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建築系CAD 講師:鈴木裕二

BIM再入門−最適なツールの正しい使い方

2 <RevitとARCHICAD>どちらも詳細図は2Dで作る?/全5回

BIM再入門−最適なツールの正しい使い方【2】 <RevitとARCHICAD>どちらも詳細図は2Dで作る?

1実務に役立つ2冊のBIM解説書

BIMの解説書としてお薦めしたいのはこの2冊だ。Revitの解説書として、伊藤久晴さんの『Autodesk Revit公式トレーニングガイド』(日経BP社)、ArchiCADの解説書として、筆者の属しているBIM LABOによる『ArchiCADではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]』(エクスナレッジ)だ。

いずれも実務でBIMアプリケーションを使っている著者によるものなので、BIMアプリケーションの売り込みのための大げさなところがない。例えばいずれもBIMモデルを作成してそこから図面を作成する手順を解説しているが、BIMを使えば3Dモデルがかんたんに図面にできるとは書いてはいない。逆に手間の掛かる、きちんとした図面を作成するための手順を解説している。

『Autodesk Revit公式トレーニングガイド』(日経BP社)の画像

『Autodesk Revit公式トレーニングガイド』(日経BP社)

『ArchiCADではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]』(エクスナレッジ)の画像

『ArchiCADではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]』(エクスナレッジ)

22D作図が大事という主張

『Autodesk Revit公式トレーニングガイド』では2Dの作図から解説が始まる。BIMなのに2D作図の解説から始まるのだ。そこには伊藤さんのRevitは3Dだけではない、という強い意思が読み取れる。2Dと3Dのそれぞれの特徴を理解して使いこなすことが大事ということと、Revitには十分な2D作図ツールが用意されていることを強調しておきたいというメッセージが込められているようだ。約300ページの本で100ページ近くが2Dの解説に当てられている。

筆者も今期の大学の授業で前期はAutoCAD、後期はこの本を教科書にしてRevitの授業を行う予定だ。AutoCADで2D作図を学び、RevitでBIMを学ぶという素直なカリキュラムになると思う。

もう一冊の『ArchiCADではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]』では「Chapter 3 モデルから実施設計図面を作成」というBIMモデルから図面を作成していく手順に全体の3分の1の紙幅を取って解説している。「BIMではこれまでのような図面は作れないのでは?」という疑問・批判に対して「ほら、こんなきちんとした図面が作れますよ」という、この章を担当した新 貴美子さんの意気込みが感じられる。

ArchiCADで作られた平面詳細図(『ArchiCADではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]』より)

ArchiCADで作られた平面詳細図(『ArchiCADではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]』より)

3矩計図を作る−Revitで

『Autodesk Revit公式トレーニングガイド』で紹介されている矩計図(かなばかりず=断面詳細図)を作成する手順を見てみよう。BIMモデルから2次元の詳細図を作り上げていくには、どんな作業が必要なのだろうか?

上の図が3Dモデルを単に断面で切って表示した状態の図で、下図がそこに2D要素を加筆して出来上がった矩計図だ。

3Dモデルを断面表示した画面

3Dモデルを断面表示

矩計図として加筆した結果画面

矩計図として加筆した結果

伊藤さんは2D要素の加筆について次のように書いている。

「(上の図では)基礎や鉄骨などの構造の表現や、床や屋根の表現ができていません。そういった部分を2Dドローイングと併用して修正してゆきます」
「1:100までの基本図については、原則的にモデルで全て作成し、1:50などの詳細図においては、グループ化部品や詳細コンポーネント、詳細線分などによる書き込みを併用して図面を作ればよいと考えています」

基本となる1/100のモデルを下書きに、2Dでたくさん加筆するという手順だ。BIMだから全てをモデリングして、と堅苦しく考えないで、臨機応変にと柔軟な考え方に安心させられる。

4階段詳細図を作る−ArchiCADで

『ArchiCADではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]』ではどのように解説されているだろうか。図は階段詳細図で先と同じように上の図が3Dモデルを断面表示した状態で、下図がそこに2D要素を加筆して出来上がった階段詳細図だ。

3Dモデルを断面表示した画面

3Dモデルを断面表示

矩計図として加筆した結果画面

矩計図として加筆した結果

寸法や仕上げの文字が書き込まれているとともに、断面では見えない向こう側の階段が破線で表現されている。これは「ポリラインツール」で書き込まれたものだ。

新さんも前項の伊藤さんとほぼ同じことを書いている。

「部分詳細図については、可能な限り3Dツールでモデリングをおこない、図面化する方法もあるが、ある程度まで詳細なモデリングをおこなったあと、[詳細図ツール]で切り出し、細かなディテールは、[線ツール]などの2Dの書き込みで作成するのも一つの方法だ」

「ある程度まで」の詳細モデリングで済ませるという方法の提案だ。ここもBIMだから何がなんでも詳細なモデリングという考えではない柔軟な取り組みだ。

5建具の2D詳細を使う

興味深いのは両書で紹介されている建具の2D CADデータの使い方だ。『ArchiCADではじめるBIM設計入門[基本・実施設計編]』では図のような詳細な建具の平面図データをメーカーのホームページからダウンロードしてきて、ArchiCADの平面図に貼り付ける方法が実務的な方法として紹介されている。

2D CADの建具平面データ

2D CADの建具平面データ

『Autodesk Revit公式トレーニングガイド』でもメーカー提供のDWGファイルを読み込み、貼り付けて図のような建具の平面詳細図としている。

貼り付け前の平面図

貼り付け前の平面図

DWGから作られた建具を貼り付けた平面図

DWGから作られた建具を貼り付けた平面図

つまりこれまでの2D CADによる図面作成からBIMに移行するからといって、全く新しい手法に乗り換えるということではないということだ。2D CADで蓄積した部品を使って詳細図を作成することもできる。

肩の力を抜いてBIMに取り掛かればいいですよ、と2冊のBIMアプリケーション解説書は教えてくれていると筆者は思う。

62D図面のスキルが必要

BIMで設計した建物を表現するには紙の図面が一番いいとは言わない。場合によって3Dのモデルをぐるぐる回して見せる方が分かりやすいだろうし、ウオークスルーで動画にして建物の中を歩いている状態を表現した方がいいこともある。だが今のところ紙の図面が不要ということにはならない。逆に紙の図面の意思伝達手段としての地位は変わらない。

そのためRevitを使う設計者もArchiCADを使う設計者も、紙の図面をいかに正しく作成するかに力を注ぐ。2D図面をルールどおり正しく作ることのできるスキルがBIMであっても求められている。

Revitで作られた平面詳細図(『Autodesk Revit公式トレーニングガイド』より)

Revitで作られた平面詳細図(『Autodesk Revit公式トレーニングガイド』より)

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