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逆転の発想で切り抜ける
モデリングの袋小路

モデリングをしていて行き詰まったと思い悩んだ場合に、発想の転換で解決できることも多い。基本は踏まえるとして、テクニック的に知っておくのも良いだろう。

「発想を変える」ということ

3D CADのスキルチェックなどでモデリングをする場合には、課題で提示された「形状」を結果的に完成させてしまえば問題ない。しかし、こうして作成したデータを設計検証に利用する場面を考えると、形を作っただけのモデリングでは行き詰まってしまうことも多い。

例えば、鉛筆のような六角棒のモデリングを考えてみよう。形を作るだけのモデリングでは、六角形の断面スケッチを押し出して立体形状を作成すればよい。これが三角形や八角形になろうとも、必要に応じて断面形状のスケッチを繰り返すだけだ。


六角形や八角形での押し出し


完成形状が明らかで、変更が発生しないのであれば、このような作り方も作業時間の短縮としていいだろう。しかし、物の形を考えていく設計過程で細かく検証を繰り返す場合や、将来の流用設計が予想される部品などでは、ちょっとした発想の転換が必要となる。設計者であれば、それは何も難しいことではない。

先ほどの六角棒の例に戻れば、最初は基本的な仕様を満足する直径を持った円柱から考え始めるということだ。細かな仕様の違いによって、六角形となることもあるし、八角形になることもある、というプロセスを頭の中で行っているからだ。

これらのプロセスを、3Dデータとしてメモしながら検証していく。つまり「完成形状」をモデリングするのではなく、完成形状を考えてゆく「過程」をモデリングする、という発想の切り替えだ。


円での押し出し



必要に応じて、面をカットしていく


設計の過程さえ同じであれば、最終的な完成形状が異なっていても、1つのモデリングプロセスを習得するだけで十分になるはずだ。

複雑な形状を
機能からモデリングする

フィーチャ数が多い複雑な形状のモデリングで、単純にフィーチャを積み重ねていった結果、自分自身でさえメンテナンスが難しいデータを作ってしまった経験はないだろうか。このようなときも、少し発想の方法を変えてみよう。

複雑形状の代表的なものに、自動車のミッションケースやエンジンブロックなどの鋳物部品がある。これらはもともと複数の機能部品が1つの部品に集約された結果であるため、必然的に複雑な形状とならざるを得ない。同様な理由で、射出成形部品も鋳物と似て複雑になりがちだ。

このようなモデリングの操作教育などでは、3D CADの「部品」と「アセンブリ」は、現実の「部品」と「アセンブリ」に対応させて利用するように教えられる場合が多いと思う。なるほどそうなのだが、設計検証という視点に立って、もっと柔軟に考えるのも方法だ。

現実には1個の部品であるが、それに含まれる「機能」や「形状」をさらに部品化し、3D CADのファイルでアセンブリとして扱う発想もいいだろう。先ほどの鋳物部品であれば、中子と外形状に分けて考える。また射出成形部品であれば、シェル(キャビティ側)形状とボス・リブ(コア側)形状に分けるといった具合だ。

実際に、ある自動車のミッションケースでは数十の機能ブロックに部品化した例がある。そして、分解したファイルのリンク関係を整理した樹系図に従って作業した結果、当初は不可能だと思われていたデータ作成が可能になったのである。

形のない形を
機能からモデリングする

設計検証に利用する前提で、形状を考えていく過程をモデリングするという発想を追求すれば、場合によっては「形」のないものからモデリングを始めることも必要になってくる。

形のないものというのは、例えばエンジンの吸排気口を設計する際、吸排気口そのものの形を作るのではなく、空気やガスをどのようにコントロールしたらいいのか、という発想で進めていくことだ。吸排気口を通る空気やガスに、特定の形はない。


吸気口の設計(モデル)



吸気口の設計(図面)


空気や水など形のないものであっても、機能としての形は持っているはずだ。まして、それらが「設計で重要」なものであるなら、モデリング3ヶ条で説明したように、まずモデリングの対象とするべきだ。機能を果たす形を設計で見つける、こうした視点を大切にしたい。

(掲載:2007年10月)

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