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個人や友人間での使われ方から進化して
ビジネスユースにも普及するWebアプリケーション

アプリケーションといえば、通常はパソコンにインストールして使用する。しかし最近は、Webにアクセスして利用するものが増えてきた。この「Webアプリケーション」、実際の利便性と問題点はどこにあるだろうか。

インターネットを通じて利用する
Webアプリケーションの仕組み

Webアプリケーションとは、インターネットを通してさまざまなサービスや動的なコンテンツを提供するアプリケーション一般を指す。利用者としては、Webブラウザがあり、インターネットにつながる通信環境さえあれば、これらのWebアプリケーションを利用することができる。

パソコン側のプログラムとしてはWebブラウザさえあれば利用できるため、WebアプリケーションはOSに依存することが少なく、Mac OSやLinuxなどWindows以外のOSを使っているユーザも同じように利用できるものが多い。OSの違いを意識せずにいられるのは、サービスの提供側にも利用側にもメリットになる。また、Linux系のWebサーバであればオープンソースの資産を使ってWebアプリケーションを構築できたり、データのCDプレスなどせずにインターネット上で直接サービスを提供できたりなど、比較的資金が少なくても始められるのも大きな特徴だ。

Webアプリケーションという言葉にピンとこない人も多いかもしれないが、Webサイトの掲示板や問い合わせフォーム、アンケート集計や占い、そしてブログなども基本的にはWebアプリケーションの1つとして動いている。また、利用者の多いオンラインショッピングやネットバンキングなどのシステムもWebアプリケーションで運用されているなど、大小合わせてさまざまなものが稼働している。

通常のアプリケーションとWebアプリケーションの違い


インターネット環境が高速になるに従って、ファイル共有システムや動画の配信システムなど、さらに便利で新しいWebアプリケーションも数多く登場してきている。これらの特徴を整理すると、次のようになるだろう。

  • 必須のアプリケーションは、Webブラウザだけ
    ユーザの持つクライアントマシンにインストールするアプリケーションはWebブラウザだけでよく、パソコンの機種や環境に依存しない。よって、パソコンへ個別にアプリケーションをインストールしなくても済むため、手間やサポートなどのコストを抑えられる。
  • 高い保守性とセキュリティ
    アプリケーションの仕様やデザインなどに変更があっても、Webアプリケーションを提供するサーバ側で対応すれば一括で適用され、ユーザ側でのシステム変更が必要なく保守性が高い。同様に、サービス提供元でプロフェッショナルなセキュリティ対策を施すことで、情報漏えいなどへの対策を高いレベルで任せることができる。
  • オープンソースの利用でライセンス費用ダウン
    サービスを開発するサーバ側のOSやデータベース、ライブラリなどにLinuxやMySQLなどのオープンソース資産を利用すれば、販売ライセンス費用の抑制が期待できる。企業内でのシステム構築を安価にする選択肢として、Webアプリケーションが有力になる。
  • 異なるアプリケーション間のデータ交換が可能
    広く普及し、国際的にも規格化されている技術(XML、SOAPなど)に準拠することにより、異なるアプリケーション間、または異なるサービス提供元であっても、データ交換が可能となる。

ビジネスで必要なOffice用途の
Webアプリケーションも登場

電車の乗り換え案内や地図の検索、ファイル共有や転送システムなど、ビジネス用途として何気なく利用しているWebアプリケーションは数多い。さらに、マイクロソフトの「Office」に代表されるビジネス用ソフトウェアにも、オンラインで使うことができるWebアプリケーションでの対抗馬が多く登場してきた。これらのアプリケーションは文書、表計算、プレゼンテーションなどの必要な機能を持ち、アカウントの登録により無料で利用できること、普及しているOfficeファイル形式と互換性を持っていること、ファイルの共有や共同編集ができることなどが特徴だ。

Office系の代表的なサービスには、「Googleドキュメント」、「Zoho」、「ThinkFree」、「OnSheet」などがある。

これらのOffice系Webアプリケーションのサービスは数年前から始まっていたが、一般ユーザに広く認知させたのが「Googleドキュメント」だ。文書、スプレッドシート(表計算)、プレゼンテーションのファイルがオンラインで作成できるのだが、どれも基本的な機能が充実しており、モバイル端末でも閲覧できる。大きな特徴は、ネットを介したファイルの共有とリアルタイムでの共同編集。ファイルを渡す相手がアカウントを持たなくても閲覧は可能で、編集結果は数秒単位で自動更新される。このGoogleドキュメントだけでなく、「Gmail」や「Googleカレンダー」などを含めたホスティング型アプリケーションサービスである「Google Apps」は、まさに新時代のビジネス向けWebアプリケーションだ。

個人の作業で完結するならインストール型でもWeb型でも大きな違いはないが、グループで環境を統一したり、社内外で広く内容を共有したりする場合には、このGoogleドキュメントは強いアドバンテージを持つ、新しい選択肢になるだろう。

Googleドキュメントで作成したWord文書のスクリーンショット
Googleドキュメントで作成したWord文書の例

大規模システムから小規模システムへ
身近になるASPというWebアプリケーション

Googleドキュメントのように無料で利用できるWebアプリケーションは数多く登場しているが、一方でさらに利便性が良く、高機能で、セキュリティも確保された「ASP」のサービスもある。ASPとは、Application Service Provider(アプリケーションサービスプロバイダ)の略称。ビジネス用のアプリケーションソフトをインターネットを通じて顧客に有料でレンタルする事業者のことで、ユーザはWebブラウザなどを通じて、ASPの保有するサーバにインストールされたアプリケーションソフト、つまりWebアプリケーションを利用する。

従来は「ERP(Enterprise Resource Planning)」、受注・販売管理、在庫管理、生産管理、会計といった企業の基幹業務などの大規模な業務システムがレンタルの対象であったが、最近はOffice系ソフトウェアやグループウェア、ショッピングカート、予約システムなど、身近に使えるASPも増えている。

Webアプリケーションの持つ課題
セキュリティと普及のきっかけ

Webアプリケーションはますます便利になっているが、一方でセキュリティ問題に注目が集まっている。例えば、Webアプリケーションの多くはユーザIDとパスワードの単一要素認証でのみ使用でき、他のセキュリティ対策がほとんど取られていないというのが現状だ。ログイン中に離席したり、ログアウトを忘れたりすれば、第三者による操作を防ぐことはできない。利便性と両立するセキュリティ対策の方法を模索している状態だ。

一例として、教育機関や自治体などの公共分野においては一般企業に対してWebアプリケーションの導入が進んでいるという。外部との文書交換が比較的少ないうえ、シンクライアントでの運用でデータをサーバ側で集中管理すれば、情報漏えいのリスクをかなり減らすことができるという。また、Linuxなどオープンソース系のOSを使う団体も多いので、Office系のWebアプリケーションが重宝されるという側面もある。

今後のビジネス系Webアプリケーションはどのような方向に向かうのだろうか。まず、ソフトベンダーの戦略としては、これまでのユーザライセンスを収益の柱としてきたビジネスモデルから、自社で開発したパッケージソフトをWebアプリケーションと組み合わせ、新たな商品として開発することが予想される。

また、Webブラウザに動画、音楽、アニメなどさまざまなメディアを融合させた「RIA(Rich Internet Application)」が取り入れられる可能性も高い。RIAでは、アドビシステムズの「AIR」やマイクロソフトの「Silverlight」などのプラグイン型Webアプリケーションや、オフラインでの動作を可能とするGoogleの「Google Gears」などが代表例だ。

「Windowsメディアプレーヤー」「iTunes」などの音楽再生ソフトやメーラーで無料化が進んだように、RIAなどの新技術が加われば、より便利になって機能の幅も広がる。そうすれば、ビジネス系Webアプリケーションのユーザや利用環境にも大きな変化が訪れるだろう。

(掲載:2008年6月)

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