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デジタルマニュファクチャリングで
効率化を最大化しコストを低減する

グローバル経済の拡大に対応して、モノづくりのスピード向上とグローバル展開が重要な課題となっている。そこで、製品開発から生産までのプロセスである生産設計・工程設計・作業時間設計・工程表作成・設備設計・生産段取りなどを最適化することで、生産リードタイムの短縮とコスト低減を実現するデジタルマニュファクチャリングが注目されている。

現代のモノづくりにおける課題

世の中にモノが溢れて市場が飽和状態になり、消費者ニーズの多様化が進んだ結果、少品種大量生産から多品種少量生産や変種変量生産が当たり前になった。製品の陳腐化が早まり、製品ライフサイクルはますます短縮し、短期間で販売しなければ利益を確保することが難しい状況になっている。また、製品発売後からの急激な価格の下落や需要の大幅な変動など、製造業の経営環境はいっそう厳しさが増している。

さらに、環境変化によって、モノづくりの構造も大きく変わってきている。製品を自社だけで開発・生産する垂直統合型では変化に柔軟に対応できず、関連する企業が各社の強みを持ち寄る水平分業が主流となっている。加えて、コストダウン要請に応えるために、部材や労働コストの低い中国や東南アジアへ生産が移転され、国内生産と同等の製造品質を確保することが課題になっている。

日本の製造業が、このような環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するには、開発や生産のスピード向上、さらに高品質なモノを海外でも早く安く作ることができる仕組みが必要となる。今までも、生産リードタイムの短縮や品質向上に向けて、ITシステムの導入が進められてきた。しかし、ITの導入に多額の投資を行っているにもかかわらず、満足できる効果が得られていないケースが多い。

その主な原因は、全体の業務プロセスを改革(標準化)せずITシステムを導入したため、部分最適な効果しか得られなかったこと。そして、モノづくりに必要なノウハウなどの暗黙知を形式知化することなくITシステムを導入したため、情報を共有できず十分な効果が得られなかった点にある。

つまり、生産リードタイムの短縮やコスト低減を実現するには、業務の標準化や暗黙知の共有化というハードルを乗り越えなければならない。これらの課題を解決するための手段として、デジタルマニュファクチャリングが注目されている。

デジタルマニュファクチャリングとは何か

業務の標準化は簡単ではないが、ルール化して徹底すれば実現できる。しかし、暗黙知の共有には困難が伴う。暗黙知とは、そもそも担当者が当然と思っているノウハウなどの経験知や身に付けたカンであり、自ら言語化することなく作業を行っているのが普通だ。ノウハウなどの経験知は意識することで言語化が可能だが、身に付いたカンなどの感覚は言語化することが難しい。

しかし、ノウハウなどの経験知を言語化して形式知化できれば、その知識は誰でも利用可能になる。そして、形式知をデジタル化し共有すれば、ITの効果を最大限発揮することが可能となる。それを実現するのがデジタルマニュファクチャリングだ。

つまり、デジタルマニュファクチャリングは、ノウハウも含めたモノづくりの現象や挙動、製造工程、人の動作などを形式知化することで、情報共有を行うことだ。それによって、開発・生産リードタイムの短縮、コスト削減、モノづくりのグローバル展開を実現することが可能となる。

デジタルマニュファクチャリングの導入ポイント

デジタルマニュファクチャリングを実現するには、ノウハウの数値化による、加工や再利用の容易さなどに加えて、グローバルに通用する手法、ツールを組み込んだ汎用的な仕組みを水平展開することが必要となる。

ノウハウの数値化
開発や生産における技術や技能、運用ルールなど、あいまいなノウハウを形式化し、プロセス条件や現象をデジタル化する。


リアルタイムなデータ活用
製造現場における生産の進捗や品質のデータをリアルタイムで抽出し、品質や生産性を改善する指標として活用する。


製品設計・製造工程のバーチャル化
製品の3D CADによる設計、試作、評価だけでなく、製造工程をコンピュータ上で仮想的に設計・評価して、目標の生産性や稼働率を備えた製造ラインを構築する。製品の性能・構造、生産プロセス・装置の現象や、製造ラインでのモノの流れをコンピュータ上でシミュレーションするだけでなく、バーチャルとリアルをシームレスにつなぐラピッドプロトタイピングの活用などによって無駄な試作や開発の後戻りを最小化する。


シームレスなグローバル管理・生産
ネットワークを活用し、遠隔地から、生産状況や品質の監視・制御、生産装置の診断・保守を行う。分散化した製造拠点の品質情報を収集し、どこからでも他の拠点の品質情報を把握する。また、予測した需要から生産拠点や調達先の最適な配置をシミュレーションする意思決定支援や、受注状況の変動に対応して生産計画をフレキシブルに変更する。


こうしたデジタルマニュファクチャリングを導入することで、製品開発から生産までのプロセスを最適化することが可能となり、グローバルレベルで生産リードタイムの短縮とコスト低減が可能となる。

(掲載:2009年6月)

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