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電子回路設計の自由度を高めて
生産性を向上させるFPGA

電子回路は、一度つくったら修正することが難しい。不具合が発見されたり、設計の終盤で仕様変更などがあると、その修正には大変な労力と時間が必要となる。また、製品のライフサイクルが短命化している現在、ASIC(特定用途向け集積回路)などで実現している電子回路の開発リードタイムをいかにして短縮するかも大きな課題だ。そこで、電子回路を容易に設計変更できるFPGA(Field Programmable Gate Array)に注目が集まっている。

製品ライフサイクルの短命化に伴う
電子回路設計の課題

テレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電製品はもちろん、携帯電話やパソコン、銀行ATM、駅の自動改札、自動車や飛行機など、今や電子機器なしの生活は考えられない。そして、電子機器の中には電子回路、つまりIC(集積回路)やLSI(大規模集積回路)が必ず入っており、多様な消費者ニーズに対応した機能を実現する役割を担っている。

近年では消費者の購買意欲を刺激するべく、3カ月ごとに新製品が登場する携帯電話やデジタルカメラなどのように、多くの電子機器が短命化し、従って次の開発サイクルも短縮化されている。製品の開発サイクルがあまりにも短くなった結果として、新たな電子回路の製作には大きな負担がかかっている。

現在の電子回路の多くはLSIで構成され、それは特定の用途向けに複数機能の回路を一つにまとめたASIC(Application Specific Integrated Circuit)として提供されている。ASICは実装面積を小さく、消費電力を低く抑えることができ、動作速度が速いというメリットがある。その半面、開発コストが高いうえに開発期間も長く、回路設計の修正が面倒というデメリットがある。もちろん、製造後の修正などは一切行えないため、特に設計時に時間をかけて入念な検証を行うことが求められる。その結果、開発コストが上昇し、製品リードタイムも長くなる。

仕様変更に合わせて
回路構成を容易に変更できるFPGA

一方、FPGA(Field Programmable Gate Array)とはプログラミングできるLSIのことであり、回路構成を容易に変更することができる。ちなみにFPGAは、1985年にXilinx社によって初めて製品化された電子回路だ。

FPGAはプログラムできる論理ブロックのアレイから成り、ユーザによって製造後にも再構成が容易となっている。また、相互接続の柔軟性が高いため、特定の組み込みアプリケーションの要件に合致したハードウェア機能をプログラミングすることも可能となる。ユーザが設計した論理情報と配線情報を内蔵のRAMなどに読み込めば、設計どおりの回路として動作させることができる。

例えば、従来のコンピュータのCPU設計では、ASICを試作するか、膨大な数の個別ICをブレッドボードに実装するしかなく、多大なコストと労力が必要だった。しかしFPGAでは、一度複数のFPGAを実装した試作品をつくっておけば、新しいアーキテクチャを即座に実行することができる。さらに、修正・仕様変更も容易だ。

FPGAとASICの製造フロー
FPGAとASICの製造フロー

製品の魅力や優位性を
向上することができるFPGA

こうした特性を持つFPGAは、ハードウェアとソフトウェアが一体になった組み込み型システムに最適な電子回路であることが分かるはずだ。組み込みシステムの設計者は、設計期間の短縮、製品陳腐化の回避、機能のアップデートができるFPGAに注目している。もちろん、組み込みシステムだけでなく、開発リードタイムの短縮が求められている製品の電子回路としても最適だ。次のようなFPGAの特長により、他社と差別化した製品を提供することができるだろう。

  • 多品種少量生産にも対応できる
    パソコンと簡単な装置で開発できるので、少数しか生産しない製品の電子回路として使える。消費者ニーズの多様化に対応した、多品種少量生産の製品の電子回路として最適。
  • 開発リードタイムが短い
    LSIは設備を備えた工場で製造されるため、数週間から数カ月かかるが、FPGAはパソコン上で設計できるので短期間でつくることができる。市場投入が早くなり先行者利得や競争優位が期待できる。
  • 動作速度が速い
    FPGAはハードウェアそのものとして設計が行われるため、高速動作、並列動作に優れており、製品の性能が向上する。
  • 機能更新が容易
    FPGAは製品に搭載した後でもバージョンアップできるので、継続的な機能向上や他製品との差別化が容易になる。

FPGAの設計は、再利用可能な論理デバイスと豊富なFPGA開発ツールを活用することにより、設計や製造への影響を最小限に抑える。また、仕様変更に応じて再構成が可能で、高性能な組み込みシステムを構築できる。最新のFPGAは論理ブロックに加えて専用プロセッサを備えており、電子回路の設計者は性能要件を満たすためにハードウェアとソフトウェアの最適な連携を行うことができる。このようなFPGAの持つメリットを活用することで、製品の魅力や優位性の向上をもたらすことができる。

(掲載:2009年10月)

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