2019年 4月

仕事効率を上げるパソコン手帖

知っておきたい2019年注目のデジタルキーワード

テキスト/コヤマ タカヒロ

日進月歩のスピードで進化を続けるデジタル市場。次世代移動通信システム5Gの実用化が目前となった通信市場や、AI(人工知能)、VR(仮想現実) / AR(拡張現実)などにおいて、新しいテクノロジーや新しいビジネスが次々と生み出されている。そこで今回の記事では、最新のビジネスニュースを読み解くために知っておきたい、デジタル関連のキーワードを厳選して、ご紹介します。ビジネスの場で「聞いたことあるけど、何だっけ?」とならないためにも、ぜひ学んでおきましょう。

通信系キーワード

(1)5G

主に第5世代移動通信システムのことで、現在の携帯電話網(4G)で主流となっているLTEに次ぐ通信規格として規格策定と機器の製造開発が進んでいるもの。規格それ自体を指すこともある。一番の特長は、通信速度の大幅アップ。4Gが100Mbpsの通信速度をベースに設計されているのに対して、5Gではその10倍以上となる1Gbps以上の通信速度が想定されている。これにより、より途切れにくい安定した通信が可能となるほか、通信遅延も発生しにくくなり、よりリアルタイムでレスポンスの良い通信が実現する。また、システム側のメリットとしては、一つのアンテナでより多くの機器とつながることができるようになるため、スマートフォンだけでなく、さまざまな家電やIoT機器との通信が可能になる。日本国内では2020年のサービス開始が予定されている。

(2)LPWAN(低電力広地域ネットワーク)

Low Power Wide Area Networkの頭文字を取った通信規格の総称。M2M(Machine-To-Machine)ネットワークやIoT機器の通信のために使われることが想定されており、一つの基地局で広域をカバーし、低コストで運用することを目指すネットワークのこと。LTEを拡張した、NB-IoT(Narrow Band-IoT)や、フランスの通信系ベンチャーSIGFOX社が手掛けるSIGFOX、同じくフランス発祥のLoRaWANなどが主流。日本国内では、ソフトバンクがNB-IoT、京セラコミュニケーションズがSIGFOXのサービス展開をしている。LoRaWANは、LoRa Allianceにより仕様が策定されている。今後のIoTサービスの拡大において、どの通信方式が中心となるか、注目が集まっている。

(3)Z-Wave

デンマークの通信機器メーカーが開発した通信規格で、センサーモジュール向けに使われることが多い。920MHz帯を使った通信規格のため遮蔽(しゃへい)物に強く、また消費電力が低いという特長がある。BluetoothやZigBeeなど並ぶIoT機器向けの近距離通信規格で、今後スマートホーム関連の製品やIoT機器などに採用される可能性が高い。

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デジタル関連キーワード

(4)XR

VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)の総称として登場した新しい呼称。「X」は具体的な何かではなく、代数としての表現であり、正しくは「xReality」の略。数年前までは「○○現実」と言われるテクノロジーはVRやARくらいしか存在しなかったが、近年ではMRに加えて、SR(代替現実)などの研究も始まっている。これらの技術は相互に関係し、同時に採用されることもあるため、テクノロジーの総称として「XR」と呼ばれることが増えている。

(5)GeForce RTX2060

2019年1月アメリカ、ラスベガスで開催された世界最大の家電・技術見本市「CES 2019」にて、NVDIAから発表された新しいミドルレンジのGPUの名称。前世代のGPU「GeForce GTX 1060」と比べて、1.4~2倍性能向上しており、それでいて349ドル(Founders Editionの場合)と格安で購入できるのがポイント。基本的にはゲーミング用のGPUだが、ビデオ編集など、GPUによる処理を行うアプリケーションでの高速化が期待できる。

(6)NPU(Neural network Processing Unit)

スマートフォンに搭載されている最新SoC(System-on-a-Chip)に内蔵された、機械学習や人工知能処理を行う専用エンジンのこと。現在、カメラ機能に搭載されているHDR処理、また背景のピント加工や夜景などを美しく撮影するために、機械学習によるAIが活用されており、その処理に使われる。既にファーウェイやサムスンなどが採用しているスマートフォンのSoCに搭載されているほか、最新のiPhoneが採用している「A12 Bonic」にも名称こそ違うが、同様の機能を担保するプロセシングユニットが搭載されている。

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ビジネス系キーワード

(7)FinTech

金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。言葉としての歴史は古く2000年代から使われていたが、仮想通貨や、ブロックチェーン、ビッグデータ、AI(人工知能)といったインターネット関連の最新技術が金融業界にも深くつながり始めたことでよく使われるようになった。基本的には決済や資産管理・運用、仮想通貨など、金融関連のネットサービスのことを指すのだが、それが転じて金融関係のサービスを提供する一般企業をFintech企業と呼ぶこともある。

(8)MaaS

「Mobility as a Service」の略称。日本語で分かりやすくいうと、「サービスとしての移動」もしくは「移動そのもののサービス」という表現になる。従来は、個人で車や自転車を所有したり、バスや電車など公共の交通機関しかなかったりと、限定された移動方法しか選べなかった。これに対してMaaSは、多種多様な移動方法が提供されている環境の下、その場で利用可能な移動サービスを場合によってはユーザーが自由に組み合わせる。結果として車を個人で所有しなくなる未来の可能性を示した言葉でもある。

(9)コード決済

QRコードやバーコードなどを使った少額の決済方法。スマートフォンの画面をスキャンしたり、逆にお店から提示されるコードを、スマートフォンのカメラで撮影して決済する仕組み。中国市場では既に「WeChatPay」や「Alipay」などのコード決済が普及しており、キャッシュレス社会がいち早く始まっている。日本でも、NTTドコモの「d払い」やソフトバンクとヤフーの合弁会社が手掛ける「PayPay」、LINEの「LINE Pay」などがスタートしており、2019年はさらなる拡大が予想される。

(10)シンギュラリティ(技術的特異点)

AI(人工知能)の研究開発に関して用いられる言葉。人工知能研究の世界的権威でもあるレイ・カーツワイル博士による「2045年までにAIが人間よりも賢くなる」という提言があり、その人間と人工知能が逆転する瞬間を指す言葉。機械が一気に賢くなることにより、さまざまな業務が自動化でき、労働力が減らせる反面、シンギュラリティを迎えた後は、現在人間が行っている多くの仕事が機械に置き換わる可能性がある。そのため、雇用機会の消失も危惧されている。

(11)BYOD(Bring Your Own Device)

個人が所有するスマートフォンやノートパソコンなどの端末を業務にも使うための方法と考え方。業務に必要な端末を全て会社が支給するのではなく、個人が所有する機器を使うことでコスト削減ができるほか、使い慣れた製品を使うことによる生産性向上などが期待できる。ただし同時に、セキュリティリスクや、時間外労働の増加なども懸念されるため、運用には厳格なルール作りが重要となる。

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