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3D CADデータ変換のトラブル解決
三角面を作らず精度値を合わせよう

例えば製品の設計側と製造側で異なる3D CADを使用している場合、互いのCADデータを変換する作業が必要となる。しかし、元になるデータの品質によっては、この変換時にトラブルを発生させてしまうことも多い。

変換されたCADデータのトラブル
本質的対策は正しい元データの作成

それぞれ異なる3D CADで作成されたデータを互いに利用し合うためには、データファイルの変換が必要になる。変換の際に「IGES」や「STEP」などの中間フォーマットで受け取るのだが、この時、何らかのデータ修復が発生していないだろうか。変換作業が自動処理で済まず、手作業での修復が必要となるのは、「オリジナルの3D CADデータ」→「中間ファイル」→「変換済みの3D CADデータ」という変換過程で、CADモデルの面が剥がれたり欠落したりといった不具合が生じるためだ。



面の剥がれと、剥がれた面の修復


こうした面の剥がれや欠落は、立体形状を定義する頂点やエッジの不一致によって発生することが多い。3D CADの自動修復機能を使って頂点やエッジを移動させたり、手作業によって欠落した面を作り直したり、といった方法で不具合を修復はできるのだが、オリジナルのデータを完全に再現できるわけではない。

また、修復する個所や方法などに加え、作業者のスキルによっても当然できあがる形状が異なってきてしまう。つまり、CADデータ変換で不具合があっても「データ修復をしてはいけない」というのが基本原則だ。

トラブルの原因を「中間ファイルを介するデータ変換方法」に求めるような風潮も見受けられるが、元のデータに含まれていた問題がデータ変換によって顕著化した、と理解するほうが適切に対応できると思う。データ修復というのは何ら付加価値を生まない作業なので、修復テクニックを磨くよりも、修復作業を必要としない元データを作ることに努力すべきであろう。

モデリングの分解能はそろっているか?
精度値が合えばエッジや面もそろう

データ変換の際に顕著化する問題点の1つに、モデリング精度が挙げられる。単に「精度」と言えば、パソコンの内部で扱える有効数字の桁数(単精度で7桁、倍精度では 15桁)に依存した「計算精度」のことを想像する人も多いが、今回のデータ変換に伴う不具合に関係するのは、3D CADとして表現可能な最小形状を制限している「モデリング精度」のことである。

計算精度というのは、寸法指定などで小数点以下何桁まで表現できるか、ということであるのに対し、モデリング精度というのは、どこまで細かな形状や凹凸を見分けられるか、といった「分解能」のことだと考えればよいだろう。

例えば、モデリング精度0.01とした場合、小数点以下2桁までしか寸法値が保障されない、ということではなく、0.01近辺の段差や小さなエッジなどが表現できない、という意味である。3D CADで精度の話をする場合、ほとんどが分解能のことを指しており、これらは次のような簡単な実験で確かめることができる。

まず、立方体(□100mm)の上面に円柱(Φ60mm、高さ10mm)を追加したモデルを作成してみよう。次に、円柱の高さを徐々に小さな値へ修正していくと(例えば、10mm → 1mm → 0.1mm …)、寸法値が入力不可能になる値がある。この数値が、モデリング精度(分解能)による形状作成の限界、つまり3D CADで認識可能な最小距離ということだ。

モデリング精度は使用する3D CADによって異なるが、システム側で精度値を固定しているものと、ユーザ側で自由に精度値を設定できるものがある。システム側で精度値を固定しているものでは、モデリング精度をかなり小さな値(0.0001mmなど)に設定しているようだ。

中間フォーマットであるIGESやSTEPに変換した際にも精度値が保持されるので、データ変換に際しては、お互いのモデリング精度を合わせることが基本となる。例えば、精度値0.001のデータを精度値0.01で取り込んだ場合、元のデータでは表現されていた精度値0.01未満の微細な形状は欠落することになる。逆に、精度値0.01のデータを精度値0.001で取り込むと、元のデータでは許容範囲内であった隙間が、許容範囲外となってしまう。


精度が異なるデータの取り込みによって微細な形状が欠落した状態


元のデータでは一致しているはずの頂点やエッジが離れてしまった、面が剥がれてしまったなどのトラブルは、こうしたモデリング精度の違いによって発生する。これが全てのトラブルの原因ではないが、精度が一致しているかを見直して、精度値を合わせ直すだけで解決するケースも実際に多い。

CADデータ変換も重要な作業項目
変換前にチェックしておくポイント

データ変換を行う場合、問題を発生させやすいモデルを簡単にチェックするポイントを説明しておこう。対象となるモデルに、次のような三角面や微細面ができていれば、データ変換における要チェックポイントとして元のデータを修正しておくべきだろう。

■三角面

角Rが徐々に収束して三角状の面になっている部分によく見られる形状で、問題となるデータの代表的なものである。角Rや徐変Rを使った結果として三角面を作ってしまうケースが多いため、要注意点だ。

3D CADで扱う曲面は、データとしては格子状に制御された四角面で定義されるが、三角面では四角面を構成する輪郭の1辺が存在しない特殊な条件として処理され、曲面を制御する格子が頂点部に集中することになり、常に歪みや誤差の問題を抱えてしまう。

全ての制御ポイントが頂点で完全に一致していれば問題ないが、しかし現実的には演算誤差によるばらつきが生じ、頂点付近の曲面には「シワ」や「ネジレ」が発生してしまう。

■微細面

非常に細い面なども変換の際にエラーとなりやすい。やはり角Rの部分に発生しやすいのだが、これは角R自体よりも、角Rを付加する前の段階で面が複数に分割されているのが原因である。微細面のエッジ長がモデリング精度と非常に近い値になる場合、データ変換後に面が欠落するなどのトラブルが発生しやすい。

三角面や微細面を発生させないようチェックして修正するだけでも、CADデータ変換におけるトラブルの大半をなくすことができるだろう。

(掲載:2008年4月)

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