ビジネスお役立ち情報 > ビジネスColumn

ビジネスColumnビジネスColumn CADを利用して設計を行う際に必要なノウハウを紹介。

ビジネスColumnのトップへ

世界の会計基準もグローバルになる
日本・米国・欧州の2009年問題

グローバル化に伴い、世界の会計基準は統一化へと向けて動いている。2009年以降、米国とEUにおいては財務諸表の相互承認が予定されているが、日本はEUとで合意しておらず追加開示が求められる。これが「2009年問題」である。

EUが国際標準の会計基準を採用

現在、日本国内ではこれまでの商習慣を踏まえた日本独自の会計基準が採用されている。この会計基準は、国際会計基準審議会(IASB=International Accounting Standards Board)によって策定された国際財務報告基準(IFRS=International Financial Reporting Standards)とは異なるものだ。

しかし、日本の会計基準はEUと相互承認されており、EU域内で資金調達する日本企業は、日本の会計基準の財務諸表による報告を行うのみでよかった。ところが、EUをはじめとする世界の主要国が相次いで会計基準にIFRSを採用。2005年からはEU域内の企業に対し、IFRSの枠中で欧州委員会が認めた「EU会計基準」が強制的に適用されている。これは当初、EU域内で資金調達するすべての企業に「2005年問題」として受け止められた。ただし、外国企業に対しては2007年までIFRS以外の会計基準の適応が認められ、その後、さらに2年間延期されることになった。とはいえ、2009年以降は外国企業に対してもIFRSと同等の会計基準が求められることになる。これが「2009年問題」である。

企業や経済がグローバル化するにつれ、国際的な会計基準への統一は当然の趨勢となる。だが、日本にはさまざまな独自の会計基準の項目があり、国際標準の会計基準と合致させるのは容易でない。

IFRSとの相互承認を実現した米国

実は、自国独自の会計基準を採用しているのは日本だけではない。米国やカナダもまた、IFRSとは異なる独自の会計基準を採用している。米国企業は従来、日本企業と同様に、EU域内では自国の会計基準によって作成した財務諸表で情報開示することが認められてきた。そして、2009年以降、IFRSに基づいた財務諸表の作成を義務付けられるのも日本と同じだ。

しかし、米国の動きは日本と違っていた。米国の会計基準を作成する米財務会計基準審議会(FASB=Financial Accounting Standards Board)は、IFRSを策定したIASBとの間で、相互の会計基準を承認することを2002年に合意したのだ。前述の2005年問題の際には、IFRSと米国会計基準の相互承認が再確認され、IASBとFASBの両者は高品質な全世界共通の会計基準の作成を目標とする取り組みを開始した。そして、2006年2月には、達成すべき具体的な項目を提示。以後、2008年までに取りまとめ、2009年以降はIFRSと米国会計基準が同等の効力を持つようになる。したがって、米国企業は今後も自国の会計基準に基づく財務諸表によって、EU域内でも資金調達や株式上場が認められることになる。

なお、米国に近い会計基準を採用するカナダでは、2011年までにIFRSの採用を決定している。

遅ればせながら統合を目指す日本

国際標準と米国の会計基準で差異調整が不要になることによって、会計の国際化は加速する結果となった。積極的な米国の動きに対し、日本の会計基準はIFRSとの相互承認に至っていない。

日本も2004年、日本の会計基準を策定する企業会計基準委員会(ASBJ=Accounting Standards Board of Japan)が、IASBとの間で会計基準相互承認に向けた共同プロジェクトの協議が開始している。2005年以降に本格化したASBJとIABSとの共同プロジェクトは現在も進められているほか、ASBJはFASBとも協議を開始し、米国会計基準に対しても統合しようと動いている。だが、具体的な成果はまだ見えていないのが実状だ。

もし2009年までに、日本とEU、米国の会計基準との差異を埋め、相互承認ができなければ、世界経済の中で日本企業だけが会計国際化の流れに取り残されることになり、グローバルな企業間競争において不利になる。また、海外の投資家が国際標準とかけ離れた日本の会計基準を不安視し、日本企業の信頼感が損なわれる恐れもある。

日本ではこうした事態に陥ることへ懸念の声が挙がっている。日本経団連は2006年に「会計基準の統合(コンバージェンス)を加速化し、欧米との相互承認を求める」と題する意見書を発表した。もちろん、政府も会計基準の統合に注目しており、同年に発表した「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」では、2009年に適用される国際標準の会計基準に向け、日本の会計基準と国際標準との統合を推進することが盛り込まれている。

また、金融庁も日本の会計基準とIFRSとの同等性をEUに主張しているほか、2006年に「会計基準のコンバージェンスに向けて」という意見書を公表した。同意見書では、会計基準統合への前向きな対応、EUの同等性評価を視野に入れた計画的な対応、相互承認に向けた外国との対話の強化、国際会計のルール策定に関与できる人材の育成などを提唱している。

いずれにせよ、現時点で主要国の会計基準の中でIFRSとの統合が決定していないのは、いよいよ日本だけとなった。日本企業の競争力低下を防止するためにも、会計基準の統合の積極的な推進が急務だろう。

   EU 米国 日本
 会計基準 EU会計基準
(IFRS準拠)
米国独自基準
(IFRS相互承認)
日本独自基準
 会計基準策定機関 欧州委員会 FASB ASBJ


(掲載:2007年6月)

企業のITセキュリティ講座