生成AI活用で進むビジネス変革セミナー

メタバース志向の若者がなぜ生成AIに?

今後、さらなるビジネス分野での活用が期待される「メタバース」。また、生成AIについてもビジネスへの組み込みに成功する事例を多く聞くようになってきた。そこで本記事では、メタバースと生成AIの関係性や相互に与える影響にも踏み込み、生成AIの社会実装における最新情報のほか、生成AI×メタバースの今後の展開などを最先端の生成AI動向に詳しい株式会社Bocek 代表取締役 CEO 沖村昂志氏に語っていただく。

注目の専門技能「プロンプトエンジニア」と生成AI、メタバースとの関連は

Bocekは2022年6月に創業したばかりの若い会社だ。同社は知らなくても、生成AIの専門メディア「PROMPTY(https://bocek.co.jp/media)」をご存じの方がいるかもしれない。PROMPTYは、「プロンプトエンジニア(生成AIで創作物を生み出す際の入力(プロンプト)を最適化する専門家)」などをターゲットとしたWebサイト。ツール別の活用ノウハウや関連ニュースなどで構成されるが、なかでもすぐに役立ちそうなのがプロンプトのテンプレート集だ。「経営・企画・分析・マーケティング」「開発」「教育・学習」といった用途や分野別に、具体的な入力例を示している。「思いつきの口答指示ではAIから思ったような回答が得られない」「適切な入力ワードが思いつかない」といった不満や悩みを抱える人には必見のページだろう。

Bocek 代表の沖村氏はもともとメタバースに関心を持っていて、メタバースのコンサルティングや開発支援をビジネスとしていたという。それが生成AIの急速な広がりを目の当たりにしてPROMPTYを2023年4月に立ち上げ、さらに5月には生成AIの導入支援サービス「PROMPTY SUPPORT」も始めたとのことだ。

今回のセミナーでは、なぜメタバース志向の沖村氏が生成AIに興味を持ったのか、メタバースに生成AIはどう活用できるのか、そしてBocekのスピード感の秘訣など、若い会社の素顔にも迫ってみたい。

登壇者のご紹介

沖村 昂志 氏(株式会社Bocek 代表取締役 CEO)

1998年北海道札幌市生まれ。東京工業大学工学院休学中。大学在学中にWebマーケティング企業を経て2020年株式会社Drafty創業、同社取締役就任。Draftyではリモートワーク特化型の人材サービスのマーケティング分野を総括。

株式会社Drafty退職後、2022年6月に株式会社Bocekを創業、同社代表取締役就任。Bocekでは、Webマーケティングのコンサルティングを主軸にしながた、メタバース空間の開発設計・生成AI特化メディア「PROMPTY」の運営や、生成AIサービスの開発などを行っている。

オンラインセミナー動画

  • * 動画内容はオンラインセミナー開催日当時のものです。あらかじめご了承ください。

動画の公開日:2023年10月26日(木)(注1)
動画の配信期間:2024年10月26日(土)まで(注2)

  • (注1)動画の内容は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
  • (注2)掲載中の動画は予告なしに内容の変更や削除を行う場合があります。あらかじめご了承ください。

編集後記:若手起業家から学ぶ生成AIとメタバースの未来

若い起業家の話を聞くのはいつも楽しい。自分が見落としていたり、「まあ、こんなものだろう」と受け入れたりしていた世の中の課題や負の側面に気づかされることばかり。そして、昼夜を問わず興味があるテーマを探求したり、課題解決に突き進んだりするバイタリティにはただただ感服する。さらに、ここ一番の勝負所でのスピードには舌を巻くばかりである。

『一歩先への道しるべ』の連続セミナーの第5回に登場してもらったBocek創業者の沖村昂志氏もそんな若手起業家の1人だ。Bocekは2022年6月に創業したばかりの若い会社で、生成AIの専門メディア「PROMPTY(https://bocek.co.jp/media)」を運営していることで知られている。なかなか一般の目に触れることがないSNS(交流サイト)や海外情報を幅広くみているだけに、生成AIに関する知識は膨大だ。

そして、そこから導き出した知見を分かりやすく説明してくれることにも長けている。沖村氏いわく、生成AIは「予測可能な生産作業の自動化技術」。その意味は、人間の問いかけに対する「出力」と人間が定める「理想」とのギャップを埋める作業を果てしなく繰り返してくれるツールであるという。つまり、人間が理想を定義する以上、学習内容を逸脱することは難しい。だから人間はそれ以外のところで能力を発揮できる、という説明はとても分かりやすく、説得力がある。

生成AIは「予測可能な生産作業の自動化技術」と語るBocek創業者の沖村 昂志氏。

『一歩先への道しるべ』の連続セミナーはメタバースをテーマに開催してきた。メタバースを主力事業としてBocekを創業した沖村氏は、生成AIのメタバースへの適用に大いに可能性を感じているという。メタバースで課題として挙げられることの1つは、多くの人が同じ空間を共有できるかどうかだが、生成AIによって誰かの考え方や知識を学習したアバターがたくさんいれば、オープン当初から「にぎやかな空間づくり」が可能になる。メタバースは生成AIによって活性化するかもしれないと感じた。

よく聞く「生成AIが人間の仕事を奪うのか?」という質問に対しても沖村氏の答えは明確で、「生成AIを使いこなした人間に奪われる」のだという。「多くの人はこうするだろうな」といった単純作業を生成AIに任せて、新しい顧客体験の設計のような人間しかできない作業に注力する。こうした役割分担をして既に生産性を高めている方も多いのではないだろうか。会社のような組織としても、生成AIに任せる単純作業と人間にしかできない作業を明確に分けられるところが、生産性を高めていけることだろう。

問題は、こうした考えに基づいて実際に動けるかどうか。沖村氏からのアドバイスは「早く導入して検証していくことが大事」。彼の考えに共感して、生成AIを使いこなして生産性を高めたい人はすぐに試してもらいたいと感じた。

一歩先への道しるべ 編集長 菊池隆裕(日経BP総合研究所)