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意外に知らないCAD資格

CADに携わる設計者やオペレータの中で、CAD関連の資格取得者の割合はどれくらいになるだろう。まだ資格を持っていない、もしくは資格について詳しく知らない、興味がないという人も多いのではないだろうか。そこで今回は、CADに関する資格の詳細や、実務経験者から見た資格の活用方法などを紹介していこう。

日本における“資格”の定義

CAD関連の資格に触れる前に、まずは日本における“資格”自体の位置付けについて改めて確認しておこう。資格とは“取得することで権限者から一定の行為や操作が公的に認められるもの”である。最も広く普及している「普通自動車免許」をはじめ、教育職員には「教育職員免許状」、医療行為には「医師免許」といった具合に、それぞれの行為の内容に応じた資格が必要だ。また、資格は取得者の能力を証明する、という意味合いでも用いられている。「実用英語技能検定」や「TOEIC」、「簿記検定」など、一般的に能力検定と呼ばれるものが多く、CAD関連の資格もこちらに含まれる。

次に、資格の分類を紹介しよう。現在の資格制度は、権限者によって大きく「国家資格」「公的資格」「民間資格」という3種類に区分されている。

国家資格 法律に基づいて国および委託機関が実施する、社会的な信用度が最も高い資格。その多くは、通常禁止されている行為の権限を与える、といった内容のもの。
公的資格 省庁などが認定した審査基準に基づき、民間団体や公益法人が与える資格。国家資格と民間資格の中間的な位置付けで、公的に通用する能力検定が多くなっている。また、省庁からの後援のみで、審査基準の認定を受けていない資格を「準公的資格」と記述する場合もある。
民間資格 民間団体や企業が、独自の審査基準により認定する資格。IT系から趣味まで非常に幅広いジャンルの能力検定があり、難易度も様々。中には「TOEIC」のように、認知度や信頼度が著しく高い資格も存在する。


このように3種類の資格区分を挙げたが、CAD関連では国家資格が存在していないため、事実上は公的資格と民間資格の2種類ということになる。

多彩なCAD関連の資格:公的資格編

日本における資格の定義が分かったところで、いよいよCAD関連の資格について解説しよう。まず公的資格は、厚生労働省が認定する「CADトレース技能審査」のみとなっている。

■CADトレース技能審査(厚生労働省認定)
http://www.javada.or.jp/jigyou/gino/sinsa_cad/cad.html

CADでのトレース業務に必要な能力を評価・証明する資格。厚生労働省認定の認定を受けて中央職業能力開発協会(http://www.javada.or.jp/)が実施する、CAD関連で唯一の公的資格である。内容は機械部門と建築部門に分けられ、それぞれ初級/中級/上級という等級区分があるので、自分の実力に応じた選択が可能だ。サイト内には出題範囲とともに、前回の試験課題が無料公開されており、実務と並行しながらある程度の事前対策も行える。

多彩なCAD関連の資格:民間資格編

これに対し、民間資格については企業などが独自に実施できるため、非常に多くの種類が存在している。例えば「CAD利用技術者試験」「CAD実務キャリア認定制度」「3次元CADトレーサー認定試験」「Autodesk Master」「ATC・AutoCAD技能認定試験」「建築CAD検定試験」といった具合だ。今回はこれらの中から、いくつかの資格を抜粋して紹介しよう。

■CAD利用技術者試験
http://www.jpsa-nintei.com/cad/

CADに関する知識やスキルの評価・認定を目的とし、コンピュータソフトウェア協会(http://www.csaj.jp/)が実施する試験。1990年10月に「CADインストラクター認定試験」として創設以来、現在まで延べ40万人以上が受験する国内有数の技術系認定試験である。内容は、CADに必要最低限の基礎知識を問う「CAD利用技術者基礎試験」、筆記のみで2D CADの知識を問う「CAD利用技術者2級」、筆記および実技で2D CADの知識と技能を問う「CAD利用技術者試験1級(建築と機械の2種類)」、機械や製造系に用いられる3D CADの知識と技能を問う「3次元CAD利用技術者試験」の4種類となっている。

■CAD実務キャリア認定制度
http://www.gec.or.jp/career/

CADの実務経験者を対象に能力評価を行う、コンピュータキャリア教育振興会(http://www.gec.or.jp/)の認定制度。あくまで実務レベルでの活用を想定しているため、願書提出時から合否決定までを採点対象に含むプロセス重視型となっている。試験内容の区分は「CADアドミニストレーター認定試験」「CAD実務トレーサー認定試験」「CAD実務マスター認定試験」「3次元CADトレーサー認定試験/SolidWorks部門」「3次元CADアドミニストレーター認定試験」の5種類だ。

■建築CAD検定試験
http://www.aacl.gr.jp/

全国建築CAD連盟が1993年に開始し、日本で初めて全国レベルでの統一化が図られた建築CAD向けの資格試験。高校生の団体受験のみに適用される「4級」、建築図面の正確なトレース技術が要求される「3級」、建築知識とCADの技能を活かして建築一般図を作成する「2級」、といった試験内容になっている。特に、2級では建築図面の読解力と製図能力が必要になるため、非常に実践向きといえる。

現役の設計者にもメリット大

ここまでいくつかのCAD資格を紹介してきたが、まだ“自分には必要ない”と考える方は多いだろう。確かに、現場においては実務経験を重視する傾向が高く、CAD資格を取得しているだけでは実務がこなせる証明にならない。企業視点で見れば、当然ながら“CADを操作できる人材”ではなく“設計上の諸問題を踏まえて作図できる人材”が求められるのである。しかし、ここで改めて考えていただきたいのが、今までどのようにしてCADの知識を学んできたかということだ。

現役の設計者には、CADの操作を現場で直接学んだという方も多いだろう。この場合、たとえ仕事自体はこなせていても、CAD操作に関する知識を体系的に構築できていない可能性も出てくる。知識が体系化されていない状態で、他人に対してうまく内容を説明することは難しいだろう。しかし、企業には後進の育成という重要な業務も含まれているため、資格試験の学習を通じて知識の体系化を図ることは、決して無駄ではないのである。

また、少し目線を変えて製図関連の資格である「機械・プラント製図技能士」や「建築図面製作技能士」などを取得するというのも非常に有効だ。これらは「職業能力開発促進法」に基づく技能検定制度の一種で、資格としてはトップクラスの国家資格に位置付けられている。あくまで製図主体であるため、今回はCAD関連の資格と分けて紹介したが、取得が今後の設計業務に良い影響を与えることは間違いないだろう。

以上のように、CAD関連の資格は現役の設計者やオペレータにとって十分プラスになる要素といえる。自己啓発やスキルアップの一環として、資格取得を目指してみるのはいかがだろうか。

(掲載:2006年12月)

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