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ドラフターからCADへ
その歴史を振り返る

現在の設計・製図を語る上で必要不可欠な存在となっている「CAD(Computer Aided Design)」。最近では、実務として手書き製図を経験していない世代の現役設計者が圧倒的に多いと思うので、ここで改めてCADの歴史を振り返って解説したい。

アナログ製図時代からの解放

設計や製図という作業自体は、当然ながらCADが普及する遥か以前から存在しており、ドラフターを用いた手書き時代に懐かしさを感じるベテラン設計者も多いはずだ。この頃は、連続曲線を雲形定規で滑らかに繋ぐのもひと苦労で、インボリュート歯車などに至ってはまさに大仕事であった。もちろん、字消し板を使った修正や、図面のトレース作業にもかなりの手間が必要とされてくる。このような現状を打開すべく登場したのが、コンピュータによって設計を支援するCADである。

CADの歴史としては、まず1950年代頃に米国の軍事用途向けとして、MIT(Massachusetts Institute of Technology:マサチューセッツ工科大学)が図形描画システムの研究を開始。1963年にMITのIvan E. Sutherland氏らによって発表された「Sketchpad」がCADの第一号といわれている。1965年には米Lockheed社とCADAM社の協力による航空機設計用の「CADAM」が完成し、その後は続々と実用化が進んでいくことになる。

しかし、1980年代初頭までのCADは大型汎用機と呼ばれる巨大なコンピュータによって動作しており、一般企業が手軽に導入できるようなものではなかった。1台のコンピュータを共同利用し、CPUの占有時間に対して課金が行われるシステムであったため、コストの高さから一般化しなかったのである。確かに1970年代後半からは、小型で低価格な「パーソナルコンピュータ」も存在していたが、CADを動作させるには処理能力やメインメモリなどのスペックが明らかに不足状態だった。

技術革新と共に幕を開けたCAD時代

CADがようやく一般企業に普及し始めたのは、当時の代表的なCPUといわれるIntel社の「80286」が登場した1982年頃から。16bit CPUは既にワークステーション向けとして製品化されていたが、16MBに拡大されたメインメモリが大きな効果を発揮し、パーソナルコンピュータでのCAD動作を可能にしたのである。同年には、現在でも数多くユーザーを抱えるAutodesk社の「AutoCAD」、Dassault Systemes社の「CATIA」が誕生している。

以降は、パーソナルコンピュータの普及と共にCADの需要も拡大。機械用や建築用など各分野の業務内容に特化したCADが続々と登場し、現在に至るというわけである。

CADがもたらしたメリット

CADの普及は単なる作図のスピードアップだけでなく、トレースや修正作業の簡略化、パーツをデータとして共用することによる効率化をもたらした。また、防災設備を完備した図面保存用の建屋や管理者が不要になったほか、図面の検索スピードが圧倒的に向上するなど、設計・製図において数多くのメリットが生まれている。さらに、加工用プログラムの作成など工作機械の制御をコンピュータで行う「CAM(Computer Aided Manufacturing)」、応力や熱流体といった解析を行う「CAE(Computer Aided Engineering)」と連携することで、基本設計から生産までにかかる期間やコストの大幅な削減も実現したのである。最近では、3D CADをオンデマンドで提供するサービスまで登場しているから驚きだ。

このように、CADはコンピュータの技術革新と共に日々成長を続けている。現役の設計者は自社の開発環境だけを見つめるのではなく、常にマクロな視点でCAD関連の最新動向を捉えることが重要といえるだろう。

(掲載:2006年10月)

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