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予期せぬ事態から企業システムを守る
災害の回避と復旧を行うディザスタリカバリ

「災害復旧」の意味となるディザスタリカバリ。災害から情報を守るという観点から生まれ、災害によって生じる恐れのある障害からシステムを復旧させることが目的だ。2001年9月の米国同時多発テロ事件以降に注目が高まり、現在は多くの企業がディザスタリカバリシステムを構築している。

遠隔地にバックアップサイトを構築
災害発生による影響を抑える

ビジネスが高度に情報化されてコンピュータシステムへ依存するようになった今、企業システムには、いかなる事態が起きたとしても決してサービスを停止させないという高い可用性が求められている。そのため、ほとんどのシステムは多重化され、情報を格納するデータベースやストレージはもちろん、サービスを提供するアプリケーションでも冗長化構成がとられている。

しかし、それらの企業システムが運用されている機器を1カ所のデータセンターに集中している場合、どんなにシステムを冗長化して備えようとも万全とは言えない。データセンター自体が大災害に巻き込まれ、その機能を失ってしまうことが考えられるからだ。特に日本のような地震国では、阪神・淡路大震災や中越地震に匹敵する大災害を想定しておく必要があるだろう。

そうした最悪の事態からもシステムを守るために、多くの企業が取り入れ始めたのが「ディザスタリカバリ」のシステムである。これは日常的に稼働しているデータセンターをメインサイトとし、それとは別の地理的に離れた場所にバックアップサイトを構築する。万一の事態が起きた場合には、メインサイトからバックアップサイトへ即座に切り替え、システムの稼働を継続すると同時にメインサイトの障害を復旧させようというものである。


このサイト間の距離は、同じ災害に遭うことのないように、数百キロメートルは離れていることが望ましい。海外の拠点にバックアップサイトを設け、国際的なディザスタリカバリシステムを構築する企業もある。また、バックアップサイトを2カ所以上設け、メインサイトが運用できない災害時でもバックアップサイトが単独運用にならないよう、慎重を期して二重のディザスタリカバリシステムを用意する企業も少なくない。

アウトソーシングを利用した
中堅中小企業での災害対策

国内や海外に複数の事業拠点を持つ大企業は、ディザスタリカバリシステムの構築に早くから取り組んできた。ところが、中堅中小企業の多くはシステムが稼働するメインサイトを冗長化するだけでも精一杯であり、ディザスタリカバリシステムまで手が回らないのが多数だ。事実、災害対策を想定したディザスタリカバリシステムは、災害が起きなければ無駄とまでは言い切れないものの、直接利益を生み出すものではなく、優先度が低くなりがちな投資であるだろう。こうした保険に近いシステムに、多額の投資を行うのは難しいと想定される。

とはいえ、企業にとってシステムの重要性、情報の価値に企業規模は関係ない。では、遠隔地に複数のデータセンターを構築することが難しい場合には、どのようにして災害による情報損失の被害を最小限に食い止めればよいのだろうか。

まず考えられるのが、バックアップデータを格納したメディアを遠隔地で保管するというものである。バックアップデータをメインサイトと同じ場所で保管している場合、そこが壊滅的な被害を受ければ、せっかくのバックアップデータも同時に損失し、システム復旧時に役に立たないということにもなりかねない。こうした事態を回避するためにも、バックアップデータをメインサイトから離すことは重要である。バックアップデータを預かる倉庫事業者の中には、バックアップデータのコピーを遠隔地で保管するサービスを提供しているところもあるので、利用を検討してもよいだろう。

また、自社でデータセンターを構築せずに、専門のデータセンター事業者が提供するディザスタリカバリのサービスを利用するのも方法である。データセンター事業者が運営する商用データセンターは耐震設備が当たり前で、大災害が発生した際でも機器の故障を免れることができるだろう。しかし、それ以外の設備、例えば電源や通信インフラなどが被害を受け、長期間供給されないという恐れもあり、それだけでは十分な備えとはならない。そこで、国内に複数の商用データセンターを運営する事業者の中には、地方のデータセンターを利用してディザスタリカバリシステムが構築できるサービスを提供している。システムの早期復旧とビジネスの継続性を重視するならば、こうしたサービスが有効だ。

さらに、データセンターではなく、ホスティングサービス事業者が提供するレンタルサーバを利用している企業は、契約時にホスティングサービス事業者のディザスタリカバリ体制をよく確認しておくとよいだろう。レンタルサーバの場合、データセンターへの出入りはおろか、上位のデータセンター事業者やデータセンターの所在地を明らかにしていないホスティングサービス事業者もある。

ディザスタリカバリを行うには
メインサイトの見直しから

災害からの迅速な復旧を考えたとき、原点に立ち返ってメインサイトの設備を基本から見直すことも必要だろう。

例えば、電源の冗長化もその1つだ。電源を多重化し、UPS(無停電電源装置)を導入していても、それだけで確実に対策できているとは限らない。多重化している電源が、実は配電元が一緒ならば、配電設備にトラブルが発生した場合に結局は電源が使用できなくなってしまう。電源を冗長化する際には、電源の配電元にさかのぼって確認すべきであるように、他の設備も大本を確認し、どのような対策を取ればよいか考えておこう。

ディザスタリカバリシステムとは、遠隔地にバックアップを構築すれば安心と思われがちだ。しかし本来の目的は、災害によって生じるシステムのトラブルを予防、もしくはできる限り早く復旧することにある。そのために必要な投資は、システムダウンによる影響の大きさ、コストとのバランスによって決定される。その見積りを始めるには、まずメインサイトの見直しが必要不可欠となるだろう。

(掲載:2008年3月)

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