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エレキ、ソフト設計者と連携は取れている?
適切な連携タイミングが開発効率を左右する

製品開発時には、メカ・エレキ・ソフトの要因を複合した問題が多数発生する。例えば、「望んだアクチュエータが使用できなかった」「実機検証時に測定したいデータが取れなかった」「想定していた制御が困難であった」「配線がうまく実装できなかった」など。このような問題の中には、メカ・エレキ・ソフトの設計者が適切なタイミングで連携を取っていれば防止できるものもある。

開発チーム全体を考慮した
3D計画図

通常各設計要素に対しては、メカ・エレキ・ソフトなどの分野からいずれかの設計者が主となって設計を進めていく。しかし、開発を進めていく中で発生する問題を、完全に各分野の枠に分けてしまって対応していることはないだろうか。業務を完全に分担することで効率的に設計できる部分もあるが、そうすることで分野間の連携が不足し発生する問題もある。

特に、責任感の強い設計者は自分がコントロールできる範囲内で問題を解決しようとする思いが強いため、周囲の援助が得られずに孤立してしまう傾向がある。実際には各分野の設計者が協力することで比較的スムーズに問題が解決できることも多い。分野の内外を問わずに協力できる体制を保つ工夫ができれば、設計担当者自身の負荷も軽減できる。

分野を超えて協力できる環境をつくるためには、各分野の問題点や設計上の都合を共有する必要がある。だが、問題を共有するために、「会議の場で問題点を提起する」「課題管理表を作成する」などということをしても、「問題点の連絡」というレベルにとどまってしまうケースがほとんどだろう。実際に、設計担当者として解決し難い問題を会議で提起したが、そのまま置き去りにされてしまうというような状況を経験した設計者も少なくないはずだ。このような事態を避けるために、メカ設計者として何ができるだろうか。

他分野の設計者の協力が得られない大きな原因の一つに、その問題点がほかの分野で分かりにくいという点がある。しかし、幸いにもメカ設計の問題は3D計画図やそのほかの3Dツールを用いて、イメージや検証結果を比較的容易に伝えられる場合が多い。

例えば、ステッピングモータを使用し、ある機構を駆動させる機能ブロックを設計していたとする。コストや品質保証の観点から既存機種で使用しているモータを流用したい。しかし、その機構を必要なタイミングで動作させるためには機構の慣性モーメントが大きく、仕様を満たす動作が困難であった。メカ設計者としては、機構をシンプルかつ強度上問題がない程度まで慣性モーメントを小さくするように設計したが、まだ仕様を満足できない。

ここで、「機構の概略が説明できる3D計画図」「3D CADの慣性モーメント解析結果」「機構部の強度解析結果」などをあわせて問題提起する。他分野の設計者も余裕があるわけではないので、メカ設計だけの対応では困難なことが明確になっていたほうが協力しやすいのだ。

例えば、エレキ設計者からは「各制御に合わせたステッピングモータのスローアップ、スローダウンの複数テーブル設定の検討」「許容消費電力内での電流値アップの検討」、ソフト設計者からは、「ほかの機構の動作時間削減による動作タイミングの変更検討」などといった有効な解決策を得ることができるかもしれない。このように各分野の視点から対策案を検討することにより、効率的に設計を進めることができる。

また、3D CADの機能をメカ設計者だけのものとして使用するのはもったいない。随時、各分野の担当者と連携を取りながら、その情報を3D計画図に落とし込んでいく。他分野の設計者からの要請があれば、技術資料に必要な図をメカ設計者が提供できるような環境が望ましい。そうすることで、エレキ設計者の都合を考慮しながらエレキ部品を配置することができ、ソフト設計者と意思を合わせながら3D計画図に制御イメージを落とし込める。また、このように進めることで問題点を早期発見することもでき、その問題を共有するのも容易である。3D計画図を大きなベースにして各分野の問題を議論できるような場が増えることで、開発チーム全体の効率をアップすることができる。

メカ・エレキ・ソフトの関係

エレキ設計者と
連携強化

エレキ部品の配置に関して、特にメカ設計者を悩ませるのが「基板」と「配線」である。エレキ設計者との連携が不足すると、「数円をコストダウンする目的で基板上に配置した部品を回避するために、メカ部品が数十円コストアップしてしまった」ということも起こりかねない。エレキとの連携不足は、品質だけでなくコストにも大きく影響する。エレキ設計者と連携強化を図るためにはどうすればよいだろう。

まずは、基板、配線ルートともにエレキ設計者が配置に際して考慮したい点を明確にすることである。エレキ的な観点からノイズや静電気などを検討し、メカ部品との位置関係を見極めながら配置を検討する。しかし、詳細設計初期段階では、基板構成および配線も詳細が固まっていないため、3D計画図上で置き去りにされがちである。だが、基板設計が進んでから3D計画図に配置したのでは遅い。詳細設計初期段階から「概略基板モデル」を3D計画図に配置して、エレキ設計者と意思を合わせながら設計を進める。

配線ルートについても同様のことが言える。まず、基板を3Dモデルにする場合は、大まかな基板の配置領域を確保するために、立方体のソリッドを作成する。基板設計が進むにつれて基板上に主要部品が配置されるため、配置スペースの大きい部品はモデリングしておく。同時に基板からの配線の出かたを検証できるように、基板上のコネクタ類もモデル化する。こうすることで、基板周りにメカ部品を配置する検討もスムーズに進めることができる。また、随時3D計画図でエレキ設計者と意思を合わせながら設計していくことができるので手戻りも少なくなる。

配線ルートは、配線専用の3Dツールを使用すれば容易に作成することができる。しかしそれがない場合でも、3D CADでスプラインなどの曲線を使用して配線ルートを作成することができる。まずは、曲線で作成した配線ルートで、エレキ設計者と意思合わせを行う。配線数が決定した時点で、配線の太さに合わせて曲線をソリッド化しておけば、無理な配線ルートがないかどうか検証が可能だ。

また、エレキ部品も3D計画図上でアセンブリ化し、メカ部品同様に形状変更が生じれば更新していく。現物の装置と3D計画図の不一致は、思わぬところで問題を生む恐れがある。部品を製作するためには必要のないエレキ部品のモデルといえども、一度3D計画図上に配置したものは常に更新して最新化することを心がけよう。

ソフト設計者との
意思疎通

ソフト設計者との意思合わせは、エレキ設計者のそれ以上に難しい。その原因としては、ある程度メカ制御に関する技術資料が整った状態でないと制御の全体像が見えにくいという点がある。特に既存の製品から大きく変更した製品を開発する場合は、そのメカ制御イメージを合わせるために膨大な量の技術資料を作成する必要がある。

従って、大きな手戻りを発生させないためにも、構想段階からソフト設計者と連携を取っていくことが重要である。構想段階や詳細設計初期段階では、ポンチ絵レベルの図でメカ制御の検討を行っていくが、より早い段階で制御に関連するメカ的な値を技術資料に落とし込むことで、問題点も明確になりやすい。そのためには、3D計画図をメカ的な視点からだけで設計していくのではなく、メカ制御に必要な値が早い段階で明確になるように設計することも必要である。これにより、ソフト設計者の作業効率が上がるだけではなく、メカ設計者自身の負担軽減にもつながる。

例えば、ある機構を制御する場合、動作ポイントごとに機構の状態が分かるようにアセンブリをアレンジしておくことで、ソフト設計者との連携も取りやすい。または、3Dモデルを平面に曲線として投影して2D的に動作状態が分かるよう3D計画図をアレンジすることもできる。平面的な動作を行う場合は、このように2D的に表現したほうがほかの設計者と話を進めやすい場合もある。

3D計画図は、工夫次第で大きなコミュニケーションツールとなる。3D計画図で分野間の連携を深め、他分野の設計者からも信頼される設計者を目指そう。

(掲載:2010年11月)

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