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クリーンな地球環境を目指す
“グリーンIT”の取り組み

地球温暖化をはじめとする環境対策には全世界規模で関心が高くなっているが、もちろんIT業界においても「グリーンIT」としてさまざまな取り組みや宣言が注目されてきている。

ITがおよぼす環境への影響と解決策
グリーンITとは何か?

国連の「気候変動枠組み条約第13回締約国会議(温暖化防止バリ会議)」は2007年12月15日、京都議定書後の温室効果ガスの新たな削減枠組みを話し合う行程表「バリ・ロードマップ」を採択し、閉会した。全世界規模で取り組まれる環境対策の一環で、IT業界においても「グリーンIT」としてさまざまな行動が起こっている。

「グリーンIT」とは、広くはIT技術関連における環境保護や地球の温暖化対策への取り組みを意味するが、とりわけパソコンやサーバ、ネットワーク機器などのIT機器が必要とする電力や、そこから二次的に発生する温室効果ガスの削減を目標とした動きのことを指す。

IT技術の発展に伴い、コンピュータ使用などによる消費電力が急増、これによる環境問題は社会的に看過できない問題になっている。しかし同時に、IT技術がエコロジーに直接貢献する役割を果たすものとしても注目されているのだ。この取り組みは一足先に欧米で行われてきたが、日本でも経済産業省が「グリーンITプロジェクト」を打ち出しており、データセンターやオフィスのサーバ、ストレージ、ネットワーク機器などにおける電力消費の削減や、環境保護のための技術開発を産業界と連携して進めている。

もう少し具体的にデータを見てみよう。経済産業省の調査「第1回 グリーンITイニシアティブ会議の開催について」によれば、2006年度国内のIT機器の電力消費量は総発電量の約5%を占めており、これは二酸化炭素(CO2)に換算すると乗用車約800万台に相当するという。さらに、現在のペースでIT機器が増えた場合、総発電量の約15〜20%に達すると予測されている。


※経済産業省「第1回 グリーンITイニシアティブ会議の開催について」より

世界的に見ても、複数のコンピュータメーカーの調査では、世界中のネットワーク利用者は1週間に300万人の割合で増加し続け、2008年中には13億5,000万人がパソコンを利用すると予測されている。デスクトップパソコンなら1台で200W程度の電力を必要とするため、計算では毎週6億Wの電力需要が増え続けることになる。もちろん電力を消費するのはコンピュータだけではない。ルーターなどのネットワーク機器も電力を必要とし、インターネットのトラフィック増加によってネットワーク機器が処理に必要とする電力も増え続けているのだ。

また、問題は電力消費量の増加だけではなく、高速なCPUの採用や大量のデータ処理によって発生する発熱も指摘されている。CPUは高速になればなるほど消費電力が増え、そして発熱量も増加する。パソコンならヒートシンクやファンなどで十分に冷却できるが、大型コンピュータやサーバを設置するデータセンターともなると発熱量は膨大なものになるため、部屋そのものを冷やさなければならず、冷房による電力消費が問題となるのだ。ネットワーク機器や空調設備、監視機器、照明など、さまざまな機器の集中するデータセンターでは、IT関連機器の電力消費の約1/4を占めており、早急な省消費電力化が求められている。

世界、そして日本における
企業のグリーンIT行動

増大する電力需要に対して、省電力化の技術もさまざまに登場している。CPUの省電力化、液体による高効率な冷却、サーバの統合や仮想化、空調設備の電力制御などだ。

省電力化に大きく影響するCPUに関しては、既にAMD、Intel、Sunなどのプロセッサメーカーから相次いで省電力版が発表されている。CPUメーカー各社はまず、ノートパソコン向けのプロセッサとしてバッテリーの持ちがよい省電力プロセッサを開発し、その後サーバ向けのプロセッサでも低消費電力を特徴の1つとして打ち出し始めている。例えば、Intelが2004年6月に出荷を開始したXeon(3GHz)の熱設計電力(TDP)は103Wだが、2006年6月に出荷した5000番台のXeonはTDPを80Wに抑えている。

日本でもベンダー各社から環境保護への取り組みが相次いで発表されている。

日立製作所は2007年10月1日、データセンター省電力化推進組織を設置することを発表。これによると、サーバ集約化やデータ集約化に伴うIT機器の増加でデータセンターのエネルギー消費量が増加しており、今後拡大するデータセンターの省電力化に向けて、今後5年間で全体消費電力の50%削減を目指すとしている。

また、松下電器産業も2007年10月5日、全世界の工場から排出されるCO2の総量を今後3年間で30万トン削減する方針を発表。さらに一定の省エネ性能を満たさない商品は発売しない予定としている。

NECは2007年11月26日に「REAL IT COOL PROJECT」というプロジェクトを組み、IT機器の消費電力を50%削減し、2012年までにCO2排出量を累計で91万トン削減すると発表している。

富士通も12月10日、ITユーザの環境負荷を低減するプロジェクト「Green Policy Innovation」を開始すると発表。このプロジェクトによって、2007年度から2010年度の4年間で、累計700万トン以上のCO2排出量削減を目指すという。

今後も加速する
グリーンITに対する取り組み

調査会社であるGartnerは、今後ITやビジネスに重大な影響をもたらす技術やトレンドのランキングを2007年10月9日に発表、その第1位が「グリーンIT」となった。

同社は、温暖化ガス排出量など環境に与える影響についての調査が進み、関連規制の増加が考えられる中、2007年に台頭したこのトレンドは2008年も加速・拡大するとみている。そして、企業の社会的責任の観点からの影響(ベンダー選択に与える影響など)も指摘している。

ちなみに、2位は「統合コミュニケーション」、3位は「ビジネスプロセスモデリング」で、4位以下は「メタデータ管理」「仮想化2.0」「マッシュアップと複合アプリ」「WebプラットホームとWeb指向アーキテクチャ(WOA)」「コンピュータファブリック」「リアルワールドとしてのWeb」「ソーシャルソフトウェア」となっている。

日本では官民一体の取り込みもスタートした。経済産業省とIT関連分野の業界5団体などが、2007年12月6日、環境負荷の低減に貢献する電子・情報技術の開発や普及を推進する「グリーンITイニシアティブ」を立ち上げ、第1回会議を開催した。甘利明経済産業大臣は「ITを活用した省エネも、ITそのものの省エネも、民間のさらなる取り組みが不可欠。グリーンITで世界をリードしていきたい」と述べ、経産省が音頭をとり、産業界全体を巻き込んで「グリーンIT立国」を目指すという。

政府主導による代表的な取り組みは、経産省が2008年度に実施予定の「グリーンITプロジェクト」だ。約48億円を投じ、IT機器の省エネ化やITシステム全体を省エネ化する新技術の開発を進める。また、環境経営やIT経営の考え方を啓蒙するほか、グリーンITの環境貢献評価を推進。単にIT機器を省エネ化するだけでなく、IT機器生産のサプライチェーン全体で環境負荷をどの程度軽減しているかを評価できるようにするという。

また、国内だけではなく国際的なリーダーシップの確立に向けた取り組みとして、2008年5月にグリーンIT国際シンポジウムを開催する。海外からもベンダーや研究機関などの関係者を招へいし、国内外に情報を配信する予定である。2008年7月の洞爺湖サミットを前に、「グリーンITの日本」をアピールする狙いもある。

しかし、このようなグリーンITの運動はまだ始まったばかりだ。この取り組みは政府やメーカー、データセンターなどの組織だけでなく、利用する個々のユーザ意識も重要であるといえる。地球環境保護のために、よりスマートなITの活用が求められている。

(掲載:2008年1月)

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