ビジネスお役立ち情報 > ITトレンドWatch

ITトレンドWatchITトレンドWatch 私たちの生活の様々な分野で活用されるITについて最新情報をお届けします。

ITトレンドWatch のトップへ

カードでもネットワークでも
パソコンや携帯電話にも広がる電子マネー

3月18日から首都圏でSuicaとPASMOの相互利用サービスが開始されたことにより、電子マネーのサービスも大きな注目を集めている。そもそも電子マネーとは何なのか。そして、どのような種類やサービスがあるのか、普及の具合は。電子マネーの現状を解説する。

電子マネーの種類 アクセス型とストアドバリュー型

まずは「電子マネー」といっても、現在ではさまざまな種類が登場している。

そもそも電子マネーとは貨幣価値をデジタルデータで表現したものを意味するが、その決済手段については、大きく「アクセス型」と「ストアドバリュー型」の2つに分類される。アクセス型は取り引きのたびに決済情報のやりとりを行うのに対して、ストアドバリュー型は取り引きごとに決済情報をやりとりする必要がないという点が大きな違いだ。

アクセス型は、パソコンや携帯電話などを通じて遠隔地から指示を行うことによって、預金・振込などの決済を電子的に行う手段となる。代表的なものとして、インターネットバンキングがこのアクセス型の電子決済手段である。

一方、ストアドバリュー型は、ICカードやパソコン、携帯電話などの端末にあらかじめ現金や預金と引き換えになる電子的貨幣価値を引き落としておき、商品の購入など経済活動の際に、この貨幣価値のやりとりを通じて代価を支払いする方法だ。最近注目されている電子マネーは、このストアドバリュー型のことを指すことが多い。

さらに、このストアドバリュー型は、金銭的な価値をICカードに蓄積して決済を行う「ICカード型」と、貨幣価値データの管理を行うソフトウェアをパソコンなどに組み入れ、ネットワークを通じて決済を行う「ネットワーク型」の2種類がある。

電子マネーの決済手段による分類

電子決済手段 形式 特徴
アクセス型 オンラインバンキング型  電子的価値が存在する預金口座に対し、ネットワーク経由で振替などの指示をすることで決済を行う。
クレジットカード型  クレジットカードの情報をネットワーク経由で店舗に送信、預金口座間の資金移動で決済を行う。
電子小切手型  小切手の情報をネットワーク経由で送信、通常の小切手同様、預金口座間の資金移動で決済を行う。
ストアドバリュー型 ICカード型  電子的価値をICカード上に保存し、決済時にICカードを提示、価値を相手に引き渡すことで決済を行う。
ネットワーク型  電子的価値をパソコンや携帯電話などのソフトウェア上に保存、ネットワーク経由で価値を送信することで決済を行う。


非接触型ICカードが電子マネーを推進
脚光を浴びる非接触型ICカード

電子マネーの中で、最近特に注目されているのが「非接触型ICカード」と「おサイフケータイ」だ。

「FeliCa」に代表される非接触型のICチップの登場によって、端末間の情報交換のスピードが格段に高速化し、円滑な決済が可能となった。さらに、交通機関や携帯電話会社などのインフラ関連事業と連携することで、全国展開を低コストで行うことが可能となり、急速に普及が進んだのだ。

その中でも利用者が拡大しているのが、プリペイド(前払い)型電子マネーの「Edy(エディ)」と「Suica(スイカ)」である。

Edyは2001年から本格的に発行され、主にコンビニエンスストア、ファーストフード店などの店頭取引で使われており、パソコンに専用リーダー「PaSoRi(パソリ)」を接続すれば、家庭のPCなどからでもインターネットショッピングが利用できる。また、Edyは「おサイフケータイ」として携帯電話への搭載開始を契機として、さらにその認知度を高めた。

JR東日本が発行するSuicaは、鉄道乗車券の長所とプリペイドカードの長所を組み合わせ、最大20,000円までのチャージ(入金)が可能だ。駅周辺のコンビニエンスストアやデパートなどでも利用可能になっており、2006年1月からは携帯電話端末への搭載も始まった。

首都圏では2007年3月18日に私鉄各社などが「PASMO(パスモ)」を発行し、Suicaとの相互利用サービスをスタートさせた。従来はSuicaを私鉄で利用することができなかったが、相互利用サービスが始まった現在はこれが可能になり、逆にPASMOでも、JR東日本の鉄道が利用できる。つまり、首都圏のJR、地下鉄、私鉄、バスなどを1枚のICカードでシームレスに利用できることになったのだ。また、鉄道乗車だけでなく、両カードはショッピングなどでも共通で利用できる。

PASMOはサービス開始から3週間余りの4月9日に発行枚数が300万枚を超え、これに比例して電子マネーの決済件数も増えている。あまりの注目の高さから、カードの発売に一時制限が出るほどの関心を集めている。

一方、クレジットカード会社などと提携したポストペイ(後払い)型の電子マネーとしては、NTTドコモが推進する「iD(アイディ)」や、関西圏・東海四県・岡山県の鉄道・地下鉄・バス事業者が加盟する「スルッとKANSAI協議会」が導入した「PiTaPa(ピタパ)」などがある。こちらは、プリペイド型のチャージ額が最高50,000円(Edyの場合)までであるのに対し、ポストペイ型はクレジットカードの与信限度額まで利用できる。

クレジットカードと違う点は、例えばiDの場合、1万円以内であればサインは不必要で、「おサイフケータイ」を使って店頭でスピーディーな支払いが可能になることだ。また、三井住友銀行などのATMでは、携帯電話をかざすだけでキャッシングもできる点などが挙げられる。

主な非接触型ICカードの電子マネー

形式 名称 運営 発行枚数
など
利用可能な店舗など 携帯
対応
プリペイド
Edy  ビットワレット 2600万枚  コンビニエンスストア、
 飲食店、
 量販店など
Suica  JR東日本 2003万枚  首都圏の鉄道・バス、
 駅構内の店舗、
 コンビニエンスストア
 など
PASMO  首都圏の鉄道、
 バス事業者
300万枚  首都圏の鉄道・バス、
 駅構内の店舗、
 コンビニエンスストア
 など
×
nanaco
(ナナコ)
 セブン&アイ・
 ホールディングス
*2007年4月
23日開始
 セブンイレブン、
 イトーヨーカドー、
 デニーズなど
WAON
(ワオン)
 イオン *2007年4月
下旬開始
 ジャスコ、
 マックスバリュなど
×
ポストペイ
PiTaPa  スルッとKANSAI 60万枚  近畿圏中心の
 鉄道・バス、
 駅構内の店舗など
×
Smartplus
(スマート
プラス)
 三菱UFJニコス 10万枚  ガソリンスタンド、
 食品スーパーなど
QUICPay
(クイック
ペイ)
 JCB 115万枚  飲食店、量販店、
 CDショップなど
iD  NTTドコモ 151万契約  コンビニエンスストア、
 飲食店など

※発行枚数などは各社直近の発表データ(2007年4月12日現在)



新しく登場する「nanako」と「WAON」


より広く普及するための課題と新サービス

ソニーは2007年3月1日、EdyやSuicaに使用されているICチップ「FeliCa」の累計出荷数が2億個を突破したと発表。また、NTTドコモも同社の「おサイフケータイ」対応端末の契約数が、2007年3月8日に2,000万件を超えたと発表した。

さらに、大日本印刷は1枚50円で作れる低価格の非接触ICカードを開発、ICカードの製造コストも大幅にダウンしている。

このように非接触ICチップを搭載した電子マネーは、公共交通から流通小売業、飲食業、自販機から駐車場までの各種決済サービスへ急速に広がり、利用者も急増している。

ただし、非接触ICカード型の電子マネーの普及には課題もある。一番の悩みが、店舗に置かれるICカード読み取り機の互換性の問題だ。現在は、Edy、Suica、iDなどの読み取り機がコンビニエンスストアなどに設置されているが、互換性がないため、すべてのICカードへ対応するためには、それぞれの機器を個別に設置する必要がある。設置するコストや場所など、問題は大きい。

対して、今回のPASMO登場によって首都圏の鉄道はJR・私鉄共通の読み取り機が設置され、SuicaとPASMOの両方とも急速に発行枚数と電子マネーの決済件数を伸ばしている。これを例に、すべてのICカードに共通で対応した機器が登場することによって、電子マネーはさらに急速に普及し、身近なものになっていくだろう。

一方、新しいサービスとして今後注目されるのが、ポイントやクーポンとの連携だ。

日本マクドナルドホールディングスとNTTドコモは、携帯電話の電子マネー事業で提携を発表、2007年10月から2年をかけてマクドナルド全3800店舗でiDと電子クーポン「トルカ」が利用できる態勢を整える。これまでは、年間数十回、1回3,000万枚のクーポン券を新聞折り込みなどで配布していたが、これを徐々にトルカへと置き換えていく計画だ。

さらにこの提携によって、携帯電話加入者の属性データを活用して対象を絞り込んだ配布や、位置情報の組み合わせで集客したい店の近くにいる顧客にだけクーポンを配ることも可能になる。

このような消費者と密接に結びついたサービスは、さまざまな情報を持たせることが出来る電子マネーの特徴として、今後、飲食店や小売店をはじめとした各種の分野へ応用が期待できそうだ。

(掲載:2007年5月)

企業のITセキュリティ講座