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設計者同士で共有する標準部品の作り方
モデリングの仕様から運用・管理まで

過去の資産や社内で標準的に使用するデータを整備する場合、どのような仕様でモデリングするかの決め事が重要である。特に、長期間使い続けるような標準部品ほど、多くの知恵を盛り込んで作成する必要がある。

設計現場で標準として使われる
モデリング部品の考え方と作り方

社内で使用する標準部品(ネジ、ボルトなど)や購入部品(スイッチ、センサなど)は、設計作業の全体から見ればそれほど重要ではない。しかし、3D CADを使う現場の設計者からは「標準部品のデータが整備されていないと、設計作業がスムーズに進まない」などの声が上がることも多い。

そこで、IT部門や3D CADの導入担当者は「設計者の声こそ第一」とばかりに、社内で使用する標準部品や購入部品を3D CADの操作練習を兼ねて作り始めたり、明確な決め事もそこそこに外部のモデリング業者へ発注することになるようであれば要注意だ。

そのようなモデルを実際に使い始めると、「設計基準が適切でない」「設計に不要な形状まで詳細に作成されている」「データ管理やメンテナンスがやりにくい」などの原因で、多かれ少なかれ作り直す事態に陥ってしまう。

多人数の設計者が、長い期間、共通で使用するデータ(標準部品、購入部品など)ほど、ベテラン設計者の知恵を盛り込んで作成するべきで、ちょっとした工夫でも使いやすいデータにすることが可能だ。

「ネジ」の例を図で表してみよう。いきなり部品をモデリングするよりも、「ネジ頭」「呼び径」「長さ」といった要素を樹系図に整理してから作業に取り掛かったほうが、効率的でもあるし他の部品とも仕様が揃えやすいだろう。なお、これを見ると最も単純なモデリングは「ネジ頭」も「首下」も円柱で表現する方法だと分かる。


設計に必要なモデリングデータとは?
詳細モデルと簡易モデルのポイント

こういった部品を考える際、全てのパターンを用意したり、完全に実物に忠実なモデリングであったりする必要はない。設計で必要なエッセンスが足りていれば良いのだ。例えば「バネ」などのように、使用状態によって形状が変化する部品は「基本形状」+「派生部品」というデータ構造にするのが良い。最も使用頻度が高い状態を、基本形状として定義しておこう。

自由長、第一荷重長(使用状態)、第二荷重長


また、バネ自体のモデリングについても、螺旋形状まで表現した詳細モデルを作成せずに、円筒形の簡易モデルで用が足りる場合がほとんどだと思う。

バネの詳細モデルと簡易モデル


先に説明したネジのモデリングでも同じことで、ネジ頭や十字孔などをあまり詳細にモデリングしたところで、プレゼンテーション用途以外にはあまり意味がないだろう。詳細モデルの作成には手間も時間もかかるので、まずは簡易モデルの採用を検討してほしい。

ネジの詳細モデルと簡易モデル


標準部品のバリエーション管理と運用
長期で使うデータだからこその注意点

標準として整備を行う部品は類似する形状が多いためか、「基本形状」+「設計テーブル」のような機能を使用して、使用する度に類似部品を派生させるような運用をすることが多い。

基本形状+設計テーブル=派生したモデル

このような機能は非常に便利ではあるが、使用している3D CADソフトの機能に依存したものとなってしまうため、データ管理の一部分を3D CADソフト機能に頼ることになる。将来、3D CADソフトのバージョンアップや変更などを考慮すれば、あまりにも特化した機能は避けるべきであろう。ただし、これは類似部品の生成に特有の機能を使用することを否定しているわけではなく、管理や運用をどのようなポリシーで行うか、という判断の問題だ。

こうして作成した標準データは、3D CADの一般的な機能であるアセンブリを利用して、種類ごとにまとめておこう。このようにしておくと、部品表で種類ごとのパラメータを一覧できるので、標準部品のメンテナンス時に便利となる。

標準部品アセンブリ

部品表でのパラメータ一覧


標準部品は多人数で長期間使い続けるものなので、基本モデルの設計基準や形状パラメータにはベテランの知識を盛り込み、メンテナンスしやすいデータにしておこう。

(掲載:2008年5月)

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