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設計することと製造すること 製造要件を考える

設計部門で作成した3次元データを最終的に製造まで活用したい、という要望は多い。しかし、基本的な製造要件すら考慮されていないデータは大幅な修正が必要になったり、極端な場合は製造部門で作り直す羽目に陥る。設計者に対して、全ての製造要件を理解しなければならないと言うつもりは無いが、全く無知というのも困りものだ。

製造するということ

設計は、目的の機能を具現化する作業であるから、たとえ製造方法がどうであれ、欲しい形状だけを指示すれば良いではないか、という考え方もある。ただ、同じ機能が得られるのであれば、その形状に影響を与える製造方法についても考慮しておくべきだろう。

例えば、射出成型品の図面でよく見かけるのが、金型の抜き勾配を理解していないかのような表現だ。以下に示した例では、いずれの形状でも金型の製作が不可能ということではないが、何も考えずに作成した図面は製造コストも高くなりがちである。

抜き勾配を考慮していない図面は、製造側で設計者の意図しない形状にアレンジされる可能性がある。

抜き勾配を考慮したように思える図面だが、このとおりに製造すると、側面がねじれてしまう。おそらく設計者の意図とは異なるものだろう。

設計意図と製造要件を考慮すれば、通常はこのような図面になるはずだ。

設計するということ

射出成型品の場合、金型の抜き勾配は目的の形状に大きく影響を与えるので、基本的な考え方くらいは知っておく必要があるだろう。そのようにすれば、3D CADで抜き勾配(ドラフト)コマンドを使用する際にも、オプション指定の意味などがずっと理解しやすくなる。


SolidWorksの抜き勾配(ドラフト)コマンドにおけるオプションの設定例


抜き勾配の他に、パーティングライン、ゲート、ランナ、などの知識もあれば、設計意図をより正確に盛り込んだ図面を作成することが出来る。

板金部品の場合も、プレスや曲げ加工の理屈を知っていれば、形は出来ているが製造ができない、という図面を描かなくて済むだろう。

製造の知識を持っていることで、設計者はよりスムーズな連携を取ることが可能になるし、何より自身の設計意図通りのものが製造されるであろう利点は大きい。

設計者は製造について どこまで考慮すればよいか

設計者であるとしても、最低限の製造要件程度は考慮してほしいと思う、とはいえ、あくまでも設計で必要な機能を満たした上で、の話である。製造要件に傾注するあまり、設計検証で利用しにくいデータや、意味の無い形状を作ってしまうような本末転倒とならないように注意しよう。


例:板金の一般曲げRなどは、製造方法を理解していれば、あえて設計時にモデリングしなくても構わないだろう。


設計に必要な情報と製造に必要な情報は異なることが多い。一般的に、3D CADで作成する立体データは設計検証を意識して、その2D図面は製造工程を意識して作成するとよい。これらについては、また別の機会に詳細な説明を行っていく予定だ。

(掲載:2007年4月)

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