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企業価値を向上し持続的成長を推進する
これからの時代の知的財産マネジメント

企業価値の向上と持続的な成長を実現するためにはイノベーションが不可欠となる。その源泉となる知的財産をどのようにマネジメントするかが、今日の重要な経営課題になってきた。何が知的財産に相当し、どのように管理すれば有効なのだろうか。

イノベーションの源泉となる「知的財産」によって
新たな付加価値を生み出し企業の持続的成長を果たす

これまでの大量生産・大量消費の高度成長時代には、効率化・低コスト化に長けた企業が成長を享受してきた。しかし業界や市場が一定水準を得て、今日のような限られたパイを奪い合う成熟社会においては、効率化や低コスト化だけでは消耗戦・体力戦になりがちで、持続的成長を続けることは難しい。

持続的成長の鍵となるのが、イノベーションによる新たな付加価値の創出だ。それによって新たなパイを切り拓くことができ、効率化・低コスト化競争とは別の次元に立つことで持続的成長が可能となる。しかしイノベーションによって画期的な製品やサービスを開発しても、いずれかは他社によって追いつかれてしまい、消耗戦・体力戦に巻き込まれ、成長は鈍化する。

持続的成長を保つには、継続的なイノベーションによって常に新たな付加価値を創出し、パイ自体を大きくしなければならない。イノベーションによる新事業、新製品、新サービス、新ビジネスモデルの創造が求められる。こうしたイノベーションの源泉となるのが「知的財産」だ。

21世紀は知的財産活用の時代であり、その1つの頂点に立つものがノーベル賞だ。ノーベル賞受賞の元となった知的財産は社会に多くのパラダイム転換をもたらし、産業界や医学界をはじめ多大な影響を及ぼしている。

知的財産は、「知的創作物(産業上の創作・文化的な創作・生物資源における創作)」、「営業上の標識(商標・商号等の識別情報・イメージ等を含む商品形態)」、「それ以外の営業上・技術上のノウハウなど、有用な情報」に大別される。このうち知的財産権として法的に保護されているのが、知的創作物である「著作権」と「工業所有権」だ。著作権は著作者が著作物を占有できる権利であり、工業所有権は産業活動に役立つアイデアや商標などを占有できる権利となる。

工業所有権には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などが含まれる。またIT分野においては、各種プログラムや統合されたデータベース、そして独自に制作された画像・映像や音声なども知的財産権の対象となっている。

特許出願だけにとどまらない知的財産マネジメントで
経営戦略へさらなる選択肢を与える

継続的なイノベーションを実現するために、特許権や実用新案権、著作権(IT分野)といった知的財産をいかにマネジメントするかが重要なポイントとなる。従来、企業の知的財産部門(特許担当)は、自社で開発した発明や工夫をすばやく特許化することが求められた。そこでは、登録した特許が経営戦略に合致するかどうかを考える余裕や視点はない。

特許数が企業の競争力を反映していた大量生産・大量消費時代では、とにかく自社特許で守られた製品を市場に投入することで、他社の参入を阻止するという戦略は有効だった。しかし成熟化した社会では、自社の特許だけですべての分野をカバーすることの利点が薄れて、他社の特許を活用することも必要となった。その際、自社が保有する特許とのバーター利用であれば、必要なコストを下げることも可能となる。

こうして単なる特許出願ではなく、知的財産マネジメントが大切になってきた。持続的成長を続けるために、どの特許が必要か、将来どのように活用できるのか、経営戦略・技術戦略上どのような位置付けにあるのかなどについてのマネジメントが求められる。現在の解決策としてだけを見出すのではなく、5〜10年先を見据えて世界の状況がどう変わるか、あるいは自社がどう変わるか、変わっていきたいかを想定した上で、知的財産の活用を考えることが大切となる。

また、知財業務では自社が所有する特許を棚卸しすることで、経営や企業価値向上に役立つ知的財産マネジメントが可能になる。知的財産マネジメントの目的は、あくまでも企業価値向上を実現することであり、そのための手段として知的財産の大切さを意識することにある。従って、知的財産マネジメントは知的財産部門だけではなく、経営トップが本当にどこまで知的財産の中身を理解しているかが問題となる。経営トップが分かる言葉で知的財産の重要性を伝えることが大切だ。

企業が知的財産で最大の成果を上げるため
取得、公開、移譲、秘匿を使い分ける

事業環境の変化によって知的財産マネジメントの果たす役割は大きく変化した。これまで知的財産マネジメントは、知的財産の効率的な活用と特許戦略や権利侵害への対抗策などが主要目的となることが多かった。しかし、次の時代の知的財産マネジメントは、知的財産の活用によって企業価値を高めることが最大の役割となった。

例えば、コア事業に属さない特許が得られた場合、経営戦略としてコア事業に集中するという方針であれば、そのまま持ち続けるよりも他社に売却した方がいいという判断もあり得る。また、独自の発明であっても、一般に公開した方が自社の企業価値向上につながる状況であれば、特許を取得せずに無償公開するという判断もあるだろう。逆に、特許出願することで特許の権利は得られるが、その反面、特許情報を公開しなければならない。この情報を公開しない方が企業価値を向上するのであれば、あえて特許を取得しないという戦略もある。

つまり、知的財産の活用には、自社の企業価値を最大化するマネジメントが必要なのだ。知的財産そのものも商品として捉えることで、企業の経営戦略に基づいた知的財産マネジメントが可能となる。これからの知的財産マネジメントは、経営戦略との整合性を図ることで持続的成長を実現し、企業価値の最大化に貢献することが大きな役割となる。

(掲載:2009年1月)

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