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立体モデルを作り上げ検証する
操作コマンドだけではないスキルチェック

3D CADの目的の 1 つとして、設計結果の検証がある。しかし3D CAD自体が多機能になるに従い、操作習得がスキルそのものと思ってしまいがちだ。コマンドを実行するだけではない、本当に必要とされるスキルをチェックする方法はあるのだろうか。

設計アイデアを平面から立体へ映す
3D CADの操作スキルとは?

立体形状を3D CADでモデリングするとはいっても、まずは2次元の断面形状をスケッチする作業から始め、それを基に3D CADの操作を繰り返しながら求める形状を作成していくという手順が一般的だろう。

形状を作る手段と得られる結果の関係

断面スケッチを押し出して突起やカットを作る、スイープさせてサーフェスを作る、シェルコマンドで立体形状の不要な面を削除、残った面を薄板化するように形状を変形させるなど、形状を作る手段は多数ある。そのほかにもドラフト(指定した面を傾ける)、ラウンド(エッジを丸める)、面取り(エッジの面を落とす)など、豊富な手段が3D CADには用意されている。


このような多機能化は、形状を作る手段を増やすことでモデリングの作業効率をアップしようというものだ。このため、習得したコマンドの数を3D CADの操作スキルとして結び付けてしまうことも多い。

例を考えてみよう。あるモデル作成の際に、基本的なコマンドばかり集中的に使用したAモデルと、いろいろなコマンドを組み合わせたBモデルを用意する。完成したモデルに差はないが、今後にデータの変更や流用、メンテナンスなどが起きるとすれば、基本コマンドで作成されたAモデルのほうが扱いやすいと想像できる。

数多くのコマンドに習熟することは良いが、それだけがスキルとも限らない。次の図のような「ブロックのモデリング課題」を与えられた場合、あなたは工夫で解決するタイプだろうか、それともコマンドで処理するタイプだろうか。

ブロックのモデリング課題

100mm角の立方体を作成し、コマンドで処理する方法を考えてみる。

  • 60°の斜面に垂直な作業平面を作成
    → 120°の断面スケッチ/カット
  • 60°の斜面に沿った軌道を作成
    → 120°の断面スケッチ/スイープカット
  • 60°の斜面をカット
    → 2カ所のエッジに面取り
  • 60°と120°の斜面の稜線を作成
    → 斜面にサーフェスを作成/カット  など

実際にモデリングしてみれば実感できると思うが、断面スケッチに幾何計算が必要であったり、スイープやサーフェスなどはコマンドを思いつかなければ進まない。

でき上がるブロックのモデリング

単純なコマンドしか使わないが、その使い方を工夫してモデリングしてみる。意外に、簡単にできるはずだ。

  • 120°の山型形状をカット
  • 切断したエッジを利用して60°の斜面をカット  など

大勢の受験者が一斉に行う資格試験では、各自のモデリング手順やコマンドの種類を調べることが難しいため、採点方法として「モデリングに要した時間が短いほど、スマートな技術者である」といった判断基準を作成するしかないだろう。理想的には、このような課題を対面形式で実施すると、モデリングに対する受験者の考え方や操作スキルがよく分かる。

モデルをどうやって考えるか? スキルチェックをやってみよう

立体形状を作成する能力だけに注目すれば、どれだけのコマンドを知っているか、その使い方を理解しているか、といった操作スキルのチェックで十分である。しかし実際の仕事では、設計結果を検証できるような使い方を求められることが多い。設計検証にフォーカスしたスキルチェックが必要なのである。

次の図は「コップの設計課題」である。条件として「射出成型品であること」「内容量は250ccであること」などを受験者に与える。これを対面形式で実施すると、いきなり「図面に寸法が記載されていません」と質問する受験者がいたり、コップの外形から断面スケッチを始めたものの250ccの内容量が検討できずに行き詰まったりなど、それぞれのスキルから出る反応が見られて参考になる。

コップの設計課題

これの採点基準としては、以下のような点を聞くことになる。これらを満たしていないとモデリングもできないはずなので、結局は条件を満たしたモデルが完成したかどうかで最終的な合否判定を行うことになる。

  • 内容量「250cc」は「何㎥」なのか?
  • 内容量「250cc」で、かつ、コップとして適切な寸法はいくらか?
  • 内容量をチェックできるようなモデリング手順になっているか?
    もしくは、チェックした結果を図面に残しているか?
  • 抜き勾配は適切か?  など

課題に用いるオブジェクトは何でも構わないが、モデリング操作だけでは解決できない設計的な要素をいくつか含ませておくことが重要だ。そうすれば、時間内にモデリングできたかどうかで、設計検証に重点を置いたスキルを判定することが可能だと思う。

別の課題も見てみよう。下図は「目薬ケースの設計課題」である。

目薬ケースの設計課題

受験者には「内容量10cc」「アセンブリ構成」「材質」「規定寸法」などを条件として与える。代表的な判断基準は以下に示すが、時間内に完成できたかどうかだけでも、総合的なスキルはチェックできると思う。

  • 時間内(熟練者で20分程度、初心者で45分程度)に完成したか?
  • 内容量「10cc」をチェックできるような手順でモデリングされているか?
    あるいは、チェックした証拠が記載されているか?
  • 部品名、材質、密度などのパラメータ設定は正しいか?
  • 本体はブロー成型、フタは射出成型としての条件を満足しているか?  など

モデリング、操作技術、設計検証
本当に必要とされるもの

スキルチェックの一例として、CAD利用技術者試験の実技サンプル問題(社団法人コンピュータソフトウェア協会>認定試験>CAD利用技術者認定試験)を見てみよう。設計検証に応用できるスキルを問うよりは、空間での立体形状を把握する能力や、2次元図面からのモデリング能力を問うことに重点が置かれている。

解答は、作成した立体形状の表面積や体積、質量、重心などの測定値を解答群から選択する方法となっているので、どんなモデリング方法であろうとも完成形状さえ正しければ解答するのは難しくない。設計検証的な要素を課題に盛り込んでもらいたいところだが、自由記述式の試験問題のように採点基準や判定が難しくなってしまい、大量の受験者を採点することを考えると難しいだろう。

このようなスキルも当然必要ではあるが、3D CADを実務で活用できる指針となるものは、やはり設計検証に重点を置いたスキルにほかならないと感じる。

(掲載:2008年2月)

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