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建築基準関係法令の改正と新法の制定で
変わりゆく建設業界と社会の在り方

建築基準法を始めとした建築基準関係法令の改正と施行が相次いだ。関連新法の成立も予測され、どのような主旨で改正がなされ、何が変わるのか、あらためて確認していこう。

相次いで改正がなされてきた
建築基準関係法令の現状

2007年は、建築基準法の改正など、建築基準関係法令が相次いで改正・施行された。建築確認に関する規定は2007年6月20日から、建築基準法の用途制限に関する規定は2007年11月30日から施行されている。

前者は、まだ記憶に新しい耐震偽装問題を受けた建築確認の厳格化を目的とした改正であり、後者は、都市計画法の開発許可制度の改正と連動する形で、人口減少や超高齢化社会に適した街づくりを実現することを目的として行われたものだ。

それぞれ、どのような主旨を持って改正がなされたのか、その内容をあらためて確認していこう。

建築基準法において
建築確認に関する規定が厳格化

建築確認手続きに関する厳格化について、改正の主要な点は次のとおりとなる。

  • 従来までは、建築確認申請後に仕上げ、仕様、設備・機器の設定を行うのが一般的な流れだった。しかし、改正法施行後は、軽微な変更は除き、原則として図書の差し替えや訂正による申請書の補正ができなくなった。これらは申請前に確定しておかなければならず、申請後に変更があったときは再申請(最初からやり直し)となる可能性がある。
  • 建築基準法施行規則の改正により、建築確認申請書に添付すべき図書、明示すべき事項が追加、改正されている。
  • 特殊建築物、木造大規模建築物、木造以外大規模建築物(建築基準法第6条1項1号〜第3号)について、確認申請の審査期間がこれまでの21日から35日となっている。なお、この審査期間は構造計算適合性判定が必要なもので、合理的な理由のあるものは70日まで延長されることがある。
  • 建築主事および民間の指定確認検査機関は、建築基準法第6条第5項の規定により一定規模以上の建築物について、都道府県知事に対し構造計算適合性判定を求めることが義務づけられた。
  • 建築基準法第7条の3の規定により、階数が3以上の共同住宅で床および梁に鉄筋を配置する一定の工程を有する建築物などについて、新たに中間検査の実施が義務づけられた。

この改正法の規定によって、軽微な変更でない限りは申請後の補正ができず、変更確認も必要になる。そのため建設業界からは、変更手続ききで工事の中断がひんぱんに起こる可能性がある点、審査に時間がかかりすぎる点、などが問題として指摘されている。また、本来は現場段階で検討と決定をすべき事項についても申請前の段階で確定していることが要求されることになり、仕事の流れを無視しているという声もある。

新たな街づくりの要求が生まれ
大規模集客施設の立地に規制

これまでは病院、社会福祉施設、学校、庁舎などといった公共公益施設については、その規模に関わりなく、開発行為に関する許可が不要とされてきた。そのため、これらの広大な土地を必要とする公共公益施設が次々に都市部から郊外へと移転し、これに伴って、高齢者が病院や社会福祉施設、役所などの公共公益施設を徒歩圏内で利用することが困難になるなどの問題が生じるようになった。

また、モータリゼーションの進展もあり、郊外の大規模集客施設(特定大規模建築物)に顧客を奪われて、市街地の商店街が活気を失うなどの問題も生じている。国全体の人口減少も影響して、中心市街地の空洞化問題が深刻の度合いを増している。

そこで、人口減少と超高齢化社会に対応するための新たな街づくりが望まれるようになった。従来の拡大・拡散するスプロール型地域開発を中心とした施策から、中心市街地へ都市機能を集約する、いわゆるコンパクトシティー型への方針転換が叫ばれるようになった。これにより、中心市街地の再生を図ろうというのである。

この要求を受けて、建築基準法や都市計画法などが見直され、改正に伴って郊外への大規模集客施設の立地規制の本格的な導入、用途を緩和する地区計画制度の創設、公共公益施設を開発許可の対象とする開発許可制度など、さまざまな項目の再検討が行われた。確認しておきたい点を以下に記しておこう。

  改正前 改正後
建築基準法 床面積10,000u超の店舗、飲食店、劇場、映画館、演芸場、遊技場、展示場などの大規模集客施設が建築可能な地域 第2種住居、準住居、近隣商業、商業、準工業、工業の各用途地域および非線引き区域・準都市計画区域で用途地域の定めのない区域で立地可能。 立地可能な用途地域を近隣商業地域、商業地域、準工業地域3用途地域に限定。非線引き区域・準都市計画区域の用途地域の定めのない区域でも立地できなくなった。
都市計画法 建築・建設のための開発行為に開発許可が不要な建築物 国・都道府県が行う場合、駅舎その他の鉄道施設、社会福祉施設、医療施設、公民館、変電所、幼・小・中・高校その他。 駅舎その他の鉄道施設、公民館、変電所その他。
開発区域以外で許可なく建築できる建築物

既存の法改正と新法の制定
これからの建築・建設業界の行き先

建築基準関係法令に関する最近の改正と動きを見てきたが、もちろん建築・建設に関連する法令の動きはこれに限らない。今も、既に建築士法の改正法が成立し、施行を待つだけの状態となっている。また「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」という法案がこの秋の臨時国会で成立する可能性が高い。いわゆる「200年住宅」に関する法案である。

現在の日本の住宅は、歴史や風土の違いもあるが、欧米の住宅に比較して半分程度の寿命しかなく、そして建築後20年も経過すれば、資産としての評価も新築時の1割程度まで落ち込んでしまう。これでは、住宅を所有する個人にとっても社会全体にとっても損失が大きいと考えられたのだ。

建築基準関係法令の今後の改正に直接大きな影響があるとまではいえないが、この法案には建築基準法が定める建築確認手続きについても特例が規定されている。また、この法案は「作っては壊す」というフロー消費型の社会からの転換も目指している。今後、200年住宅の思想が社会に浸透していけば、建築・建設業界の在り方や好不況にも、影響をおよぼしていく可能性が考えられる。

(掲載:2008年7月)

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