CAD/設計InfoCAD/設計Info CADを利用して設計を行う際に必要なノウハウを紹介。

CAD/設計Infoのトップへ

火災被害を起こさせないために
建築物の耐火・防火構造の規制

平成19年の1年間で建物火災発生件数は31,248件にのぼり、毎日80件以上もの火災が日本のどこかで発生していることになる。火の用心はもちろんだが、火災発生の際にも建物が倒壊しないような構造や燃え移りにくい材料により被害を減らすよう、耐火・防火の規制が行われている。

耐火・防火に関する法律用語を
整理して正確に理解する

建築基準法には、法律の条文にはよく見られることだが、似たような用語が数多く出てくる。一度、きちんと整理しておかないと条文を読むごとに混乱してしまうため、ここでは耐火・防火に関する用語を表にして整理してみよう。

構造に関する用語

意味

耐火建築物

建築物の内外で火災が発生した場合に、その火災終了までの間、倒壊したり延焼したりしないで耐えられる建築物。
鉄筋コンクリートやレンガ造の建築物が耐火建築物に該当する。

耐火性能

建築物の内外で火災が発生した場合に、火災が終了するまでの間、倒壊や延焼を防止するために、建築物の部分に要求される性能。建築物が燃えないようにする性能。

耐火構造

耐火性能に関する技術的基準に適合した構造。

準耐火建築物

建築物の内外で火災が発生した場合に、耐火建築物ほどではないが、簡単には倒壊や延焼しない建築物。

準耐火性能

建築物の周囲で発生する通常の火災による延焼を抑制するために、建築物の部分に要求される性能。火災が燃え広がらないようにする性能。

準耐火構造

壁・柱・床などの建築物の部分が準耐火性能を持っている構造。

防火性能

建築物の周囲で発生する通常の火災による延焼を抑制する性能。建築物の内部で発生する火災の延焼防止を目的とする遮炎性能とは異なる。外部からの火災をもらわないようにする性能。

防火構造

防火性能を持った構造。

準防火性能

建築物の周囲で発生する火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮する性能。外部からの火災をもらいにくくする性能。

準防火構造

準防火性能を持った構造。外壁の延焼の恐れのある部分に要求される。

防火設備

火炎を遮る設備。
防火戸、ドレンチャーなど。


防火材料に関する用語

意味

不燃材料

加熱開始後20分間、通常の火災により燃焼しないで、防火上有害な変形・溶融・亀裂などの損傷を生じず、避難上有害なガスや煙を発生させない材料。

準不燃材料

加熱開始後10分間、通常の火災により燃焼しないで、防火上有害な変形・溶融・亀裂などの損傷を生じず、避難上有害なガスや煙を発生させない材料。

難燃材料

加熱開始後5分間、通常の火災により燃焼しないで、防火上有害な変形・溶融・亀裂などの損傷を生じず、避難上有害なガスや煙を発生させない材料。

建築物を規模と用途によって種類分け
防火上の理由から制約を受ける木造建築

建築物は、その規模や用途、主な材料、構造方法の違いによっていくつかの種類に分かれる。建築物の分類の仕方は、建築物の何に着目して分類するか、また、何を目的として分類するかによっても変わってくる。

●一般建築物・大規模建築物・特殊建築物

規模によって建築物を分類すると、一般建築物と大規模建築物に分けることができる。そして大規模建築物は、木造の大規模建築物と木造以外の大規模建築物に分けられる。そしてさらに、用途によって特殊建築物という種類がある。特殊建築物とは、不特定多数の人や自動車が利用する建築物である。

●木造建築物と木造以外建築物

使用する構造材料が木材である場合を木造建築物、そしてそれ以外の組積み造、ブロック造、レンガ造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などをまとめて木造以外建築物と呼ぶ。木造建築物の材料となる木材は軽くて加工もしやすいという長所がある反面、湿気や虫害を生じやすいなどの短所がある。また、強度の点でもあまり高層の建築物には向いていない。木造建築物については、防火上の観点と構造強度上の観点の両面から厳しい規制がある。また、木造建築物は燃えやすいという性質から、防火地域内・準防火地域内では、耐火・防火の観点からの特別な規制がある。

木造建築物の基本構造

木造以外の建築物で主流となっている建築構造として、鉄筋コンクリート造、または、鉄骨鉄筋コンクリート造がある。地震の多い日本では、組積造やレンガ造のような構造は鉄筋などによる何らかの補強がなければ倒壊の恐れが高く、その点での規制がある。鉄筋コンクリート造は圧縮力に強くて耐火性があるコンクリートを、引張力があり火熱に弱い鉄筋で補強することで、コンクリートと鉄筋の双方の短所を補い合う構造である。

防火地域と準防火地域における
耐火建築物の基準と制限

防火地域および準防火地域は、市街地における火災の危険を防除することを目的として都市計画で定められた地域だ。都心部に防火地域を指定して厳しい規制を行い、その防火地域の周辺を、少しばかり規制を緩めた準防火地域で囲んで指定するのが通常である。

●防火地域内の建築制限

防火地域内では、小規模な建物、門や塀などわずかな例外を除いて耐火建築物でなければ建築できない。例外にしても、火災を最大限に防ぐための次善策が設けられている。また、外壁の開口部で延焼の恐れのある部分は防火戸を設置する必要があり、そうすることで貰い火の危険を防ぐのである。

防火地域内で耐火建築物にする必要のないもの

  • 延べ面積100平方メートル以下、かつ、地階を含む階数が2以下のもの。この場合は、準耐火建築物とすればよい。
  • 卸売市場の上家または機械製作工場に供する建築物で主要構造部が不燃材料で作られたもの。
  • 平屋建て、かつ、延べ面積50平方メートル以下の付属建築物(物置など)。
    この場合でも、外壁および軒裏は防火構造とする必要がある。
  • 門または塀。高さが2メートル超の場合には、不燃材料で造るかまたは覆わなければならない。

●準防火地域内の建築制限

準防火地域内では、防火地域ほど厳しい規制はないものの、大規模建築物は耐火建築物にしなければならない。耐火建築物にする必要のないものは次表のとおりである。

準防火地域内で耐火建築物にする必要のないもの

  • 延べ面積1,500平方メートル以下、かつ、地階を除く階数が3以下の建築物。この場合には、準耐火建築物とすればよい。
  • 卸売市場の上家または機械製作工場に供する建築物で主要構造部が不燃材料で作られたもの。
  • 延べ面積が500平方メートル以下、かつ、地階を除く階数が3以下の建築物は木造建築物とすることができる。
    ただし、木造3階建てにした場合には一定の技術的基準に適合することが要求される。そして、木造で2階以下の建物の場合には屋根を不燃材料で葺かなければならず、外壁や軒裏で延焼の恐れのある部分を防火構造としなければならず、この部分に開口部を設ける場合は防火戸が必要になる。

火災は人の命、財産、生活に大きな被害をもたらす。また、周りの家屋、建築物も影響を受けるため、その地域、街全体の問題として防火は取り組んでいくべきものである。設計・建設に携わる方には、そのためにも法律の正確な理解が求められる。

(掲載:2008年10月)

企業のITセキュリティ講座