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3D CADを活かしたビジュアルコミュニケーション
満足されるバリアフリー住宅づくりのカギ

高齢化社会に向けて、住宅のバリアフリー化を促進するさまざまな助成法が施行されている。多くの企業が参入する注目市場となっているが、バリアフリー住宅づくりにはこれまでにない課題がある。施主が満足するためのカギとは何か。

将来の高齢化社会に向けて
注目を集めるバリアフリー住宅づくり

住宅バリアフリー化の促進を目指して「住宅のバリアフリー改修促進税制」が、2007年の税制改革で創設された。当初は2008年12月31日までの措置という予定だったが、2009年度の税制改正で適用期限が5年延長され、2013年末までとなった。このほかにも、国は将来に向けたさまざまな高齢者向け住宅施策を打ち出しており、住宅業界では次代の成長分野として、この高齢者向けのバリアフリー住宅やバリアフリーリフォームへの注目が高まっている。

バリアフリーに対応した製品や住宅商品も多数登場し、この分野への進出を開始した工務店やリフォーム業者も増えている。しかし、このバリアフリー関連分野へ新しく進出した住宅会社を調べてみると、早々に撤退を決めている企業も少なくないようだ。

理由はさまざまだが、予定していた成果をあげられなかったり、施主とトラブルを起こしてしまった例さえある。こうした担当者に話を聞いてみると、バリアフリーの住まいづくりで本当に施主が満足する家を建てるのは、思った以上に手間がかかり、難しいという声が出てくる。例え事前にきちんと打ち合わせをして建てても、引渡後にクレームが発生することもあるという。なぜ、そのような行き違いが生まれてしまうのだろうか。

こうしたトラブルの多くは、作り手側の「バリアフリーに関する思い込み」に起因している。バリアフリーに新規参入して、まだこの分野の経験が浅い住宅会社は、最新の高齢者配慮製品やバリアフリー仕様の建具や内装材、各種の住宅設備などを使えば、バリアフリー住宅ができると考えがちだ。もちろんこうした製品の活用は必要だが、それだけでいいというものでもない。例えば「ここに手すりがあれば便利だろう」と思って付けたその場所が、施主の体格にはあっていない位置だったり、逆に邪魔になってしまったりということもある。

住む人のニーズは十人十色
オールラウンドなバリアフリー住宅はありえない

高齢者や障がい者といっても、その対象者は一様ではない。同年代の高齢者でも健康状態は人それぞれだし、また不便を感じる場所やその症状も1人ひとり異なっているのが普通だ。もちろん障がい者についても同様で、障害の内容や程度はさまざまなのである。

バリアフリー住宅とは、このように異なる問題を負った高齢者や障がい者が、それぞれ快適に、便利に暮していけるような住宅を指している。であれば、住宅もまた、それぞれの必要に応じて異なった工夫が施されるべきだろう。住み手が違えば住宅も違う。あらゆるニーズに満遍なく応える、オールラウンドのバリアフリー住宅などありえないのである。

バリアフリー住宅づくりには、そこに住む施主の必要へ確実に応えることが重要だ。「当然だ」と思うかも知れないが、高齢者や障がい者のニーズを正確に捉えるのは簡単ではない。手すり1つとっても、どの位置に、どんな器具を付けるのが最適かは人それぞれだし、日常の単純な動作にも「その人なりのやり方」や「好きな手順」がある。そこに障害があれば、その障害の将来的な変化や治療方針なども関係してくる。

こうした見えないニーズは、本人や家族が気付いてない場合もあるのでいっそう難しい。バリアフリー住宅づくりでは、本人や家族だけでなく、ヘルパーや主治医に確認しなければならないことも多い。さらにもう1点、施主がその家でどのような生活を送りたいのか、また実際にどのような生活が可能なのか、ライフスタイルをシミュレートすることも重要だ。

将来、1人で暮すのか、家族と一緒なのか、ヘルパーは必要なのか、必要ならどこから手配するのか、地域社会との交流はどのように図っていくのか……といった問題が住宅づくりに密接に関わってくるのである。通常は住宅会社が施主家族の要望を聞いて提案すればよいが、バリアフリー住宅ではそれでは足りない。本人や家族はもちろん、主治医やヘルパー、地域の福祉専門家など、幅広い分野の専門家に意見を求める必要があるのだ。

施主とのコミュニケーションがカギ
3D CADのビジュアルでイメージ共有を

このように見ていくと、バリアフリー住宅づくりにおいては「コミュニケーション」が重要なカギであることが分かるだろう。

施主本人やその家族に対して、深く踏み込んで要望を聞く必要があるのはもちろん、作り手としての提案も分かりやすく誤解のないよう伝えなければならない。ヘルパーや主治医その他の専門家に対しても、情報をもらうだけでなくプランを伝えて意見を聞く必要がある。もちろん施主には、その住宅で生活する主役として必ずプランの細部まで正確に理解してもらい、承認してもらわなければならない。

だが、これはいうほど簡単なことではない。基本的に施主は図面を読むことはできないし、図面から具体的なプラン内容をイメージすることも難しい。浴室内の動作や廊下の角の動きやすさを図面から脳内シミュレーションするなど、まず不可能だろう。

しかし、そこをきちんと理解してもらえなければ、本当に「使える」バリアフリー住宅を建てるのは難しい。もちろんプラン提案の大切さは一般住宅も同じだが、バリアフリー住宅ではより細部まできめ細かく正確に、しかも具体的に理解してもらわなければならないのだ。

そこで力を発揮するのが、3D CADによるビジュアルコミュニケーションだ。3D CADによるCGパースなら、図面を読めない施主にもイメージがつかみやすい。そして、選び抜いたバリアフリー設備や建材、車椅子対応の廊下幅や浴室などの工夫は、ピックアップしてビジュアルなプレゼンボードに仕立てて、使い勝手に直接関わる屋内の動線や視界に関するシミュレーションもウォークスルーを活用すれば、かなりのところまで理解を得られるはずだ。

近年は車椅子視点のウォークスルー機能まで登場していて、活用の仕方はさまざまな方法が考えられるだろう。これらのビジュアルコミュニケーションは、主治医など外部の専門家とのやり取りにも応用できる。ノートパソコンを持参して打ち合わせてもいいし、遠方の相手ならば3Dモデルのデータと閲覧用プログラムを送り、それで見てもらうというやり方も可能だろう。

とはいえ3D CADをフル活用しても、バリアフリー住宅が手間のかかる仕事であるのは否定できない。だからこそ、それはまだまだ開拓の余地が大きい。超高齢化時代を迎えてバリアフリー関連市場が広がりつつある中、ここには豊かな成長の可能性があるといえる。そして、このバリアフリー住宅におけるビジュアルコミュニケーションの展開は、いわば3D CADを深く、幅広く活用することであり、そのノウハウは一般住宅の家づくりにも活きてくる。多くの3D CADユーザに挑戦してほしい分野なのだ。

(掲載:2011年7月)

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