ビジネスお役立ち情報 > ビジネスColumn

ビジネスColumnビジネスColumn CADを利用して設計を行う際に必要なノウハウを紹介。

ビジネスColumnのトップへ

近い将来の具体的な情報社会像を描く
IT新改革戦略 政策パッケージ

政府のIT戦略本部は、IT政策の基本指針を取りまとめた「IT新改革戦略 政策パッケージ」を発表した。効率性・生産性向上と新価値の創出、健全で安心できる社会の実現、創造的発展基盤の整備という3つの重点的な取り組みを進めることがうたわれている。

利用者視点に立った政府のIT政策

日本のIT政策として2001年から推進されてきた「e-Japan戦略」では、5年以内に世界最先端のIT国家になることを目標として本格的なITインフラの整備を開始し、ブロードバンドや多機能携帯電話の普及、電子商取引の環境整備と利用拡大など、一定の成果を上げてきた。続いて2003年にはITインフラの整備からITの利用・活用へと目標を移した「e-Japan戦略Ⅱ」を発表、IT基本戦略としてさまざまなIT政策に取り組んでいる。

その方向性を示すものとして、2004年には「e-Japan戦略Ⅱ加速化パッケージ」、2005年には「IT政策パッケージ-2005」が策定された。その内容は、国際競争力を意識したものから徐々に、ITを利用する利用者視点に立った実感できるものへと変わりつつある。

政府のIT戦略本部が2006年1月に発表した「IT新改革戦略」は、そうした流れの中で策定された。2010年に「いつでも、どこでも、誰でもITの恩恵を実感でき、真にあらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会の実現」という目標を掲げ、ITを利用者の視点から有効活用し、国民生活や産業の競争力向上を目指している。その戦略を実現するために短中期的、かつ具体的な目標のもとで2007年4月にまとめられたのが「IT新改革戦略 政策パッケージ」である。

3つの重点的な取り組み

IT新改革戦略 政策パッケージでは、IT新改革戦略に掲げられた目標の早期実現に向けて、以下の3つの重点的な取り組みを行うことが示されている。

■効率性・生産性向上と新価値の創出

行政や企業が世界最高水準のIT基盤を戦略的にフル活用することで、組織を超えたネットワーク化を実現し、日本全体の効率性・生産性の向上、新たな価値の創出などを目指している。具体的な政策としては、国・地方の包括的な電子行政サービスの実現がある。これは、国民や企業にとって便利で効率的な行政サービスを実現するために、国や地方という枠組みを超えた新しい電子行政窓口サービスを展開しようというもので、2010年をめどに、この標準モデルとなる基盤を構築すると言う。また、ITによるものづくりやサービスなど経済・産業の生産性向上、ICT産業の国際競争力の強化など具体的な政策も挙げられている。

■健全で安心できる社会の実現

IT基盤をフル活用することにより、老後や暮らしに心配なく、すべての人が安心して豊かな生活を送ることができる社会の実現を目指している。ここでは、いくつかの具体的な政策が示されているが、その目玉の1つと言えるのが、国民健康情報基盤の実現である。これは健康診断結果などの健康情報を個人が活用するとともに、全国規模で収集・分析する世界最先端の情報基盤であり、2011年度当初までに構築すると言う。また、2010年度からは、ITにより車両への注意喚起・警報などの情報送信を行う安全運転支援システムを順次実用化することなども盛り込まれている。

■創造的発展基盤の整備

国民が健全で安心できる社会の実現を図る基礎となり、将来の創造的発展を導く基盤の整備、および活用を目指している。例えば高度なセキュリティを実現した本人認証技術を活用し、本人認証が必要な行政サービスも含め、携帯端末から安全・容易に利用できる世界最先端の次世代モバイル生活基盤を構築すること、いつでも・どこでも・誰でも使えるブロードバンドネットワーク基盤を整備し、それを利用して地域が抱えるさまざまな課題を解決するユビキタス・コミュニティを実現すること、などが2010年をめどに具体的な政策として挙げられている。

政策パッケージの目標実現に向けた工程表

効率性・生産性向上と新価値の創出 国・地方の包括的な電子行政サービスの実現
ITによるものづくり、サービスなど経済・産業の生産性向上(特に中小企業の取り組み強化)
ICT産業の国際競争力強化等
健全で安心できる社会の実現 国民の健康情報を大切に活用する情報基盤の実現
国民視点の社会保障サービスの実現に向けての電子私書箱(仮称)の創設
交通事故の削減に資する世界に先駆けた安全運転支援システムの実現
ネット上の違法・有害情報に起因する被害の抜本的減少を目指した集中対策の実施
ワーク・ライフ・バランスの実現のためのテレワークを推進
創造的発展基盤の整備 多用なサービスを安全かつ簡易に利用できる次世代モバイル生活基盤の構築
いつでもどこでも誰でも恩恵を実感できるユビキタス・コミュニティの実現
高度IT人材育成の好循環メカニズムの形成


3年後はITを実感できる社会に

IT新改革戦略 政策パッケージでは、この目標実現に向けたスケジュールも示されている。2007年度はそれぞれの具体的政策に関するあり方を検討したり、実現に向けた課題を分析したりするフェーズとなっており、重要なIT政策の実施計画を取りまとめた「重点計画-2007」の策定作業も進められている。2008年以降は、目標を実現するための関連制度を進める一方、実際のシステム構築に着手、おおむね2010年を目標として、政策パッケージで示された高度なIT社会が現実のものになっていくことがうたわれている。

2001年に策定されたe-Japan戦略では、当時は夢物語のように思われたブロードバンドによるネットワークや多機能化した携帯電話の普及が急速に進み、目標のほとんどを達成することができた。こうした過去の実績からも、2010年にITを高度に利用する社会を実現することはけっして困難なことではなく、そして我々の生活はまだまだ大きな変化を続けていくだろう。

(掲載:2007年8月)

関連リンク

企業のITセキュリティ講座