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“世界公約”の温室効果ガス排出25%削減に
不可欠な省エネ住宅の推進

住宅で使用されるエネルギーは、冷暖房、給湯、炊事、家電製品など、実にさまざまだ。中でもその大半を占めているのが、冷暖房と給湯のエネルギー。鳩山首相が“世界公約”として掲げた温室効果ガス25%削減を実現するためにも、省エネ住宅の推進が不可欠となった。

消費エネルギーを20%削減する
省エネ住宅

鳩山首相は2009年9月22日、国連気候変動サミットで演説し、温室効果ガス主要排出国の枠組みへの参加を条件に、2020年までに1990年比で25%の温室効果ガス削減を目指す“世界公約”を表明した。そのために、国内排出量取引制度や地球温暖化対策税の検討を含むあらゆる政策を総動員して、その実現を目指すことになる。産業界はもとより国民の全員参加が求められ、住宅における省エネルギー化の取り組みも重要になる。

国土交通省(旧建設省)は、既に1999年3月、地球温暖化防止の一環として、住宅の「次世代省エネルギー基準」を定めている。これによって、冷暖房用のエネルギー消費量を改正前の基準に比べて(全体の)20%削減を目標としているが、実際にはあまり進展していないのが実情だ。しかし、温室効果ガス25%削減という“世界公約”によって、省エネ住宅に真剣に取り組む気運が高まってきた。

家庭で使用されるエネルギーは、冷暖房、給湯、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビなどの家電製品やパソコンなど、さまざまある。中でも、約6割を占めるのが冷暖房と給湯のエネルギーであり、これらを削減することが大きな目標となる。つまり、省エネ住宅とは、家庭で消費されるエネルギーを20%以上削減できる住宅を意味する。省エネルギータイプの住宅への転換が進めば、結果的に地球温暖化防止に貢献するという理屈だ。

次世代省エネルギー基準は
断熱性と気密性の向上がポイント

次世代省エネルギー基準では、省エネ住宅のコンセプトとして「閉じる機能」と「開ける機能」をあわせ持つことが大きなポイントだ。「閉じる機能」とは断熱化・気密化のことであり、冬の寒さや夏の暑さに対処するためのシェルター機能を持つことが住宅づくりの基本となる。その上で、春などの気候が良い季節においては外気を取り入れるなど「開ける機能」を備えるという考え方が採用されている。

断熱性と気密性が低ければ冷暖房の効率が悪くなり、余分なエネルギーを消費する。断熱性を示すのが熱損失係数(Q値)で、気密性を示すのが相当すき間面積(C値)だ。Q値は住まいの断熱性能を示し、小さければ小さいほど住宅の断熱性が高い家になる。一方、C値は建物の総相当すき間面積を建物の延べ床面積で割った数値で、その数値が低ければ低いほど気密性が高くなる。

例えば、冬に寒くなった部屋を暖房で暖め、その暖房を止めてすぐ寒くなれば、Q値が大きい(=熱損失が大きく断熱性が低い)ということを示す。気候条件が異なるため、Q値の基準値も地域によって異なるが、首都圏の大部分の地域では基準値は2.7 W/m2Kに設定されている。

一方、C値が大きい(=隙間の多い施工で気密性が低い)住まいでは、壁に断熱材を入れても外気が入り込んでしまい、せっかく省エネタイプのエアコンを導入してもエネルギーの無駄はなくならない。また、床下から湿気を含んだ空気や室内の水蒸気が壁の内部に入ったりすると、断熱化されていない部分で結露を起こしやすく、柱や土台を腐食させることもある。

省エネ住宅を建てるには、住まいの保温性能を表すQ値と気密性能を表すC値が重要な指標となる。そのため次世代省エネルギー基準では、年間暖冷房負荷の基準値の新設、熱損失係数や相当すき間面積の基準値の見直し、地域区分の見直しなどを行っている。例えば、厳しい基準の北海道よりも温暖な地域では、従来の低い数値が見直され、より厳しくなる基準値が設けられた。また、日本全国を気候条件に応じてI〜VIの地域に分け、その地域区分ごとに断熱や気密、日射遮蔽の基準値を明示するなど、5つの主なポイントにまとめられている。これらの基準値は、それぞれの地域の気候に合った性能の住宅を建てる目安となる。

実際に省エネ住宅を建てる場合は、住宅金融公庫の割増融資が受けられる。公庫の工事共通仕様書には次世代省エネルギー基準に適合する仕様の一例が示されているため、それに従って施工することが必要となる。さらに、太陽熱・太陽光などの自然エネルギーを活用すれば、エネルギー消費量を削減することができる。これも、住宅金融公庫の融資対象となっている。

次世代省エネルギー基準の主なポイント

年間暖冷房負荷の基準値の新設

省エネルギーのためのさまざまな建築的工夫の効果を適切に評価するため、年間暖冷房負荷の基準値を新設

熱損失係数の基準値の見直し

従来の基準と比較して、おおむね1ランク厳しい基準値を設定

相当すき間面積の基準値を見直し

従来は寒冷地のみにしか適用されていなかった相当すき間面積の基準値を全国的に適用

地域区分の見直し

各地域における実際の気候特性に合わせて、従来の都道府県別の地域区分から市区町村界別に改正

計画換気の義務付け

相当すき間面積の基準値の設定に伴い、計画的な換気を義務化

省エネ住宅にすると
どんなメリットがあるのか

建物を次世代省エネルギー基準に合わせて建てるとしても、生活する上で大きな変化はない。ただ、熱の出入りを少なくしてエネルギー効率を上げる省エネ住宅では、1年を通じて外気温の影響を受けにくくなるため、消費エネルギーの損失が少なくなる。その結果、冷暖房費の削減はもちろん、結露が生じにくくなることで住宅の寿命を長くすることができる。もちろん、すきま風なども入らず、より快適に過ごすことができる。

次世代省エネルギー基準は、住まいの省エネルギー性を高めるのが目的だが、それは結果的に、快適な住宅、健康な住宅、耐久性の高い住宅を手に入れることにもなる。また、これは2009年6月に施工された「200年住宅」の普及を目指す「長期優良住宅の普及の促進に関する法」にもつながる。

次世代省エネルギー基準をクリアする工法の採用で、夏涼しく冬暖かい快適な住宅が提供されるようになる。こうした省エネ住宅は、温室効果ガス25%削減の実現に向けて有効な手段と言うことができるだろう。

(掲載:2009年11月)

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