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3D CADが定着したときこそCADの機能見直しを
3D計画図のルール作成で効率化を図る

3D CADの導入直後は、さまざまな使用方法を試行錯誤しつつ従来作業の効率化を目指していたものの、時間が経過するにつれて利用方法は固定化してしまう。こうしたときにこそ、3D CADの機能の見直しを図り、より有効な使用方法を探るべきだ。

現状の問題点から
3D CADの機能を抽出するポイント

開発している製品はそれぞれあれども、ツールとしての3D CADの使い方はどの設計現場でも同じではないだろうか。3D CAD導入時には、さまざまなコマンドを使用してその操作性や機能を確認してみたものの、1年もたつとその使用方法はパターン化して固定してしまう傾向にある。これは良く言えば3D計画図の作成方法がルール化されていると言えるが、逆に導入時からずっと開発効率改善を行っていないとも言える。3D CADが定着したときこそ、その機能を見直し有効な使用方法を検討する時期である。

だが「3D CADの機能を見直すと言われても、どこから手をつけたらよいか分からない」ということも多い。その場合は、「開発の効率化という視点からキーワードを設定して展開する方法」をすすめる。その一例として「フロントローディング型の開発」をキーワードに挙げて考えてみよう。

フロントローディング型の開発とは、設計初期段階から設計部門とその関連部門が協力し、手戻りの少ない設計を進めることによりスムーズに生産移行することを目的とした開発スタイルである。まずは、このキーワードから現状の問題点を思い浮かべる。

例えば「5年前からフロントローディング型の開発が推し進められているが、試作機が完成したあとに提起される課題数が減少傾向にない」という現状があるとする。この事実から「開発の源流である構想設計や詳細設計初期段階で、課題の抽出ができていない」ということが推定できる。さらにこの問題の根底を考えていくと「既存製品の問題が十分にフィードバックされていなかった」「デザインレビューを行ったが、課題を抽出できていなかった」などが思い浮かぶ。

また、それらの改善方法を検討するには、より具体的な事実を抽出できたほうがよい。従って、問題点の抽出には、3D設計を経験している中堅設計者が適任であると考える。そのような設計者であれば「過去の不具合事例の報告書をもとに詳細を調べようと計画図を確認したが、3D計画図は最新のものしかなく、対策の前後比較に時間を要した」、「事前に、同じ構造をもつ他機種の不具合について連絡を受けたが、その報告書と3D計画図がリンクされていなかったため、内容の確認に手間取った」、「デザインレビューの場で3D計画図を使用して説明したが、機構の説明に大半の時間を費やしてしまい、議論する時間が十分にとれなかった」など、より具体的な問題を認識している。課題の抽出ができたあとは、ほかの設計者と協力して問題点を解決できそうなCAD機能を見つけるだけである。

フロントローディング型開発

CADの性能を引き出せるかは
設計者次第

3D CADは、その種類により独自の機能を備えている。特にハイエンドタイプの機能は多岐にわたり、設計を始めたばかりのころは「この機能は、一体何の役に立つのだろう?」という疑問を抱くこともあるだろう。しかし、設計者に「設計力」がついてくるに従って、その使い道も見えてくる。あとは改善するアクションがとれるかどうかが問題だ。

例えば「焼入れ処理を施した軸部品があるが、その処理範囲が3D計画図上で指示されていない」というような問題点があるとする。ここで、図面を見れば確認できると考えたのでは改善につながらない。図面の指示範囲と3D計画図を照らし合わせて確認する時間が無駄だと考えよう。そして、この解決策として「焼入れ範囲のソリッドのフェースを分割して、色を変更する」、「焼入れ範囲に新規フェースを作成して色を付ける」、「焼入れ範囲を曲線で指示する」など、いくつかの策が思いついた場合には、その指示方法の容易さや視認性、図面への展開性という観点から最適なものを選べばよい。例えこのような小さい改善でも、実施することが重要である。

また、前節の「過去の不具合事例の報告書をもとに詳細を調べようと計画図を確認したが、3D計画図は最新のものしかなく、対策の前後比較に時間を要した」という問題であれば、計画図の保存方法に着目して機能を探すことになる。「デザインレビューの場で3D計画図を使用して説明したが、機構の説明に大半の時間を費やしてしまい、議論する時間が十分にとれなかった」という問題であれば、アセンブリ構築方法に関しての機能を探すことになる。マニュアルの使用例や現状の使用方法にとらわれないで考えることが機能を見つけるポイントである。

しかし「事前に、同じ構造をもつ他機種の不具合について連絡を受けたが、その報告書と3D計画図がリンクされていなかったため、内容の確認に手間取った」というような問題点であれば、3D CADの機能を超えた問題である可能性もあるので、新ツール導入の検討を設計者の立場から提案してみるのもよいだろう。CADの性能を引き出せるかどうかは、設計者のアクションにかかっている。

開発チーム内でルール化し
他チームへ展開

それでは、3D設計の改善策が見つかったとして、どのように製品開発へ導入していけばよいだろう。いきなり、改善策を社内でルール化するというような進め方をしてもスムーズに展開することは難しい。まずは、開発チーム内で「現状からの改善案」というレベルで実施し、実績をつくってから展開する方法をすすめる。

実際にその改善策を用いて設計を行うことで、効果の有無や問題点が見えてくる。開発チーム内だけのルールであれば、問題点が見えた時点で比較的容易にルール修正が可能だ。チーム内で一連の開発を通じて洗練されたルールづくりができれば、他チームへの展開を図ってみる。そして、この改善が他部門の効率化も図れるような場合は、その部門の意見も取り入れることで、よりよいルールづくりができる。

また、このような改善を積極的に行えるような環境づくりも重要である。開発チームのリーダーはテーマ管理で手一杯、若手の設計者は技術的なことを習得するのに精一杯になる傾向がある。やはりこのような場合にも中堅設計者が中心になり、開発初期段階では改善策の提案、開発中は改善策の見直し、開発完了時には効果確認などの振返りを積極的に行うことで、チーム内や設計部内によい環境を築くことができる。

3D CAD導入直後から最適な運用を行うことはなかなか難しい。また、同じ3D CADを使用しているとしても、開発している製品により最適な使用方法は変わってくる。検証と改善を繰り返して製品の品質を向上させるように、3D CADの使用方法も洗練させていけば開発の効率化も促進できる。

(掲載:2010年8月)

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