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内部統制対応の後こそ企業が試される
激動の世界情勢をITと共に乗り切るAfter J-SOX

2008年4月に日本版SOX法(J-SOX法)が施行され、この2009年3月には上場企業へと適用される。内部統制の取り組みを通じて企業に求められることは、単に文書化によって財務報告のリスクを低減することではなく、企業価値を高めることだ。J-SOX対応後の「After J-SOX」で、いかに動くべきなのかを考える。

法制度対応で終わらせない、終わってはいけない
J-SOXの「その後」が企業にとって重要となる

2008年の経営課題として最も関心が高かったテーマは「J-SOX」であり、多くのメディアが取り上げ、対象となる上場企業は対応に追われた。今、2009年3月に決算を迎える上場企業は、評価と内部統制報告書作成の最終段階に入っていることだろう。J-SOXに対応するためには膨大な文書を管理しなければならず、ITが不可欠となり、システム構築だけでなく運用にもコストがかかっている。単に法制度に対応するだけではコストがかさむばかりだ。しかし、業務の標準化に取り組む過程で、自社のコンプライアンスやリスクマネジメントの見直しにもつながったはずだ。

それは、J-SOXのベースとなった米国トレッドウェイ組織委員会(COSO)が公表したCOSOフレームワークの狙いでもある。同フレームワークは、70年代から80年代の米国で起こった粉飾決算や経営破綻などを防止する目的で制定されたもので、その考え方は世界標準として認められている。2004年には、同委員会はCOSOフレームワークを拡張して、ビジネスリスク全般に目を向け、戦略的に経営目標の実現を進めるCOSO ERM(Enterprise Risk Management:統合リスクマネジメント)を明らかにしている。

一連のJ-SOX対応は出発点に過ぎない。内部統制整備をステップにして、さらなる一歩を目指す「After J-SOX対応」が次に不可欠となる。After J-SOX研究会の調査によれば、企業が考える次の一手はJ-SOXで「見える化」した業務の標準化・効率化を土台にした統合リスクマネジメントへの展開や、人事や経理、総務などの間接業務をグループ内の1カ所に集約し、コストの低減を図るシェアードサービス化などに取り組むことだった。企業は法制度対応が終わった2009年度以降、このフレームワークに基づいた統合リスクマネジメントの考え方を取り入れて経営改革を進めていくことになりそうだ。

世界不況、環境対応、少子高齢化社会において
After J-SOXの課題は企業価値向上の取り組み

世界同時不況の大津波を受けて経営環境が急激に悪化している中、企業はJ-SOX対応に加えて、環境対応の強化なども行わなければならない。さらに、少子高齢化の影響で国内市場がどんどん縮小していくため、この先の企業経営は難しい舵取りを強いられる。単に収益を上げるだけでなく、世の中に支持されるよう企業価値向上に取り組まなければ淘汰されかねない。これからの企業は「世の中の人に、どれだけ必要とされているか」を企業価値として位置付け、それを常に向上し続ける経営姿勢が求められる。

After J-SOXの取り組む課題として挙げられた統合リスクマネジメントは、こうした企業価値向上に大いに貢献する。例えば、昨今の食品偽装や食への不安における企業の対応において、コンプライアンスの低い企業は社会からの退場を余儀なくされたか、社会から厳しく批判され企業価値は著しく低下した。逆に、コンプライアンスへの取り組みが十分になされ、顧客や社会に対して真摯に対応した企業は最小限のダメージで済んでいる。企業価値の向上には長い時間と大いなる努力が必要となり、それを失う場合には一瞬であることを忘れてはならない。

そもそも企業価値は「資産の時価」から「負債の時価」を差し引いた金額で表される。「資産の時価」には、その企業が保有する知的財産などの無形資産や試算表に表れない社員の価値も含まれる。経営トップは持続的成長を実現するために戦略を立案するが、その戦略を実行するのは一人ひとりの社員であり、企業の成長は社員の能力に依存している。そのため、企業価値の向上には社員の能力向上やスキルアップが重要となる。

今までは、企業の成長は自社の商品に付加価値を持たせ、いかに他社の商品と差別化するかを考えて企業価値を向上させてきた。しかし差異化が難しくなり、経営環境が厳しくなった今、商品を創出した社員の価値向上(能力やスキルアップなど)に取り組むことが企業価値の向上にとって重要となった。

企業価値を求める経営を実現するために
IT環境が貢献できることの重要性

J-SOXに対応した企業では内部統制による業務の見える化が進み、誰もが業務内容を理解できるようになり、異動した者であっても業務内容をすばやく理解でき、上司も正当な評価ができるようになった。社員にとっても、早期の業務習得やほかの業務習得など、自己成長への貢献が期待できる。さらに、内部統制の整備によって、業務の見える化と会計リスクの共有が可能になり、グループ内企業の部分的な連携が行えるようになる。これを基盤にグループ全体での業務の標準化・共通化がなされると、さらに内部統制の範囲が拡大し、グループ内企業の連携もより緊密なものとなる。

それを支えるIT環境にはさまざまなものがあるが、今後は統合リスクマネジメントの早期実現がポイントになるだろう。統合リスクマネジメントによるシームレスな業務連携と、シェアード化でグローバルレベルの連結経営を実現することにより、企業価値の向上を図ることができるからだ。

また、企業価値向上経営におけるIT環境として、大きな効果を発揮するのはERPパッケージだ。データベースが1つしかないERPパッケージは、グループにおける連結経営を実現する上で統一的な情報基盤として大きな役割を果たす。グループ全体で業務を標準化してERPパッケージを導入すれば、本社はグループ全体の動きを見える化できる。また、グループ会社も自分たちの経営状態をより細かく捉えることで業務改善に活用でき、企業価値向上へ貢献していくだろう。

(掲載:2009年2月)

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