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データを整理・再利用することの意味
製造部品表と設計部品表による運用

大量に作成されるデータは、整理して再利用することでさらに価値がでる。ここで、「管理ができない」「過去に作成したデータが有効に活用できない」とならないよう、外せないポイントを確認する。

データを管理するために
あらためて設計機能を見直す

一言に「管理する」と言っても、実に広い概念である。ここでは、3D CADのデータを整理したり再利用したりといったことが可能な状態にコントロールすること、と捉えて考えてみよう。

通常、3D CADによって生成されるデータには次のようなものがある。


・部品(モデル)データ
・アセンブリデータ(部品またはアセンブリデータから構成される)
・図面データ(部品図、組図)


この図からも分かるように、2D CADまでは部品図や組図といった「図面」だけを対象にしていればよかったが、3D CADの場合には「ツリー構造」も管理の対象となってくる。

身近なものとして、ボールペンを例にツリー構造を考えてみよう。簡単な構造なので、分解するのも難しくない。キャップ組立、ホルダ、ケース組立、カートリッジという構造に整理してみた。


ボールペンのツリー構造(MBOM形式)


このようなツリー構造は、ボールペンを分解する(逆に言えば、組み立てる)単位を主体に考えられたもので、いわゆる製造部品表(MBOM=Manufacturing Bill Of Material)の構造となっている。これだけを見ていると、何ら違和感がないようにも思えるのだが、別のツリー構造も考えてみよう。


ボールペンのツリー構造(EBOM形式)


先ほどのツリー構造と似ているが、ボールペンという機能が詳細に分解されており、それぞれの機能が部品やサブアセンブリに対応している。このようなツリー構造を、純粋に設計機能だけに着目したという意味で、設計部品表(EBOM=Engineering Bill Of Material)と呼ぶ。

3D CADで作成されるデータは何かを設計した結果であり、つまりそのデータを整理したり再利用したりという行為は、設計機能の整理と再利用にほかならない。

製造部品表と設計部品表で
データの再利用を考える

適切に機能分解されたツリー構造では、同じ機能の部品やアセンブリの置き換えが容易になる。例えば、インク色のバリエーションは同じ機能で色違いのカートリッジに置き換えれば良いし、「ケース+ホルダ」を一体化してコストダウンを図りたいのであれば、ボールペンの保持機能である「ケース+ホルダ」のアセンブリを、同じ機能で一体化されたケースに置き換えればよい。



このように、製造部品表は組み立てや資材発注などを目的にしているので、詳細に機能分解された設計部品表の階層を浅くしたものとなるのが一般的である。

設計変更やバリエーション設計などは、データを再利用する場面の代表的なものである。設計変更は機能の変更であるし、バリエーション設計も、機能の一体化や入れ替えであると考えれば良い。そのため、管理すべきデータは設計部品表であり、製造部品表は設計部品表の階層を浅くして作成する。

深い階層を浅くするのはルールに従って自動化できるが、その反対は非常に難しい。製造部品表から設計部品表を生成するような形で管理するのは、避けたほうがよいだろう。

データを管理する際のポイント
まずは運用ルール確立から

3D CADのデータ管理に限らないが、重要なのは基本的な最低限のルールを関係者で合意しておくことである。いくつかのポイントを以下にあげておこう。

設計部品表を作成する

データ管理の対象は設計部品表である。設計部品表は、純粋に設計機能で詳細に機能分解を行う。製造情報や発注情報を盛り込んだ、階層の浅い製造部品表の運用しか行っていない場合は、まず設計部品表の構築から始めよう。

重複したデータは作成しない

紙の図面や資料でも同じだが、放置しておくとコピーが蔓延し、最終的にどれが最新であるか不明になってしまう。データは常に最新のものを管理対象にし、コピーなどで重複データが存在しないようにするべきである。

データには管理すべき属性情報を付加しておく

3D CADを使い始めると、モデリングなどの形状データを作ることに注力しがちであるが、パラメータやプロパティと呼ばれる属性情報を決めておくことも重要である。
例として、下記のような項目を設定するが、これらは設計部品表で使用する項目ともなるので、設計部品表のルールと同時に決めておきたい。

part_name

アセンブリ、部品の名称(英文)

meishou

アセンブリ、部品の名称(日文)

material

材料記号

finish

加工

treatment

処理

item

アイテム番号

cost

コスト

sub

備考

density

密度

weight

質量

drawn

製図者

designed

設計者

checked

検図者

approved

承認者


ファイル名を変更しない

データ管理の対象はファイル名なので、一度決めたファイル名はあまり変更すべきでない。特に3D CADの場合はファイル名をキーにして、部品(モデル)、アセンブリ、図面などの連携が保たれているので、設計部品表が大規模になるほど、ファイル名を変更した場合の影響は大きくなる。
例えば、最初は仮のファイル名を決めておき、最後に正式なファイル名に付け直すような運用はトラブルになりやすい。また、ファイル名に図面サイズや材質などの意味を含めている場合や、変更情報を付加している場合も、不要なファイル名変更を誘発するので、注意が必要だ。

PDMソフトの導入を性急にしない

データ管理にPDMなどのパッケージソフトウェアを導入すると、そのソフトウェアを使うこと自体が目的になってしまうこともある。ソフトウェアの用途は、人間が手作業で行っているものを自動化などで支援することなので、これまでに述べたような考え方やルールが実地で運用されていなければ、導入や運用に支障をきたす場合も多い。

これからデータ管理を検討しようとしているのであれば、以上のような点を参考に「自分たちの設計部品表はどうあるべきか」という議論から始めてみることをおすすめする。

(掲載:2008年3月)

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