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現代の企業に必須の情報担当役員CIO
その求められる役割とは

最近では「CIO」という肩書きを持った役員を置く企業が増えつつある。ITを含む企業情報全般に関する意思決定に責任を持つ立場の役員として、CIOという役員が求められるようになった時代背景、CIOが果たす役割について考察してみよう。

情報価値の高まりから生まれた
ITの責任を負う役員“CIO”

「CIO」という肩書きが登場したのは、1987年、米ボストン銀行の副社長だったウィリアム・サイノット氏が著した「戦略情報システム―CIOの任務と実務―」(日刊工業新聞社刊、原題は「The Information Weapon : Winning Customers and Markets with Technology」)の中で用いたのが最初だと言われている。同年に米IDGが「CIO Magazine」を創刊するとともに、CIOという言葉は一気に広まり、当時から20年が経過した現在では、欧米の多くの企業がCIOという立場の役員を置いている。

CIOは「Chief Information Officer」の略称であり、直訳では「最高情報責任者」。「Chief 〜 Officer」というのは、例えば「CEO=Chief Executive Officer:最高経営責任者」、「COO=Chief Operating Officer:最高執行責任者」、「CFO=Chief Financial Officer:最高財務責任者」など、企業経営陣の中でも重要な責務を担う役員に使われる肩書きである。

その中で情報に関する責任者がCIOと呼ばれ、ここまで重んじられているのは、もはや企業経営においてITが非常に重要な役割を果たし、情報そのものの価値が高まったことが理由である。言い換えれば、現在の企業経営はITがなければ成り立たない。ITへの責任を預かる役員の地位が高く重要視されているのは、時代の流れなのだ。

IT活用、システム構築、経営立案
CIOが果たすべき役割

では、CIOとは実際にどのような責務を担っているのだろうか。サイノット氏は、自著の中でCIOを「社内における情報戦略の確立と社内における情報リソースを統括する上級管理職」と定義する。企業経営を執行するCEO、COOとともに経営戦略の一部としてIT戦略を立案・実行する役員であり、ITによって企業に対する適切な経営戦略の提案も求められる。これに付随して、社内外で調整・連携して業務プロセスを改革したり、全社のITリソースの調達や管理を最適化したりすることも、CIOが行うべき任務である。

CIOの具体的な業務内容を例示してみよう。

ある企業で、さらなる成長を目指して新規事業への参入を計画したとする。CIOは計画する事業の内容や現状の課題を分析し、どのようにITを活用することが効果的なのか、組織体制や業務プロセスはどうすべきかといったことを立案する。そして数多くの選択肢の中から、最も投資効果に優れ、課題を解決する手段を検討する。こうして、新規事業に対するIT戦略が決定したら、CIOはIT部門の責任者として情報システム担当者を統括し、システムの構築を行う。

システムが完成し、新規事業がスタートした後は、構築したシステムの効果を測定し、IT戦略の立案段階で計画した目標と照らし合わせて評価する。そして、経営陣に報告し、その評価結果に基づいて改善策を検討する。このように、経営陣とIT部門の橋渡しをしながら、ITを使って事業戦略のPDCAサイクルを回すことが、CIOの仕事なのである。

こうした役割を持った担当役員は、実のところ米国ではCIOという言葉が生まれる前から存在していた。ただし、当初はIT部門の出身者が中心だったという。1990年前後になってCIOの役割が次第に明確になってくると、ITの専門家ではなく、経営視点からITに責任を持つCIOが増えてくる。現在はむしろ、IT部門出身のCIOは少数派だ。

日本におけるCIOの立場と
捉えられ方の大きな変化

では、日本におけるCIOの現状はどうだろうか。日本でも、1990年代後半になるとCIOという言葉が徐々に普及してきた。しかし、実際にCIOという肩書きや役割を持つ役員が存在する企業は、当時も現在も少数であり、一般的に普及しているとは言えない。逆に、CIOの肩書きを持っているが経営戦略に関わる役員ではなく、「情報システム部長」に過ぎないというケースもある。

これは、CIOの呼び方にも表れている。CIOは意味合いとして「最高情報責任者」と訳されるが、それが例えば「情報統括責任者」「IT担当役員」といった呼び方に変えられて使われているのだ。本来は、ITを含む企業情報全般に関する意思決定の最終責任者がCIOであるべきで、その権限のない者をCIOと呼ぶべきではないと思うのだが、このあたりは“日本的”なのかもしれない。

しかし、CIOが軽視されているわけではなく、重要性への認識は次第に高まりつつある。ITが企業経営に果たす役割が大きくなるにつれ、経営陣が主導してITを導入したり、情報活用について判断したりするといったミッションを担うCIOという役員が必要だという認識だ。そのため、IT部門長を役員待遇に格上げし、CIOに相当するミッションと権限を与える企業は確実に増えている。

こうしたCIOを登用する動きは何も企業に限ったことではない。政府は各省庁に「情報化統括責任者(CIO)」を置き、政府のIT戦略本部には「各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議」が設置され、2002年から会合を重ねている。さらに、CIOを実務的に補佐する「情報化統括責任者(CIO)補佐官」も採用されるなど、日本におけるCIOも一般化し始めている。

(掲載:2008年2月)

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