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公共事業の生産性向上やコスト抑制を実現
建設CALS/ECによる情報の電子化と効率化

工事費の削減と公共施設の品質確保・向上を図るために、公共事業の調査・計画、施工、管理の各段階で発生する各種情報の電子化と、関係者間の効率的な情報の交換・共有・連携を創出する「CALS/EC」を追う。

情報の伝達、共有、連携、再利用
業務の垣根を越えて効率化を行うCALS/EC

CALS/ECとは「Continuous Acquisition and Life-Cycle Support / Electronic Commerce」の略称で、国土交通省では「公共事業支援統合情報システム」として推進している。今まで紙で交換されていた情報を電子化し、ネットワークを活用、各業務プロセスを越えて情報の共有・有効活用を図ることで、公共事業の生産性向上や品質向上、コスト抑制を実現する。

CALSのルーツは、1987年、米国国防省の調達や文書の電子化による業務の効率化を目的としたコンピュータによる支援調達(CALS:Computer-aided Acquisition and Logistics Support)にさかのぼる。その考えは、1993年、米国の民間企業において事業ライフサイクルでの情報の電子化による伝達、共有、連携、再利用の効率化を行う「Continuous Acquisition and Life-Cycle Support(CALS)」へと受け継がれ、現在に至っている。

1996年、国土交通省(当時建設省)は公共事業の合理化を推進するため「建設CALS整備基本構想」を策定し、2010年度までにCALS/ECを実現させるための取り組みを開始した。当初から電子入札に取り組むことを明確にするため、Electronic Commerceをセットにして、CALS/ECとして推進している。

整備基本構想では、1996〜1998年までは実証フィールド実験の開始と一部電子データ交換の実現、1999〜2005年に統合DBの構築と電子化に対応した制度の確立を経て、2006〜2010年までに21世紀の新しい公共事業執行システムの確立(ライフサイクルサポートの実現)を行うとなっている。

共有統合データベースを構築
公共工事に関するあらゆる情報を管理

CALS/ECの仕組みの核心は、共有統合データベースにある。これによって数多くのステークホルダーによる情報の共同利用を可能にするからだ。そのため、数次のアクションプログラムで、情報の電子化、通信ネットワークの利用、情報の共有化を進めてきた。それは、製造業におけるPLM(Product Lifecycle Management)、建設業におけるBIM(Building Information Model)に相当する。いずれも、企画から廃棄に至る事業のライフサイクル全般で発生する情報を統合管理することで、生産性や品質を向上し、コスト抑制を狙ったシステムだ。

公共事業では、企画、調査・計画、設計、調達、工事、維持管理、廃棄に至るライフサイクルで膨大な情報が発生する。例えば、調査・計画段階では図面・地図や書類、写真などがあり、従来は個別に管理されていた。それをCALS/ECでは共有統合データベースで管理する。その結果、通信ネットワークを利用して関係者間および事業プロセス間で、効率的に情報を交換・共有・連携することができるようになる。こうして公共事業の業務プロセスが改善され、生産性向上や品質向上、コスト削減などを実現することができる。

その仕組み、原理は簡単だが、実現するためには基準の整備、情報の電子化から始まり、標準化、インフラやシステム整備、制度、業務改革など、実に数多くの課題を乗り越えなければならない。しかも、公共工事に参加する企業には比較的IT化が進んだ大手企業がある一方で、環境が整わない中小企業もあることから、一斉にCALS/ECを導入することができない難しさもある。

さらに、公共事業は国レベルだけでなく、全国の公共事業の約7割を占める地方公共団体にもCALS/ECの導入を図らなければ、大きな効果は期待できない。また、全国に普及・推進するには基準やシステムの乱立を防ぎ、標準化することで、受注者への負担が軽減されるような取り組み方が当然求められる。この点も、大きなハードルだった。

公共工事のライフサイクル全般で
CALS/EC 導入の効果を発揮させる

今までのアクションプログラムを通じて、CALS/ECは業務プロセスの改善(窓口業務の電子化、設計図書の電子化、成果品の電子化、図面の電子化、物品調達の電子化など)や電子入札の実施などの実績を上げてきた。今後、CALS/ECが多くの自治体や企業に導入されると、次のような効果が上がると期待されている。

  • コスト削減
    人件費や移動コストの縮減、成果や資料などが電子データ化されることによる保管コストの削減
  • 透明性・公正性の向上
    抜本的な入札・契約手続の改善が可能となり、透明性や公正性の向上が図れる
  • 事務の効率化
    システム間の連携を図ることにより、行政事務の処理効率がさらに向上する
  • 効率的な維持・管理の実現
    公共施設に関する情報を電子化し蓄積することにより、適切な管理と情報の検索性が向上し、効率的な維持管理が実現する
  • 品質の確保・向上
    事業全体の情報を受注者と発注者の間で電子的に共有化することにより、タイムリーな進捗管理と情報の伝達ミスの低減を通じた公共事業の品質の確保・向上を図ることが可能となる
  • 情報の再利用
    生産された情報が、公共事業のライフサイクル全般にわたり再利用できるようになり、効率的な公共事業の執行が可能となる

建設CALS/ECの実現イメージ
建設CALS/ECの実現イメージ(出典:(財)日本建設情報総合センター)

(掲載:2009年3月)

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