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設計者の生産性向上を阻む
ブラックボックス化

図面の目的は設計情報の伝達であり、設計終了後に出図される。設計は出図されるまでの間ディスプレイの中で進むので、設計ミスはないか、進捗状況はどの程度かなどの確認が遅れて手戻りが発生する場合がある。設計のブラックボックス化が生産性向上を阻んでいるのだ。その解決手法として設計プロセスの見える化を考える。

ブラックボックス化する
設計作業

モノづくりにおいて、設計プロセスは製品の品質やコストの大半を決める重要なプロセスと言われ、設計者には大きなプレッシャーがかかる。こうした設計者の負担を軽減し能力を高めるツールとしてCADソフトが登場し定着してきた。2D CADソフトは1980年代から急速に普及し、現在ではほとんどの企業に導入されている。また、3D CADソフトは90年代に入って広まり、これも現在では多くの企業に導入されている。その結果、設計者はドラフター時代に比べて大きな自由度を手に入れ、より高い能力を発揮できるようになって生産性も向上した。3D CADソフトで設計したデータは再利用が容易で、設計リードタイムの短縮にも貢献している。今や、3D CADソフトは設計プロセスにおいて重要なツールとなった。

一方で、こうしたプロセスを進める間、設計者と他部門との連携は少なくなる。ともすれば他部門からは、現在の設計状況がどうなっているか分からない、今後の設計進捗についても見当がつかないという状況になりがちだ。設計作業の多くはディスプレイの中で進み、デザインレビューに参加していない者にとって、内容が見えるのは出図以降になる。それだけ密室化が進んだとも言えるだろう。

また、リードタイム短縮要請に応えるように、設計者は過去の設計データのコピーをもとに、修正を加える形で設計するケースも増えてきた。効率化を考えるあまり、データの過信に起因する想定しないミスが発生する機会も増える。しかも、それらは設計者のディスプレイの中で行われており、第三者のチェックが入る機会もほとんどない。つまり、設計のブラックボックス化によって、設計にミスがないか、進捗状況はどのくらいかといった確認が行われにくくなり、品質が低下したり手戻りが発生するなどの生産性低下が引き起こされている。

設計プロセスの
見える化を行う

これは、設計プロセスがブラックボックス化していると同時に、プロセスやノウハウが設計者個人に依存しているという問題に行き着く。また、業務の細分化によって、営業部門、設計部門、生産部門などとの連携が難しくなっただけでなく、設計部門内の連携不足も相まって生産性低下に結び付いている。

そこで、設計プロセスの見える化を図り、ノウハウを残しながら設計プロセスを共有化する仕組みをつくることが、生産性向上のポイントとなる。

これを実現するためのベースとなるのがPDM(Product Data Management:設計技術情報管理)だ。製品に関するあらゆる情報はBOM(Bills Of Materials:部品構成)にひも付いており、設計者はBOMに基づいて設計を行うのが普通だ。従って、まずは設計初期段階でBOMを定義して一元管理し、かつ共有することで、目標となる情報を基に業務を進める仕組みをつくることができる。これならば密室にならずに第三者のチェックも可能となる。

その結果、出図されてから手戻りが発生するといったこともなくなる。最初にBOMを作り、そこにコストなどの目標を設定して見える化すれば、課題を早期に明確化・解消でき、当初の目標に合致した製品を早期に完成させることが可能となる。

設計プロセスの共有で
生産性を向上

設計プロセスを他部門と共有するには、設計プロセスの中にPDMを組み込み、PDMと3Dデータ、生産管理を連携させた仕組みをつくることだ。その結果、設計における製品情報、設計プロセス、設計リソースをPDMでひも付けて連続的かつ体系的に管理することが可能となる。これによって効率的な流用設計ができるようになり、設計変更時にも整合の取れたスムーズな対応が可能になるなど、生産性の向上を実現することができる。

また、設計の標準化が進むため、設計精度が向上し設計変更が減少する。その結果、製品設計・開発期間の短縮によりトータルコストが削減できるようになるなど、さまざまなメリットを得ることができる。さらに、他部門も情報を共有できるようになり、最新の製品情報、設計変更情報が製造部門からリアルタイムに参照できるため、製造上のロスも削減できる。従来大幅にかかっていた図面やドキュメントの探索・検索時間も削減され、間接業務の割合が減少し業務効率が向上する。

こうしたPDMをベースにした設計プロセスの共有を、企業内だけでなく顧客、サプライヤ、協力会社を含めて展開することで、さらなるコスト低減や環境対応などが可能になる。

PDMシステムによる各部門での情報共有

(掲載:2010年4月)

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