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光ファイバーを超える「c.LINK」とは?

「c.LINK」を採用したケーブルモデムを導入すると、既存の同軸ケーブルを使ったままでも、光ファイバーを超える最高250Mbpsの高速伝送が可能になる。CATVではブロードバンド回線の巻き返しを狙って、このシステムの構築に積極的だ。また、マンションの構内ネットワークシステムや、家庭内のホームネットワークシステムとしても期待されている。その「c.LINK」の魅力を解説する。

「c.LINK」とは

CATV(ケーブルテレビ)などの同軸ケーブルを利用して、高速な通信を行う技術のこと。エントロピック・コミュニケーションズ(Entropic Communications)社が開発したもので、「c.LINK」は同社の登録商標となっている。

c.LINKは一般的な光ファイバーの速度(100Mbps)を超える、250Mbpsでの通信が可能で、家庭内LAN(ホームネットワーク)や、マンションの構内ネットワークシステムに利用されることを想定している。

現在、ブロードバンドの通信回線は、普及にしたがって料金が手ごろになってきたこともあり、ユーザーは「ADSL」から「FTTH」(光ファイバー)へ移行している。より高速な通信を求める時代に、20〜30Mbps程度の通信速度しか出ない従来のCATVのインターネット接続サービスは、やはり魅力に欠ける。

そんなCATVの状況を打破するために、このc.LINKが決め手になりそうだ。

通常のCATVは770MHz以下の周波数を、BS/CS放送などは1GHz以上の領域を利用しているが、c.LINKはこの隙間にあたる900MHz付近の周波数を使う。

しかも、50MHzという広い周波数帯域を利用している点が高速化のポイント。CATVの主流となっている「DOCSIS」仕様の場合、テレビ放送の1チャンネル分にあたる6MHz幅が上限となっているが、c.LINKはその8倍以上を利用するのだ。

c.LINKの最高通信速度250Mbpsは理論値によるものだが、実効速度でも130Mbps程度は出ると見られている。現在の構内通信に広く利用されている「VDSL」(下り52Mbps)や「Fast Ethernet」(100Mbps)よりも高速であるばかりでなく、すでにCATVの共同視聴用などのために敷設された同軸ケーブルを有効に活用できる点も大きな特徴だ。

ただし、100Mbps超の高速通信を利用するには、コンピューター側のネットワークカード(LANカード)も現在一般的な「100BASE-TX」ではなく、「1000BASE-TX」規格に対応したものが必要になる。


900MHz付近の周波数を50MHz使うc.LINK


高速通信化を急ぐCATV

CATVの提供会社では、通信速度の高速化に積極的だ。

c.LINKの通信方式は、各家庭内に配線済みのテレビ用アンテナ線やCATVのケーブルをそのまま利用することができるので、新規に配線工事を行う必要はない。

しかも、2005年9月には松下電器産業からこの通信チップセットを採用したアクセスネットワーク用c.LINK超高速ケーブルモデム「TZ-CLM110/TZ-CLM100」が発売され、c.LINKの導入がさらに容易となった。

一方で、CATVの提供会社では、各局の放送設備(ヘッドエンド)から家庭までのケーブルを、従来の銅線の同軸ケーブルから光ファイバーへの切替を進めている。これは、地上デジタルなど放送のデジタル化や、「VOD」(ビデオ・オン・デマンド)に対応するためだが、これによりインターネットの接続に関しても、FTTHと同じような高速通信の環境が整ってきた。

あとは、c.LINKによって家庭の中やマンションの構内でネットワークを組めば、FTTHよりも速いインターネット接続環境が整うことになる。ちなみに、FTTHによるマンション構内への接続は、既存の電話線を用いたVDSLモデム接続のため、通信速度は30〜50Mbps程度で頭打ちになってしまうのが現状の弱点である。

CATVの大手、ジュピターテレコム(J:COM)では、集合住宅向けにc.LINKを利用した100Mbpsのインターネット接続サービスを2005年7月より提供を開始しており、他のCATV提供会社も同様のサービスの展開を進めている。

なお、次世代のCATV規格「DOCSIS3.0」では、最大1.2Gbpsの接続サービスが提供される予定。こちらの規格もにらんだうえで、各CATV会社は通信速度の高速化を急ぐことになりそうだ。


c.LINKをマンションの構内ネットワークへ導入した例(資料提供:松下電器産業)


ホームネットワークとしても有望

c.LINKは既存のテレビ用アンテナ線を利用できるため、CATVだけでなく、さまざまな場所での利用も期待できる。

例えば、病院の病室にはテレビが配置されているケースが多いが、すでに同軸ケーブルが使える環境が揃っているので、病室でインターネットやVODを楽しんだりするだけでなく、電子カルテなどの閲覧にも利用できる。

また、学校では各教室のテレビにc.LINKで構築したネットワークを通して、デジタル映像の配信なども可能になる。ホテルでも、これまでVDSLで構築していたIPネットワークによるVODを、c.LINKに切り替えることで、より高品質なサービスの提供が実現できる。

家庭内でも、さまざまな利用が可能だ。無線LANでは1つのアクセスポイントで1階と2階の両方をカバーするのは難しいケースもあるが、テレビ用のアンテナ線なら家を縦断しており、各フロアにまたがったホームネットワークが容易に構築できる。

さらに、c.LINKの技術を使えば、ホームサーバーに蓄積したハイビジョンのデジタル映像を、ネットワークを通して寝室などいろいろな部屋に配信することが可能になる。

昨年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2006」(幕張メッセ)の松下電器のブースでは、まさにこの理想的なホームネットワークAV配信システムがデモンストレーションされ、多くの人の注目を集めていた。

(掲載:2007年3月)

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