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ますます進化する「デジタルサイネージシステム」

街角で、電車で、映像による看板「デジタルサイネージシステム」が溢れている。そして、より美しいフルHDディスプレイ対応のシステムが登場するなど、さらなる高性能、高機能化が進んでいる。

画面に映し出すサイン
デジタルサイネージシステム

電車の中や街の店先、または病院や公共機関の待合室などで、液晶やプラズマなどの薄型ディスプレイを使った広告や案内を見かけたことはないだろうか。これらは「デジタルサイネージシステム」を使った、ディスプレイ方法の1つである。

「サイネージ(Signage)」という言葉自体は「標識」「信号」を意味する英語だが、「デジタルサイネージ」は、日本では「電子看板」の意味で使われることが多い。そして、PCやサーバ、ネットワークなどで構成されたデジタルサイネージの仕組みが、「デジタルサイネージシステム」と呼ばれている。

さまざまな機能と高性能化
そしてより広く普及

デジタルサイネージシステムは急速に普及してきたが、その背景には装置や通信技術などの進歩がある。その1つに、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイといったパネルの大画面化と薄型化、そして低価格化が進んだことが挙げられる。さらに、ADSLや光ケーブルといったブロードバンドネットワークの急速な普及も大きな要因となっている。これらの技術の進歩や環境の整備によって、ディスプレイ設置場所の自由度が増し、信頼性の高いネットワークで表示するデータが配信され、これらシステムの効率的な運用が可能になったのである。

また、NTTコミュニケーションズでは、ブロードバンド回線を利用して映像情報を配信するための標準仕様「VAAM(Virtual Appliance Access Method)」を提唱し、自社の手がけるデジタルサイネージシステムに採用している。これはNTT研究所が開発したもので、接続される機器やメーカーの違いを意識することなく扱え、強固なセキュリティと柔軟でオープンな仕様を持ち、コンテンツ配信サービスを容易かつ安価に提供できる。

また、学校や病院、もしくは電車など大規模な公共的スペースでの用途だけでなく、高精細なハイビジョン映像を安価に配信できる小規模向けのデジタルサイネージシステムも登場している。これはNTTアイティと東芝映像機器(TVE)が共同開発した「ビルアド」というデジタルサイネージシステムで、PCサーバ1台、セットトップボックス(STB)1台、ディスプレイ1台の構成から利用できる。

「ビルアド」では、映像コンテンツやコンテンツの組み合わせであるプレイリストの管理、STBごとのスケジュール管理およびストリーム配信を、独自に開発したソフトウェアで行う。この商品はこの2007年2月より販売が開始され、ショッピングモールや中小ビルなどへと導入されている。


「ビルアド」のシステムイメージ図(NTTアイティ提供)


そのほかにもアイ・オー・データ機器は、パソコンで撮り溜めた動画をテレビで楽しむことができるネットワークメディアプレーヤー「LinkPlayer」を2003年から販売しているが、これを法人向けサービスに最適化したモデル「AV-LS200」として開発。2007年3月にオープンした「HMVららぽーと横浜店」に、デジタルサイネージシステムとして導入した。

これは、HMVのシステムセンターにあるサーバに一括で保存された動画・静止画の告知コンテンツを、ネットワーク経由でAV-LS200が読み出し、店内に設置された液晶ディスプレイに表示するというシステムだ。これにより、コンテンツの告知の自由度が増し、効果的に顧客に訴求することができるようになった。


HMVららぽーと横浜店のデジタルサイネージシステム例(アイ・オー・データ機器提供)


また、最近はテレビ受像器でも走査線1080本以上のフルHD(High Definition)ディスプレイの普及が進んでいるが、パナソニックシステムソリューションズでは、累計納入端末数が約5500端末(2007年5月現在)を数えるデジタルサイネージシステム「NMstageシリーズ」の新バージョンとして、表示性能の向上や配信機能の強化を図ったフルHDデジタルサイネージシステム「NMstage Ver.3.0」を7月19日にリリースした。

このように、デジタルサイネージシステムの技術が急速に進歩し、しかも低価格化も同時に進んでいるため、今後はよりさまざまなシーンへ普及し、新たな使われ方をしていくことだろう。

新しい広告メディアとして
売り手と買い手をピンポイントにつなげる

デジタルサイネージは、「OOH(Out Of Home)」メディアとも呼ばれ、屋外や店頭、そして交通機関など、一般家庭以外の場所においてディスプレイなどを活用する新しい情報メディアとなっている。テレビ、ラジオなどの不特定多数の人を対象にしたマスメディア広告とは異なり、設置場所によってセグメント化されたターゲットへ確実に見てもらうことができるため、広告メディアとしても費用対効果が高くなるということで大いに注目されている。

NTTコミュニケーションズが2005年に手がけた自動車教習所向けの映像配信システムを例にとる。このシステムは自動車免許の取得を目的とした18歳〜23歳くらいまでの若者を対象に、教習の待ち時間の合間を利用して広告を配信するが、車の広告はもちろん、それ以外の若者向けの商品広告など、ターゲットを絞った的確な広告を確実に消費者に届けることができるようになっている。

この自動車教習所をもとにして、病院や美容院、野球場、サッカー場、レストラン、映画館、フィットネスクラブなど、さまざまな分野での応用が検討され、すでに実用化されているものもある。新たなビジネスチャンスの創出という意味でも、デジタルサイネージシステムの果たす役割は大きいと期待されている。

ただし、新たな広告手法としてこのデジタルサイネージを考えた場合、どのくらいの広告効果があるのかが、広告主としては気になるところだろう。例えばインターネット広告の場合なら、クリック数などで広告効果を測定する指標が用意されているが、今後、デジタルサイネージにも、どれくらい広告効果があるのかを示す具体的な数値測定の方法が課題になるだろう。

(掲載:2007年8月)

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