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社会インフラを支える
ミッションクリティカルシステム

社会が高度にIT化された現在、官公庁や地方自治体の公共システム、金融機関のオンラインシステム、ライフラインの制御システムなど、社会インフラを支えるミッションクリティカルシステムの重要性は高まり、不測の事態を招かぬ堅牢性が求められている。

社会基盤をITで構成する
ミッションクリティカルシステム

2008年現在、私たちの身の回りにある、あらゆる社会インフラはITによって支えられている。これは何も、ITの進歩によって生まれた携帯電話やインターネットなどの新しい社会インフラだけではない。従来はメカニカルな仕組みだった電気、ガス、水道などのライフラインを制御するシステム、私たちの命を守る高度医療システム、交通機関や金融機関を支えるオンラインシステムなど、その実例はいくらでも挙げることができる。社会基盤はITの上に成り立っている、と言っても過言ではない状況なのだ。

こうした社会インフラを支えるシステムには、サービス提供中に決して停止してはならない、24時間365日の中で絶え間なく運用されなければならないという、極めて高い可用性が求められる。一般に「ミッションクリティカルシステム」とは、そうした高い可用性を実現するシステムを指している。

不断の稼働を求められる
ミッションクリティカルシステムの必要要件

このミッションクリティカルシステムの実現には、どのような要件が求められるのだろうか。

第一に、高い可用性を実現するにはハードウェアおよびソフトウェアに高度な信頼性と堅牢性が要求される。可用性を表す指標として、99.999%(ファイブナイン)や99.9999%(シックスナイン)といった確率が使われるが、これは例えばシステムを1年間運用したとして、ファイブナインならば約5分15秒、シックスナインならば約31秒のダウンタイム(サービス停止)に相当する。

一見すると極めて短いダウンタイムのように思えるが、鉄道機関のシステムがラッシュアワーに30秒間停止したら、どれだけの混乱を招くだろうか。社会インフラを支えるミッションクリティカルシステムにとって、可用性の高さはそれだけ重要であり、その可用性の高さを実現するためにも、ハードウェアおよびソフトウェアの双方には極めて高い信頼性と堅牢性が求められるのだ。

これだけの可用性を持つ「壊れない」ハードウェアや「エラーの出ない」ソフトウェアを開発するのは、非常に難しい。そのため、ハードウェアならばパーツを多重化して故障に備え、ソフトウェアならば障害を自律的に予兆して回避や復旧をするなどして、信頼性と堅牢性を確保することが一般的だ。また、障害発生範囲を局所化するために、システムの稼働中でも交換可能なパーツが採用されることも多い。

ミッションクリティカルシステムに求められるのは、高い可用性、そしてそれを確保するための信頼性と堅牢性だけではない。システム自体の性能が保証されることも極めて重要な要件だ。社会インフラを支えるためにはサービスの即時応答性が求められるから、どのようなサービスにもリアルタイムで確実に処理できるだけの能力が必要不可欠である。

このほかにも、システムが24時間365日で稼働するなら、その運用保守を支えるサポート体制も同様に整備しておく必要がある。さらに、システムのアプリケーション開発を効率化するツールを拡充し、システムの変更にも即座に対応できなければならない。

メインフレームからオープンシステムへ
急速に進む基幹システムの移行

こうした社会インフラを支えるミッションクリティカルシステムには、これまで大型汎用機としてのメインフレームが多く利用されてきた。とりわけ金融機関のオンラインシステムでは、特定ベンダー一社が開発したプロプライエタリなシステム環境のメインフレームが今なお主流である。信頼性と堅牢性を確保し、高い可用性を実現するには、ハードウェアからアプリケーションまでを高度に一体化して開発する必要があったからだ。

そうしたメインフレーム中心だったところに、オープンシステムが採用され始めたのは、今から20年ほど前のことである。「ダウンサイジング」を合言葉に、UNIXによるオープンシステムが台頭してきたのだ。ただし、オープンシステムとは言ってもベンダーの独自色が極めて強いUNIXであり、ハードウェアからアプリケーションまでを単一のベンダーが提供するという構図に大きな変化はなかった。

ミッションクリティカルシステムの開発に大きな変化が現れたのは、2000年以降のことである。

これまでコンシューマ市場でパソコン向けのプロセッサを提供してきたインテルが、企業サーバ向けプロセッサの開発に取り組み、性能の面でメインフレームの独自プロセッサやUNIXのRISCプロセッサに肩を並べるようになったのだ。もちろん、周辺技術の性能や信頼性も徐々に拡充し始め、ストレージやネットワークにも差がなくなりつつある。新興技術として課題とされた信頼性の面も、メインフレームの技術資産がどんどん取り入れられた。

その結果、現在ではメインフレームがオープンシステムのプロセッサやOS、インターネット技術を採用するなど、オープンな規格を逆に取り入れ始めている。さまざまな技術の集合体となるオープンシステムでは、保守サポートも"切り分け"られることも不安視される一因だったが、これについてもサーバベンダーやSIベンダーがワンストップで対応することが当たり前になりつつある。

そして、ようやく社会インフラを支えるミッションクリティカルシステムにも、本格的なオープンシステムの時代が訪れようとしている。既に2007年には、百五銀行が日本で初めてWindowsによる金融基幹システムを構築した。こうした事例が契機となり、今後はメインフレームからの移行が急速に進むと予想されている。

(掲載:2008年4月)

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