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建築系CAD 講師:鈴木裕二

BIM再入門−最適なツールの正しい使い方

3 <RevitとARCHICAD>設備モデルを入れてみる/全5回

BIM再入門−最適なツールの正しい使い方【3】 <RevitとARCHICAD>設備モデルを入れてみる

1苦手な設備設計

どうも設備設計が苦手だ。建築士の試験のときには勉強したが、それ以降あまり使うこともないし、実務では設備設計者に依頼して図面を描いてもらっているのが現状だ。

「BIMで設備設計はやらないのですか?」とよく聞かれる。「しません」と答えるが「できません」が現実だ。先日も確認申請を出した民間確認機関から、「増築でもこの部分はシックハウスの計算が必要ですよ」と指摘され、参考書片手に図面化に四苦八苦した。

そんな筆者だが、BIMで設備モデリングが重要というのはよく分かっているつもりだ。建築モデルができました。構造モデルと重ねてチェックしました。そして設備モデルとも重ねてチェックしました。梁とダクトの干渉については全てチェックして必要なところには、梁貫通スリーブとして検討を終えました・・・これが理想だ。

BIMで設備設計のキーワードはMEPだ。MはMechanical(機械)、EはElectrical(電気)、PはPlumbing(配管)のそれぞれの頭文字だ。今回はBIMで設備設計という理想に向けて、苦手なMEP=設備設計の世界に少し足を踏み出そうと思う。

Revit製品付属している設備設計プロジェクトのサンプル画面

Revitに付属している設備設計プロジェクトのサンプル

2便所の換気

換気設備モデルを作成してみよう。便所の天井にこんなダクト用換気扇、天井埋込形(三菱電機VD-10ZC9)を設置して、天井裏には全長5m、直径100mmの鋼製ダクトをはわして外壁から外に出す換気(排気)設備だ。

天井埋込形換気扇(三菱電機VD-10ZC9)の画像

天井に付ける換気扇(三菱電機VD-10ZC9)

3ARCHICADのMEP Modelerを使う

ARCHICAD単体では設備モデリングを行うことはできない。ARCHICADのアドオンソフトウェアMEP Modelerを追加しないといけない。MEP Modelerについて詳しくはGraphisoft のWebサイトを参照されたい。

Graphisoft :MEP Modeler

MEP Modelerをインストールし、ARCHICAD 19を起動する。メニューバーの[オプション]から[作業環境]を選択し、[プロファイルを適用]で[MEPプロファイル18]を選ぶ。[MEP Peofile19]でもいいが、これを選ぶとメニューが英語になる。
このプロファイルの設定によってツールボックスにMEP Modeler用のツールが表示され使えるようになる。

ARCHICADの[オプション]からプロファイルを設定

ARCHICADの[オプション]からプロファイルを設定

表示されたMEP用のツールボックス

表示されたMEP用の
ツールボックス

4換気扇を配置

新しいプロジェクトでMEP Modeler Template.tplを指定してスタートすると、既に多くの設備機器がライブラリとして読み込まれている。既存の建築モデルからスタートした場合は、ライブラリマネージャでC:\Program Files\GRAPHISOFT\ArchiCAD 19\MEP Library 19\MEP Library 19.lcfのMEPライブラリを読み込んでおく。

換気扇をライブラリから使うにはMEP Modeler用のツールボックスから[ダクト]にある[機器]をクリックしMEP Library 19.lcfを選択する。図の「Fan Powered Box 19」を選ぶ。本来なら天井扇(Ceiling Fan)を選びたいところだが、ライブラリに用意されている天井扇は大き過ぎて天井内に収まらないのでこちらにしておく。

「機器の設定」ダイアログボックスで大きさをできるだけ小さくする。高さも2580と設定する。大事なのは「MEP Custom Setteings」の「Connections」タブだ。ここで接続されるダクトの大きさを設定する。ここでは直径100mmのダクトを設定した。

「機器の設定」ダイアログボックス画面

「機器の設定」ダイアログボックス

平面図上で配置したあと、壁と平行になるように回転する。3D表示して天井裏に正しく収まっているか確認してみる。

配置した換気扇の3D表示

配置した換気扇を3Dで確認

5MEPルーティングでダクトを作成

天井に吸い上げた空気を屋外までダクトで運んで排気しなければいけない。このダクト経路を[デザイン]メニューから「MEPモデリング」を選んで[MEPルーティング]で作成する。[MEPルーティング]を実行すると図のような[MEPルーティング]パレットが表示される。ここで100のダクト径を設定し、1、2、3の3カ所のクリックで図のダクトが出来上がる。

クリックする3カ所を示した図

3カ所のクリックでダクトができる

出来上がった換気扇とダクトの図

出来上がった換気扇とダクト

6RevitでMEP

Revit Architecture(建築)、Revit Structure(構造)、Revit MEP(設備)と3本に分かれていたRevitが2017バージョンからRevit 2017に統合された。Revit 2017があれば構造設計にも設備設計にも使えるようになった。
「機械テンプレート」を指定してRevitを起動し[設備]タブを表示する。図のようにたくさんの設備設計ツールが用意されている。

ARCHICADと同じ建築モデルを使って、換気設備を配置してみよう。ここでは意匠設計者と設備設計者が別という前提で、建築モデルを「IFCをリンク」機能でリンクしてある。リンクされた建築モデルは下図のようにグレーの線で表示されている。

Revit 2017の[設備]タブを表示画面

Revit 2017の[設備]タブ

7換気扇を配置する

便所の天井に換気扇を配置する。まずは換気扇の部品がどこにあるか探すことから始めるが、ここで使うような小さな天井用の換気扇はどこにもないようだ。

とりあえずC:\ProgramData\Autodesk\RVT 2017\Libraries\Japan\機械\MEP\空調関連コンポーネント\送風機とブロアというフォルダーに「中央ダクト換気扇 - インライン - 310-600 CMH」という部品を見つけたのでこれを[ファミリをロード]して使うことにする。
「タイプ プロパティ」ダイアログボックスでパラメータを変更してできるだけ、実際に使う換気扇に近づける。

換気扇のタイププロパティを変更する画面

換気扇のタイプ プロパティを変更する

8換気扇と防火ダンパーを配置

機器の配置は平面図で行う。プロパティでオフセット(高さ)を2500と設定して換気扇を配置する。壁に平行になるように回転しておく。換気ダクトの外壁側出口には「防火ダンパー」を取り付けてみる。これもタイプ プロパティで壁厚250mm用と設定し、プロパティでオフセット(高さ)を2500、ダクト半径を50として外壁に配置する。

換気扇と防火ダンパーを配置した平面図

平面図で換気扇と防火ダンパーを配置

9コネクタでダクトを作成

換気扇を選択すると下記の「コネクタ」のマークが表示される。

「コネクタ」のマーク: 「コネクタ」のマーク

換気扇に表示されるコネクタの図

換気扇に表示されるコネクタ

ダクトを作成するのに、このコネクタを使えば「ダクト」コマンドは不要だ。換気扇には直径100のダクトがつながるという情報は既に入力してあるので、コネクタをドラッグすればダクトが出来上がる。90度エルボを使うような調整も自動でしてくれる。

コネクタをドラッグしてダクトを作成した図

コネクタをドラッグしてダクトを作成

出来上がったダクトを平面図と3Dで表示した図

出来上がったダクトを平面図と3Dで表示

10もっとあるMEP機能

ARCHICADもRevitもここで紹介できたのはほんの一部の機能だ。ARCHICADには干渉チェック、Revitにはダクトの自動経路作成や圧力損失計算などの機能も用意されている。
読者の皆さん、特に設備専門の技術者にぜひともBIMのMEPツールを使ってほしいと思う。たぶん2Dの図面をコツコツ仕上げるよりは簡単だろう。その簡単さはここまでの記事で伝わっただろうか。

ただ問題はコンテンツだ。使えるコンテンツが少ない。特に住宅用など小さな機器がない。メーカーが自社のWebサイトで公開している2Dの図面と同じようにBIMの3Dのコンテンツがほしいところだ。

LIXILがRevitデータのダウンロードサービスを始めている。まだ一部の製品だが、図のようにMEP用のコネクタが配置された本格的なものだ。給排水と電気のコネクタが用意されている。全メーカー、全品種の設備機器BIMデータがダウンロードできるようになれば一気にBIMが進むだろう。

LIXIL:BIMデータ(Revit)のダウンロードサービスページ

LIXILのWebサイトからダウンロードした便器の図

LIXILのWebサイトからダウンロードした便器

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