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建築系CAD 講師:鈴木裕二

極めるBIM 4

構造設計を極める…構造図を作るだけじゃないBIM/全5回

極めるBIM【4】 構造設計を極める…構造図を作るだけじゃないBIM

1構造のBIMモデルをやりとりしたい

構造計算ソフトで苦労して建物の構造モデルを入力し、次にBIMアプリケーションでこのモデルを入力するとする。「同じことを2度入力するのは面倒、なんとかデータをもってこれないの?」という声をよく聞く。

筆者としては「2度入力してもいいでしょ、もう1度違う目で見ることができるよ」と答えたいが、効率性を考えるとそうはいかないようだ。構造計算に使ったモデルをそのままBIMアプリケーションで再現できれば確かに構造モデルづくりが簡単になる。

BIMアプリケーションの標準ファイルフォーマットとしてはIFC(Industry Foundation Classes)というファイル形式がある。少し古くなるが、筆者は以前このIFCファイルの使い方と問題点について解説した。

一方、ST-Bridgeという日本の建築構造用のフォーマットがある。ST-Bridgeは構造に特化してシンプルで扱いやすいフォーマットとして一般社団法人buildingSMART Japanにより提案されている。詳しくはbuildingSMART Japanのホームページで確認されたい。

ARCHICADとRevitという二つのBIMアプリケーションのST-Bridge対応が最近発表された。

今回は一貫構造計算ソフトSuper Build/SS7(ユニオンシステム株式会社)を使って筆者が作成した次のような3階建てRCモデルを使う。このモデルのST-Bridgeデータをユニオンシステム株式会社に提供していただいた。鉄筋コンクリート造3階建ての小さなモデルだ。

このST-BridgeデータをARCHICADとRevitで読み込んだのでその結果を紹介する。

Super Build/SS7で作成した構造モデル

Super Build/SS7で作成した構造モデル

2ARCHICADで動作するST-Bridgeコンバーター

ARCHICADで使えるST-BridgeコンバーターはST-Bridge Converter for ARCHICADとして無償で公開されており、ダウンロードすることができる。

ARCHICAD 20、20 Soloおよび21、21 Solo用が用意されていている。ST-Bridgeデータをインポート、エクスポートどちらもできるが、ここではインポートの動作を見てみよう。

ST-Bridge Converter for ARCHICADのページ

ST-Bridge Converter for ARCHICADのページ

3ARCHICADでST-Bridgeデータをインポート

ST-Bridgeデータのファイルの拡張子は「.stb」だ。ARCHICADからは一般のプロジェクトを開く要領で「ファイルを開く」ダイアログボックスで対象となるSTBファイルを指定する。数秒でファイルが開き、「STBファイルのインポートに成功しました」というメッセージが表示される。

ARCHICADで開かれたSTBファイル

ARCHICADで開かれたSTBファイル

4ARCHICADでのインポート結果を検証

建物の構造要素をインポートしたので何か大事な情報が欠けていると困る。このプロジェクトでは次の設定や部材が変換・生成されたことを確認できた。欠落はない。

  • ・フロア
  • ・通り芯(とおりしん)
  • ・梁(はり)
  • ・柱
  • ・壁
  • ・壁開口
  • ・スラブ

特徴的なのはレイヤーだ。レイヤーは次のように頭文字「STB-」のレイヤーが部材ごとに作られるので扱いやすいプロジェクトとなる。

インポート後のレイヤー構成(一部)

インポート後のレイヤー構成(一部)

必要十分な情報が渡っているので、ここから詳細なモデリングをおこなっていくのに支障となるような問題は特にない。構造計算に必須のコンクリート強度や鉄筋の情報はどうなっているのだろう。それらは各部材にIFCプロパティとして登録されている。

「梁の設定」でIFCプロパティを見る

「梁の設定」でIFCプロパティを見る

5Revitで動作するST-Bridge Link 2017

RevitのST-Bridge連携は、ST-Bridge Link 2017というアプリがサブスクリプションユーザー向けに提供されている、原稿執筆時点ではRevit 2017用のみだ。RevitがST-Bridgeデータを読むという一方向のインポート専用だ。サブスクリプションユーザーならAUTODESK APP STOREから無償でダウンロードできる。

ST-Bridge Link 2017のダウンロードページ

ST-Bridge Link 2017のダウンロードページ

6RevitでST-Bridgeデータをインポート

インストール後に表示されるドキュメントによると「同梱(どうこん)する構造テンプレートを使用する」とあるので、インストール先の例えば
C:\ProgramData\Autodesk\ApplicationPlugins\ST-Bridge Link 2017.bundle\Contents\SampleData
フォルダーにある
SS3-STB-List_Structure-Template2017.rte
をテンプレートとして新しいプロジェクトを開始する。インストールによってリボンにはST-Bridge Linkボタンが追加され、さらに次のようなたくさんの設定と編集のボタンも追加された。

追加されたST-Bridge Linkボタン

追加されたST-Bridge Linkボタン

何も特別な設定せずに[ST-Bridge Link]ボタンで、筆者の用意したSTBファイルを読み込んでみる。変換先ファミリの設定、レベルの設定などもダイアログボックスでおこない変換を開始する。次々と部材が生成される状態が表示され、最後に「変換ログ」が表示されて1分ほどで変換が終わる。

テンプレートには解析線分表示や構造標準の3Dビューも用意されているので、変換結果を確認するために一般の3Dビューとともに三つのビューを並べてみた。

三つの3Dビューを表示

三つの3Dビューを表示

7Revitでのインポート結果を検証

構造部材そのものインポート結果だが、ARCHICADと同じく問題はなく、次のように全設定、部材がインポートされた。

  • ・レベル
  • ・通り芯(とおりしん)
  • ・梁(はり)
  • ・柱
  • ・壁
  • ・壁開口
  • ・スラブ

さすがに自動で鉄筋オブジェクトが生成されることはないが、構造モデルの生成をおこなうRevitなので、例えば梁のタイプ プロパティには図のような鉄筋情報が登録されている。

梁のタイプ プロパティに登録された鉄筋の情報

梁のタイプ プロパティに登録された鉄筋の情報

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