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ITシステムの一生
プロダクト・ライフサイクルを知る

どんな製品にも製造されて廃棄されるまでのライフサイクルが存在する。それをプロダクト・ライフサイクルという。ITシステムもまた同様だ。ではその最適な周期はどのくらいになるのだろうか。

プロダクト・ライフサイクルを理解する

プロダクト・ライフサイクルとは、製品が市場に投入されてから、その姿を消すまでを人の一生に例えた、マーケティング分野からの専門用語である。どんな製品にも期間の長短を問わずライフサイクルが存在しており、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」という4段階のフェーズに分類している。製品がその役目を尽くし、衰退期を迎えて寿命を終えると、市場には従来の製品に取って代わる新製品が導入されることが多いので、循環するサイクルとして考えることが多い。

ITシステムを構成する各種製品にも、もちろんプロダクト・ライフサイクルが存在する。コンピュータの場合、メーカーから新製品が投入されるサイクルは四半期に一度ほどだが、年に4回もコンピュータを新しく買い換える企業はないだろう。多くはリース期間を終えたり、業務処理にスペックが追いつかなくなるのを目安として、5〜6年ごとに買い換えることが多い。

これがコンピュータのプロダクト・ライフサイクルということになるが、一方、コンピュータのプロダクト・ライフサイクルはもっと短いという意見もある。その理由はこうだ。例えば、あるメーカーのコンピュータに内蔵されているパーツの保証期間が購入日から3年間だとしよう。この場合、特別な有償保守契約を結ばない限り、故障しても交換用のパーツを十分に入手できない恐れがある。つまりこういった制限によって、プロダクト・ライフサイクルが短くなるという理論だ。

コンピュータ本体のリプレースよりも早くパーツ保証がなくなるというケースは実際に少ないだろう。しかし、パーツメーカーが突然倒産や合併をし、すでに流通しているパーツ在庫以外は入手できないという可能性はゼロではない。ちなみに家庭用の電化製品の場合、経済産業省の行政指導によって各製品のパーツを保有しておかなければならない最低期間が決まっている。洗濯機は6年、電子レンジやテレビは8年、冷蔵庫は9年などだ。しかしコンピュータについてはこの保有期間が定められておらず、各メーカーが自主的に最低6年を保有期間としているのが現状である。いずれにしても、製品購入時には次のリプレース時期を見据えた保守契約を結ぶのが望ましいだろう。

「もったいない」と思って使い続けた
そのシステムが実は損?

電化製品の場合、多くの家庭では「壊れるまで使う」ことが一般的だろう。同様に企業のITシステムでも「もったいない」という考えから、ハードウェアは壊れるまで、ソフトウェアは以前に導入したものを使い続けているということも少なくない。しかし、企業のITシステムでは「もったいない」という考えを捨て、しかるべき時期にはリプレースすることが望ましい。

その理由をいくつか挙げよう。電化製品にしてもクルマにしても、突然故障した際に「替え」を用意することはさほど難しくない。しかし、大切な情報が蓄積・格納されているITシステムの場合、異常があるからといってすぐに交換や停止ができるものではない。そのために「備え」は重要だが、システムのコンピュータが古いために予備パーツの手配・常備も難しいとなれば、万一の場合に対応も取れず莫大な被害を受けることになる。

また、旧システムを使い続けるばかりに過分な保守料金を払う場合もある。ある企業では数年前に購入した8CPUのUNIXサーバでデータベース管理システムを稼働させ、保守料金を支払っていた。ところが、これをマルチコアCPU4基搭載の最新IAサーバ2台に置き換えたところ、データベース管理システムのエディションがCPUライセンスによってダウングレードされ、さらにハードウェア調達も汎用品によって軽減されながら、一方でパフォーマンスと可用性が大幅に向上できた。つまり結果として、性能アップにも関わらず保守料金の負担が軽減されたことになる。

ITの世界はドッグイヤーと言われるほどに変化が早い。古いシステムを「もったいない」と大事に使い続けるのも方法だが、ビジネスを発展させるにはリプレースを躊躇せず新しくしていく方法もある。

サポート期間の終了がやってくる

ITシステムにおけるプロダクト・ライフサイクルで特に注意しなければならないのがソフトウェアである。なかでもコンピュータの基本ソフトであるOSのライフサイクルには、無頓着になってはならない。

例えば、マイクロソフトは2007年1月、Windows XP Homeのサポート期間が2009年までであったのを、Professionalと同様の2014年までに延期した。対して、オフィスでもいまだ使われていることのあるWindows 98/Me/NT 4.0 WorkstationなどのクライアントOSは、すでにサポート期間が終了している。

こうしたOSを搭載したコンピュータが企業システムに組み込まれている場合、セキュリティホールとなって甚大な被害をもたらす危険性がある。サポート期間が終了し、セキュリティ上の脆弱性に対処するパッチが提供されない古いコンピュータを使わなければならない事情があるなら、ネットワークから隔離するなど慎重な対応をすべきだろう。

プロダクト・ライフサイクルの最後に忘れてならないのが、廃棄の問題だ。現在、電化製品の一部は「特定家庭用機器再商品化法」によってリサイクル方法が決められている。このほかにも、自動車、食品、建設などの分野には各種リサイクル法があり、プロダクト・ライフサイクルが循環している。

だがコンピュータをはじめとするITシステム機器の場合、リサイクルについての法整備が不十分であるばかりか、本格的なリバース・ロジスティクスの仕組みもまだ確立されていない。そのため、情報漏えいを恐れて不要だが捨てられないコンピュータを抱えている企業や、逆にハードディスクの内容を消去せずコンピュータをそのまま廃棄し、情報を流出させてしまう企業もある。

これからはIT機器の廃棄において、環境問題と同時に情報化社会のリスクも考慮し、どの企業もITプロダクト・ライフサイクルを真剣に考えなければならない。

(掲載:2007年9月)

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