行う、といったことも可能になっている。

製品としては、RPAテクノロジーズの「BizRobo!」、Automation Anywhereの「Automation Anywhere」、BluePrismの「BluePrism」などがあり、クラウド型はBizteXの「BizteX cobit」が代表的なサービスだろうか。

なおデスクトップ型は、手軽に導入できる反面、ロボットの管理が属人的になりガバナンスが効きにくい、利用が個人や単一部署など狭い範囲にとどまってしまう、といった欠点が指摘されている。こうした問題は当然ベンダー側でも把握されており、そうした欠点を改善するために、昨今ではロボットの集中管理が可能なオプションも登場してきた。例えば前述のWinActorでは「WinDirector」という集中管理ツールが提供されている。こうした仕組みを利用すれば、管理・統制がしやすくなるというサーバー型の特徴を一部取り込むことが可能だ。

このほか、単体の製品ではなく、GRANDITのWeb ERPソフト「GRANDIT」や、OSKの統合業務パッケージ「SMILE V」のように、業務ソフトウェアのオプションとしてRPAを提供するような動きも増えてきた。ERPベンダーの独SAPも、RPA機能の強化に向けて2018年に仏Contextorを買収し、「SAP Intelligent Robotic Process Automation」として2019年に正式公開している。業務ソフトウェアの作業を自動化したいケースでは、こうした純正機能を利用するのも選択肢の一つになるだろう。

RPAをどこに導入する?

ただし、RPAについてもほかのIT製品と同様、導入・運用していくに当たっての課題は存在する。

中でも大きな課題とされるのは、RPAをどの業務に導入すればいいかが分かりにくい、という点だ。業務の視点から何を自動化・効率アップするかが整理されていないと、導入を急いだとしても思ったほどの効果が得られない、といったことも起こりうる。

そこで、RPAの導入前に業務を整理・可視化しておくために、業務コンサルティングを含めた導入支援サービスを提供する事業者が増えてきた。一方で、テンダの「D-Analyzer」など、テクノロジーでこうした作業を支援しようとする製品も登場している。

大がかりなコンサルティングを伴うようなサービスは中堅・中小企業にはハードルが高いが、こうした製品を利用すれば、コンサルティングを受ける予算がない企業であっても、社内の状況を明らかにしたうえでRPA導入を行うことができるわけだ。

また、RPAを導入するに当たり必要となるのが、ロボットの開発や管理体制の構築などの作業。これらに取り組むうえでは、開発者や管理者のトレーニング、ロボット開発のスキーム構築、開発したロボットの維持管理の仕組み作りなどが必要とされる。

開発に必要なスキルはRPA製品によって異なるが、簡単に作れるからといって無秩序に増やしてしまっては、IT部門が把握できていない、いわゆる“野良ロボット”の発生にもつながりかねない。それが正常に動作している間はいいが、万一誤作動を起こしてしまった場合には、それこそ大問題になってしまう。人間の目に触れないところで、誤りが大量生産されてしまうことになるからだ。

RPAが一般化するにつれ、こうした問題を抱える企業を支援するため、RPAのサポートサービスを手掛ける事業者も増えてきた。例えば大塚商会では、月額課金制でRPAソフトのWinActorを利用できる「たよれーる WinActor」として、ライセンスとコンタクトセンターによる電話・メールでのサポート、大塚商会の技術者による年間3回の訪問指導をセットで提供している。こうしたサービスを利用し、既にRPAを活用している企業の知見を取り入れていくのも有効だろう。

いずれにしても、RPAの効果を発揮させ、利用を長続きさせるためには、きちんとした体制を整え、運用をしっかりと考えていく必要がある。働き方改革の文脈で語られることも多いRPAだが、場当たり的に導入するのではなく、企業ごとに適用業務とその範囲をしっかりと考えていくべきだろう。

AI・IoT活用 概念実証(PoC)

  • * 本稿に記載された各種IT製品、テクノロジーにつきましては、記事制作時の技術動向に関する幅広い知見を基にして構成されています。これは制作を担当したクラウドWatch編集部(株式会社インプレス)の所見であり、大塚商会においてお取り扱いのないものも含まれております。あらかじめご了承いただきますようお願いします。