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3D CADを情報収集のツールに
過去の開発情報から全体管理を行う

設計を進める上で失敗をすることはあるが、その失敗が過去に起こったもので、原因まで解明されていた、というようなことはないだろうか。過去の不具合内容や検証結果、対策内容などの情報をファイルしている企業は多いが、その中から必要な情報をピックアップするのは容易ではない。効率の良い設計のためには、膨大な情報の収集と選別が必要であり、ここに3D CADの活用の道がある。

まとめられているけど、まとめられていない
過去の開発情報を引き出すには

製品開発着手時に、既存機種の技術構想書や不具合対策検討書などを読み、「過去と同じ失敗はしない」と意気込んでみたものの、資料を十分には活用できなかったことがないだろうか。

こうした過去の技術資料を活用できないのには、いくつか原因がある。

  • 構想書が最新情報にメンテアップされていない
  • 構想書の検討レベルが担当者によって異なる
  • 机上検証結果と実機検証結果が別の資料に記載されているため整合性が取りにくい

理想は、どの技術資料も常に最新化され、誰でも一目でその内容が理解できる状態である。しかし、現実は「散らばった資料を時系列で追い続けて、何とかその設計過程が見えてくる」状態が大半を占めているのではないだろうか。このように「完成された装置に対しての完成された情報」は整理されていても、実際に設計担当者が知りたい「設計経過が分かる資料」「完成に至った経緯が分かる資料」は整理されていない。

これは、不具合対策の検討書などが「誰が見ても分かる報告書」としてまとめられているのに対して、技術構想書は「設計担当者自身が構想内容を整理するための資料」として作成されている場合が多いためである。従って、後々ほかの設計者が内容を理解することが困難になる。

このような場合、技術構想書を作成した設計担当者に聞き取ることが最も早く確実な解決方法であるが、開発の現場で気軽に聞き取りを行える状況下にない場合も多い。また、聞き取り作業を行えるとしても、質問のためにまずは自分自身で情報を整理しておく必要がある。

このような状況で構想書をベースにして既存機種の情報を整理しようとすると、誤った情報や不明確な情報を正として整理を進めてしまう恐れがある。それでは、どうすればいいのだろうか。既存機種の情報を整理するには、3D計画図をベースにすることを提案する。数ある情報源の中でも、3D計画図だけは間違いなく最新のものであるからだ。

まずは、調査したいユニットや機構部の3D計画図のアセンブリ構成を明確にすることから始める。3Dデータをサーバで一元管理しているのであれば、3D CADのアセンブリ情報機能により、そこで使用している部品が、ほかのどのようなアセンブリで使用されているのかを調べることができる。

量産に移行されている機種であれば、図面や3Dデータを専用で管理するツールで検索することもできるが、3D CADのアセンブリ情報を調べることにより、量産移行前の装置や実験中のものまで検索することが可能である。調査対象をピックアップできたら、情報収集に移行しよう。

直接の情報だけではなく
隠れた情報はないかチェックする

構想設計では「構造を新規設計する」、「構造を部品ごと流用する」、「構造の概念を流用し、部品は新規設計する」という選択に対し、開発期間や開発費、製品コスト、装置仕様などを考慮して決定することを迫られる。ここで調査対象の情報が不足していれば、判断を誤ることになる。

「構造を部品ごと流用する」場合や「構造の概念を流用し、部品は新規設計する」場合には、流用元の最新の3D計画図だけではなく、3D計画図の改正履歴をチェックする。流用部が何十点にも及ぶ場合でも、特に主要部品のチェックは怠らないようにしよう。

改正履歴がある場合は図面や技術資料をチェックし、どのような変更を行ったのかをさらにチェックする。不明な部分がある場合は、流用元の設計担当者にまで確認しておきたい。どうしても内容が確認できない場合でも、「最終確認できていない」情報ということを知っているだけで、後々に使用条件の違いなどにより不具合などが発生した時に解決の糸口になる場合がある。

既存装置から構造を流用する場合、その構造の完成形が重要なのは間違いないが、それに至った経緯はさらに重要である。「モデルの改正履歴が多いことは、完成形に到達するまでに苦労した」ということだ。そこには隠された情報が埋もれていることも多い。3Dモデルの改正履歴に基づいて、完成形に至った理由を確認することが大きな手戻りを防止する策である。

多くの情報に惑わされず
一つ一つを整理して全体を俯瞰する

製品開発中には、各部門から「既存機種の不具合情報」、「市場からの要求事項」、「製造上の要求事項」などが入ってくる。情報には、正確なものもあれば、不明確なもの、時には間違った情報まで混ざっていることがある。従って、情報収集が重要な構想設計時には、情報を整理するだけで多くの時間を費やしてしまう。このような情報の管理には専用のツールを使用している場合が多いが、設計担当者レベルで3D CADを利用して情報を整理するリストを作るのがいい。

構想設計では、ポンチ絵の構想図を詳しく分割していき、仮想の部品表を作成する。既にこの仮想部品表が作成されている場合は問題ないが、情報を整理する段階では、構想内容が定まっていない場合がほとんどである。

このようなときは、類似したユニットや機構をもつ3D計画図を開いて、アセンブリ構成を出力し、必要な項目を追加して、仮想部品表を作成する。

仮想部品表の例

リストを構想初期に作成しておけば、集めた情報を部品単位で整理することができる。また、ポンチ絵構想により部品構成が決定した時点でリストの部品構成をメンテアップして単価を記入すればコスト管理ができる。さらにリストに日程欄を追加すれば、機能ブロック単位や部品単位で進捗状況を管理できる。

詳細設計に移行して机上検証が進めば、各機能ブロックや部品に対しての机上検証結果を記入し、試作機が組み上がれば、実機検証結果や不具合内容を記入する。そして、日程欄にこれらの内容をフィードバックして計画に落とし込むことが可能だ。

このように「類似構造の3D計画図のアセンブリ構成リスト」→「仮想部品表」→「情報管理表」→「コスト管理表」→「日程管理表」→「検証結果管理表」→「不具合管理表」と進化させていくことができる。これらの管理は、企業や部門、開発チームにより決まったフォーマットが存在するが、それらは個別のリストになっている場合が多く、一見で分からない。設計担当者としては、自分自身の状態を管理するためにこのようなリストを個別に作成するのもいいだろう。

(掲載:2011年6月)

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