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セレモニーで終わらせない
効果的なデザインレビューを行うには

第三者視点からの設計審査となるデザインレビューは、顧客ニーズや高いクオリティを確保するために大切なチェックポイントだが、単なるセレモニーに終わってしまうところも多いようだ。効果的なデザインレビューを行うためにはどうしたらよいのだろうか?

セレモニーにしない
デザインレビューの目的とタイミング

設計者は、消費者ニーズを反映した企画部門や開発部門、クオリティに関係する品質部門や製造部門など多くのステークホルダーの意向を受けて設計する。しかし、外部システムとの連携が詳細設計で見つかった、仕様間の不整合が実装フェーズで発見されたなど、どんなに基本設計をしっかり行っても、後工程で欠陥が見つかれば意味がない。欠陥があれば手戻りが発生し、製造リードタイムは長くなってコストが増大するからだ。

そうした手戻りをなくしてクオリティを向上させるのがデザインレビューの役割だ。だが、リードタイム短縮というプレッシャーなどによって、デザインレビューが形骸化していることも多いようだ。しかし、デザインレビューの目的は設計者が見逃した不整合や外部システムとの連携などを未然に発見するための欠かせない関所であり、セレモニーにならない仕組みを整えなければならない。

企業規模や業種によっても異なるが、デザインレビューには一般的に設計の節目ごとに行う全体デザインビューと、その前に実施する個別デザインレビューがある。全体デザインビューだけを実施するところも多いようだが、実は個別デザインレビューを実施することで全体デザインビューの質を高めることができる。多少時間はかかっても手戻りが少なくなることを考えると、個別デザインレビューの実施は製品の品質向上の大きなポイントだ。

次に、セレモニーにしない効果的なデザインレビューの回数は何回が適切だろうか? これも企業によって異なるが、量産品を扱っている場合、最もパフォーマンスの高いデザインレビューの回数は、企画設計から構想設計へ移行する段階、次に構想設計が終了した段階、そして試作が終了した段階、最後に量産試作が終了した段階という4回が一般的だろう。すべてのデザインレビューをクリアして初めて量産品の生産を開始することで、欠陥品を限りなく少なくすることができるはずだ。

適切なデザインレビューのタイミングと回数

  1. 企画設計が終了した段階
    企画の内容についての詳細な検討を行い、次のステップへ進む条件をクリアしていれば構想設計に進む。
  2. 構想設計が終了した段階
    すべての要素を盛り込んだ設計が完了した段階で、必要十分な要素が網羅されているかを確認する。
  3. 試作が終了した段階
    試作品の評価結果が企画と整合性があり、量産試作に移行できるかどうかを審査する。
  4. 量産試作が終了した段階
    ほぼ最終製品と同じものを、それと同じ方法で製作して審査する。ここをクリアして量産が開始される。

効果的なデザインレビューを
実現するポイント

効果的なデザインレビューを実施するには、参加すべきメンバーの選定も大切なポイントとなる。製品の重要度によって品質レベルは異なるので、そのレベルに応じて参加すべきメンバーの部署や職責を決めなければならない。例えば次のようなポイントを押さえることで、効果的なデザインレビューを実施することができる。

  1. 企画、設計、品質、生産技術、量産、検査、購買部門のメンバーが、求められる品質レベルに応じて参加する。また、必要に応じてシステム部門や消費者担当部門などが参加することで、死角をなくすことができる。
  2. 参加メンバーは欠陥コメントの確認後、対策について議論する。具体的にはレビュー参加者が洗い出した問題点を解決するための方法を議論したうえで具体的な対策を決める。あとはその対策が講じられたかどうかを追跡し、欠陥傾向などを評価して品質向上プロセスのPDCAサイクルを回すことが大切だ。
  3. デザインレビューを効果的に行うには、レビュー参加者全員が内容を理解できるような準備が求められる。必要な図面や資料は企業によっても異なるが、特に必要なのは設計説明資料だ。要求仕様と設計目標値とその根拠、設計の課題と対策、安全設計、試作品評価結果、特許や各種規制に関するコンプライアンス検討結果などを用意する必要がある。しかも、レビュー参加者は専門家とは限らないので、できるだけ分かりやすい資料を準備しなければならない。

効果的な
デザインレビューの仕組み

以上の準備を整えても、残念ながら品質問題がなくなることはないのが実情だ。規制が変化することに加えて、機能が複雑化・高度化しているため従来の設計スキルでは品質を確保し切れなくなっているからなおさらだ。例えば、最近の製品はメカトロニクス(機構+電子+ソフトウェア)化しており、設計者がすべてをカバーすることはできない。デザインレビューを行うことで、ミスをいかにゼロに近づけることができるかが課題となる。

そこで、デザインレビューは成果物だけでなく、品質の高い成果物を生み出すための設計プロセスとマネジメントプロセスのレビューも対象になる。仮に成果物自体に問題がなくとも、特定の設計者に作業が集中している状況であればミス発生の可能性が高くなるなど、設計プロセスやマネジメントプロセスに何らかの問題があることが多い。欠陥を限りなくゼロに近づけるためのデザインレビューは、成果物だけでなく設計プロセスやマネジメントプロセスまでを含めることが必要となる。

(掲載:2010年3月)

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